VIRGIN HARLEY | 廿枝 正(モーターステージ) インタビュー

廿枝 正(モーターステージ)

  • 掲載日/2004年12月04日【インタビュー】

ハーレーインタビューの画像

固定観念に縛られない
いつ何時も。それを忘れないように…

「モーターステージ」。この名前を耳にしたことがある人はきっと多いはず。そう「ブラスマフラー」を製作しているショップだ。今回のインタビューはその「モーターステージ」オーナー 廿枝正(ハタエダ タダシ)さんの登場だ。廿枝さんは27歳のときにSR専門のカスタムショップ「ウェリントン」、オリジナルパーツ製作・輸入パーツ販売の「WM」を創業している。しかし離婚を機に心機一転、40歳にして「モーターステージ」を創業と、その経歴は非常に面白い。40歳にして新しいスタートを切る、普通に考えるといろいろなしがらみから「守り」に入ってしまいそうだが、廿枝さんは頑なに「好き」にこだわり続けた。廿枝さんのその「こだわり」を是非読んで感じていただきたい。

Interview

「ハーレーみたいなどん臭いバイク」に
まったく興味なかったね

ーそれまでの成功をリセットにして、40歳のときに新たに「モーターステージ」を立ち上げられたとお聞きしました。お店を始めた頃は、やはり苦労されたんでしょうか?

廿枝●僕が「モーターステージ」を始めて、もう10年になるけれど、最初の1,2年はご飯が食べられなかったね。今から思うとよく頑張れたと思う。何度も辞めようと思ったからね。でも、僕は「バイクを触っている時が一番楽しい」人間だから、好きなことに賭けてみたかったんだよね。

ー私には「モーターステージ」というとハーレーのカスタムパーツショップというイメージが強いですが、最初は「KAWASAKI エストレヤ」のショップとしてスタートされたとか。本当ですか?

廿枝●そもそも、「モーターステージ」を始めたときはマフラー屋をやろうと思っていたの。でもマフラーがさっぱり売れなくてね。「他にも何かしないと食えないな」と思って「KAWASAKI エストレヤ」のカスタムを手がけはじめたんだよ。今は確かにハーレーのお客さんが多いけど、エストレヤのお客さんもいるし、トライアンフ、ノートン、BSA…いろんなバイクのお客さんに来て頂いている。ハーレー専門店ではないよね、やっぱり「マフラー屋」、やっと「マフラー屋」になったという感じかな。

ー「モーターステージ」を始めたころから、今と同じようにオリジナルマフラーの製作をされていたんですね。現在は多くのバイクのオリジナルマフラーを製作されていますが、ハーレーのマフラーでは「ブラスマフラー」が有名ですよね。楽器のような音を出したくて真鍮の材質を選んだとお聞きしましたが。

廿枝●そんないい話だったらカッコいいんだけどね(笑)。たまたま知り合いのハーレー乗りのために、試しにハーレーのマフラーを作った時だね。いざ作るといっても、ステンレス、スチール、チタンのマフラーは他のショップに使われてるし。同じじゃつまらないでしょ。そんな感じで、他のショップが使っていない真鍮を選んだのよ。「真鍮は楽器にも使われているから音もいいんじゃないか」。そんな狙いもあってね。それが「ブラスマフラー」の1本目。でも、これが大失敗。うるさ過ぎた。そこからサイレンサーや厚さに工夫をして、やっと満足のいく音質のモノが出来たんだけど、最初は全然売れなかったんだ。

ーそうだったのですか? 今はこれほど人気のあるマフラーなのに。

廿枝●最初は今みたいにメッキをせずに楽器の色をイメージしてゴールドのままで販売していたんだよ。でもそれがマズかったみたいでね。知り合いのディーラーが「メッキしたら買うよ」って言うわけ。早速メッキをして、「メッキしたから買ってよ」って送りつけてね(笑)。メッキしてからだね、「ブラスマフラー」が売れ始めたのは。

ー完成するまでは、ご自分のハーレーでも試したりもされたのでしょうね。

廿枝●実は、ハーレーは嫌いだったのよ(笑)。ハーレーのマフラーを売りながらも、「あんなドン臭いバイク嫌いやわ」と思っていたからさ(笑)。でも、ハーレーのマフラーも売りはじめて、「さすがに自分もハーレーに乗っておかないとマズイな」と思って1997年に一番安かったスポーツスターを新車で買ったのよ。…仕方なくね(笑)。

ー大嫌いだったハーレー。乗ってみていかがでした(笑)?

廿枝●まったく期待せずにスポーツスターを買ったわけだけど「エエやん、これ! こんなに面白いバイクやってんなぁ!」と驚いてね。買った日からのめり込んでしまったよ。車高を下げ、ハンドルを上げ、シートを自作して、と自分のためにアレコレと作り始めて。そうやって自分のために作ったものが、今売られている商品にもなっているよ。

アナログな部分は
残してもらいたい

ー最近は騒音規制や排ガス規制などマフラーメーカーには厳しい環境になってきていますが、そこについてはどうお考えでしょうか。

廿枝●確かに、僕らみたいなマフラー屋さんにとっては難しい世の中になってきているね。人それぞれ、好みはあるんだろうけど、「ハーレーの良さ」って「音」に尽きると僕は思うのね。心地いい音が出ないと、ハーレーに乗っている意味がないって思っちゃう。だから、これからも満足してもらえるマフラーを造っていきたいと思う。だから、心地よい音と規制とどうバランスを取っていけるのか、がこれからの課題だとは思う。

ー騒音規制や排ガス規制以外でも、ハーレーは近々すべての車両がインジェクション化されますが、インジェクションについてはどう思われますか?

廿枝●インジェクションなんか嫌いやね。車のインジェクションなら「まぁ、いいか」と思うけど、バイクにはどこかアナログな部分が残ってくれないと。全部コンピューター化するんだったら「じゃあスクーターに乗ったらいいやん」と思ってしまうから。コンピューターでカスタムができるバイク、もしかしたら楽しいかもしれないけど、僕はコンピューターでデータを書き換えるみたいな面白くないカスタムじゃなくて、「汗をかいて、手を動かして」自分の手を汚しながらカスタムしたいね。

ーハーレーって、ある程度は自分で触ることができますからね。「自分でコツコツとカスタムしていくことができる」それもハーレーの楽しさですよね。

廿枝●カスタムもやり過ぎはどうかと思うけどね。「この人、走ってる時間よりカスタムしている時間の方が長いんちゃうかな」っていう人がいるでしょ。カスタムパーツを作っている僕が言うのも何やけど(笑)、マフラー・シート・ハンドルを換えるくらいでカスタムは充分じゃないかなぁ。「カスタムで車両を何度も入院させてないで、もっと走ったらいいのに」と思うね。「バイクは走ってナンボ」でしょ。「どや、オレのバイクカッコいいやろ?」って走行距離が伸びないバイクを見せられてもね。

ーでは「モーターステージ」はどんなカスタムをお客さんにオススメしているのですか?

廿枝●人それぞれ好みがあるだろうけど。例えばウチでスポーツスターと言えば「ライトチョッパー」だね。リアを下げて、ハンドルを高くするのが僕は好きだね。スポーツスターのカスタムは「走り系」、「ダートトラック系」が多い気がするけど。それはちょっと当たり前すぎて面白くないかな、と僕は思うのね。だから敢えてスポーツ寄りではない「ライトチョッパー」にカスタムするのがオススメかな。

ースポーツスターで多い「走り系」カスタムをやらないのは、レースには興味がない?

廿枝●全然興味ないね。レースは結局行き着くところ「勝ち負けの世界」でしょ。そういうのも楽しいだろうけど、そこまで「勝ち負け」にこだわらなくてもいいと思う。「ハーレーなんだからもっと気楽に楽しんだらいいやん」そう思うからあまり興味が湧かないのよね。「軽いノリでバイクに接する」、それがウチのポリシーだからね。もっと「楽」に「楽しもう」よ。バイクはそれでいいと思うよ。

ー「気軽に楽しむ」ですね。

廿枝●たまたまウチはバイクの商品を販売しているから、バイクでしか「楽しさ」を提供してあげられないけど、ショップに来る人にはもっと他の楽しさも提供したいと思っている。だから前まではショップにカフェバーも創っていたし、年に一度はショップでトランスパーティーをやったりもしているよ。「モーターステージ」のショップはいろいろなことを楽しむための場であってくれたらいいと思うのね。それは別にバイクじゃなくてもトランスでもいいわけ。お客さんがショップに気軽に遊びに来てくれると僕も嬉しいし、お客さんと話すことで商品開発のヒントを受けることもあるから。新しく出した「XLCRマフラー」もお客さんに「作ってください」と言われたのがスタートだったからね。

ー「言われたことを形にする」だけでは、ここまで多くの人に支持されるパーツは開発できないと思います。「モーターステージ」のオリジナルパーツはが支持される理由は他にもあるんじゃないか、と思うんですが。そのあたりは、いかがでしょうか。

廿枝●「自分の固定観念に縛られないこと」かな。「自分が欲しいもの」をイメージしながらオリジナルパーツを造ることもあるけれど、お客さんのイメージを形にしていく過程で「これ結構いいやん」と思うことも多い。自分の殻に篭るだけでは「いいモノ」を造っていくのには限界があるから、毎日たくさんのお客さんと接して、刺激やヒントをもらうんだよ。お客さんと話をするのは楽しいしね。

ー「何が求められているか。それは、お客さんに聞いてみる」それが「モーターステージ」流の商品開発なんですね。では最後に「モーターステージ」の名前の由来を教えていただけますか?

廿枝●前にやっていたお店は名前を聞いて、バイク屋だとわからない名前だったのね。だから新しいお店には、名前を聞くと「バイク屋」だとすぐわかる名前にしたかったのよ。だから「モーター」という言葉を入れて店名を考えていたのね。「モーター○○、○○モーター、・・・」。色々な単語を組み合わせて考えてみたんだけど、ピンと来る名前がなかったの。それで煮詰まっていたときに、ふと飲んでいたコーヒーカップの底を見たら「ホワイトステージ」って書いてあったの。「これや!」と思ってね。使いたかった「モーター」とコーヒーカップに書いてあった「ステージ」を組み合わせて「モーターステージ!」それで名前が決まったのよ(笑)。

プロフィール
廿枝 正
49歳。大阪市にてオリジナルカスタムパーツ製作「モーターステージ」を営む。真鍮を素材として使用した人気マフラー、「ブラスマフラー」の開発者。店頭で多くのお客さんと接することを楽しみつつ、お客さんとの会話から新しいオリジナルパーツのアイデアが生みだす創造主。

Interviewer Column

今回インタビューをさせていただいた廿枝さんは「飾らない人」だった。話をお聞きしている私が困ってしまうようなことまで包み隠さず答えてくれた。非常に面白かったけれど、私の自主規制(笑)で書けない話もたくさんしていただいた。ただ、「聞かなければよかった…」と思ったのが「モーターステージ」の名前の由来だった。まさか、ああいう名づけだと思わず、つい聞いてしまった。非常に面白いインタビューだったが、そこだけは後悔が残った(笑)。(ターミー)

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