VIRGIN HARLEY | セミオーダーシステムを使ったハーレー用カスタムシート|アメリカンドリームス 特集記事&最新情報

セミオーダーシステムを使ったハーレー用カスタムシート|アメリカンドリームス
取材協力/アメリカンドリームス  取材・文・写真/モリヤン  構成/VIRGIN HARLEY.com 編集部
掲載日/2016年4月27日

バイクをライディングする上で、とても重要なパーツであるシート。それは単に座り心地だけを追求するものではなく、全体のルックスにおいてもイメージを左右する大切な存在である。アメリカンドリームスのセミオーダーシステムは、柔軟な体制で様々なユーザーをサポートする。

INTERVIEW

長年のノウハウが息づく
数多くのシートをリリース

国産アメリカンバイクやハーレーダビッドソンに装着する、様々なパーツをリリースしているアメリカンドリームス。その代表的な物に、多くのラインナップを揃えるカスタムシートがあるのだが、ハーレー用も様々なスタイルを提案している。今回紹介するシートは、主にスポーツスター用に製作された新製品なのだが、その製作ノウハウやパーツショップとしてのポリシー、そして歴史に関しても取材してみようと思う。

アメリカンドリームスは、現社長の越智益孝さんが40年ほど前に立ち上げたショップである。それ以前は、バイク用のパーツではなく、70年代に有名なテレビコマーシャルで一世風靡した健康器具を製作していたが、社長がバイク好きということもあり、バイクパーツの製作に着手。その最初の段階から、カスタムシートの製作はスタートしていたという。拠点は、現在のショップがある三郷である。アメリカンバイクシーンが大好きということもあり、木造のアメリカンハウスをイメージした建物を建設すると、当時はバイクショップというよりも、レストランのように見えたという。

「初めは、カスタムパーツショップやバイク屋さんの下請けとしてシートやFRPパーツを製作していたのですが、既成品だけ作っていても、ユーザーは様々ですからね。だんだんウチのオリジナルが増えていったわけです。基本的に、シートだけではなくアメリカンスタイルのパーツを提供するという姿勢は、今も変わりませんね」

1980年にスタートしたパーツメーカーとしての動きは、ずっと同じポリシーで製作されつづけている。その基本的な考え方は、ユーザーサイドに立つことだという。現在、ショップの店長は息子の秀雄さんが担当しているが、セミオーダーシートの意味を伺ってみたいと思う。

アメリカンドリームス 店長
越智秀雄 氏

──まず、シートのセミオーダーとは、どのような解釈なのかお聞きしたいと思います。

越智:ノーマルシートというのは、万人に向けて作られている。というよりも、ある程度の平均的な体格を想定して、設定されているものだと思います。でも人間は体格もそれぞれ違うし、バイクの乗り方だって違いますよね。なのに、同じシートで良いはずがない。

──ハーレーのシートはいつから手がけているのですか?

越智:創業時からずっとですね。ハーレー用は特に、日本人の体形を考えると、そのままのシートでユーザーが満足できているはずがないので、足付き性や、ライディングポジションを調整する意味でも古くから扱っているんです。セミオーダーシートとしての発想は、そんなところが原点ですね。

──具体的にはどのような方法なのでしょう。

越智:まず、車種別のシートベースを製作して、それをベースにスポンジの形や表皮を選んでいただくのがセミオーダーの方法です。

──デザインは自由なのですか?

越智:サンプルになる基本的なスタイルはありますから、そこからプラスマイナスして調整できるということですね。たとえばキング&クイーンシートを製作するとして、ライダーのシッティングポジションの調整や、スポンジの硬さ、腰の部分のサポート位置の調整など、表皮を貼りこむ前に、実際に跨ってもらいながら変更していくことができます。

──表皮も選ぶことが可能なんですか?

越智:もちろん可能です。100種類以上ありますから、自由に選ぶことができます。

──カラーリングということもできるのですか?

越智:以前は、シートというとほとんどがブラックのレザーでしたが、今は様々にコーディネイトできるようになりました。これはユーザーからの要望が増えてきたということでもあります。バイクをカスタムする上で、シートのカラーリングもトータルで考えるようになったのです。その点でもユーザーサイドに立った商品作りができていると考えています。

──実用面での工夫は何かありますか?

越智:従来のカスタムシートの多くは、防水性に大きな問題がありましたが、スポンジを全面ビニールコーティングすることで対応しています。それでも入ってしまう水分は、シートベースにベント穴を開けることで排出できるような対策をしています。そして表皮は紫外線に強い素材を吟味して、劣化の少ない製品作りを心がけています。

 

セミオーダーというよりも、ほぼフルオーダーに近い考え方。共通するのはシートベースだけで、スポンジから上はほぼユーザーの好みに合わせたシルエットが製作されているということなのだ。

PICKUP PRODUCTS

スタイリッシュな外観と
快適な乗り心地を両立させる

新たにサンプル製作されたスポーツスター用のシートは、2004年以降のエンジンがラバーマウントの現行モデル用と、2003年以前のリジットマウントモデル用の2種類を紹介。スポーツスター用以外にも、ソフテイルやダイナ用のサンプルもピックアップ。様々なデザインや使用用途の違いからくるシルエットの違いから、多様化するユーザーニーズに細かく対応していく、アメリカンドリームスの仕事を理解することができるだろう。

そして、肝心のシートのオーダー方法だが、直接来店しての注文のほかに、来店できないお客様への対応も用意している。それは、シートベースの上にスポンジを載せた状態で発送するというものだ。商品を受け取ったお客さんは、自分でバイクに装着して座り心地を確認し、もう少しスポンジを削って欲しければマジックでマーキング。あるいは、足して欲しいのならば同梱されたスポンジを貼り付けて送り返すという流れである。それを受けて、同店ではそれぞれのお客さんに合わせたシート製作を行っている。

01センターにブルーのストライプをあしらったシングルシートは、2004年以降のスポーツスター用。

02スリムな印象のシルエットは、ハーレーダビッドソン・オリジナルカスタムシートをべースとして製作されたもの。

03前方に向かって絞り込んだスタイルは、足付き性能とライディング中の快適性も考慮したもの。フラットな形状で前後移動も容易だ。

04シートベースはハーレーダビッドソンの純正を使用し、スポンジは加工自由。表皮はマッドブラックのレザーにストライプ。

05全高を抑えた軽快なシルエットがスポーティな印象を与える。

06丸みを帯びたスタイルは、1980年代のスポーツスターノーマルシートを思い出すデザインである。

07表皮はエナメルレザーのクロコダイル柄を使用して個性的に。センターにはストライプを配置する。後部が持ち上げられたデザインが特徴である。

08左右幅はやはり前方に向かってスリムな形状。下半身のサポートがしっかりしている印象だ。

09シートベースはショップオリジナルのFRP製である。フレームへの取り付けステーも専用品で微妙にアジャスト可能である。

10初期のエボリューションエンジンを搭載したスポーツスターに似たシルエットを現行モデルで表現している。

112003年モデル以前のスポーツスターに適合するダブルシートの新作。トリコロールカラーのストライプが特徴だ。

12キング&クイーン形状のダブルシートは、長距離ツーリングでの乗り心地も考慮された、硬さの違うスポンジでのダブル構造。

13ヒップポイントの幅と硬さを吟味して、タンデムライダーの乗り心地も快適に設計されているシートである。

14ストライプの入るシートは、真横から見るとほぼブラック。ライディング中もブラックだが、降りるとカラーリングが現れるという楽しさがある。

15こちらは従来からラインナップされている、シングルシートのバリエーション。フレイムス柄が特徴である。

16シート後部にはクロコダイル柄のレザーを選ぶ。もちろん、表皮の選択は自由だ。

171996~2003年までのダイナ用デザインダブルシート。シックなブラウンの表皮をベースにストライプを入れる。

18ソフテイルロッカーC専用のシングルシート。シンプルで高級感のあるダイヤステッチでデザインされている。

192000年以降のFX系ソフテイル、ナローフレーム用(リヤタイヤが150mm幅)のデザインシート。クロコダイル&パイソン柄が特徴だ。

202006年以降のソフテイル、ワイドフレーム用(リヤタイヤが200mm以上)のキング&クイーンシート。フレイムス柄のエナメルにパイソンのコンビ柄を採用する。

SHOP INFORMATION

住所/埼玉県三郷市鷹野3-385
TEL/048-955-6711
三郷市で創業して40年。ステーキハウスのような外観が特徴だが、ここがファクトリー&ショップである。個性的なシートは、ここで手作りされて、ユーザーの手に渡っているのだ。