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最新のダイノマシンでハーレーのインジェクションチューニングを手掛けるHSC
取材協力/HSC  写真・文/モリヤン  構成/VIRGIN HARLEY.com 編集部
掲載日/2016年5月18日

ラムドーピングシステムで
一世風靡したスペシャルショップ

HSCは、沼津を拠点に長くハーレーに携わってきたショップである。現在のオーナーである佐々木綱柄(コウヘイ)さんは2代目。父親の憲章さんの時代からハーレーの取り扱いを始め、特にビューエルに関しては日本中のオーナーが注目するスペシャルショップとして、大きな評判になった店である。その内容は、「ラムドーピング」という吸入システムの開発で大きな効果をもたらし、当時のレース部門でも好結果を得ていた。他にも様々なパフォーマンスパーツを製作販売し、その名を全国に轟かせた。

現在のHSCはビューエルだけではなく、ハーレー全般の中古車販売やカスタム、エンジンチューニング、その他、ロードホッパーの取り扱い等、幅広いユーザーニーズに適応したショップへと変貌を遂げている。

INTRODUCTION

満を持してのダイノマシン投入で
今後のハーレーライフが変わる

1990年代後半から2000年代初頭にかけて大きな盛り上がりを見せた、スポーツスターカップ。サーキットを駆け抜けるハーレーの中で、一際注目されていたのが、HSCから参戦していたビューエルだった。エアークリーナーボックスがまるでジェットエンジンのようにも見える外観は、エンジンの吸入効率を追求した「ラム圧コントロール」というシステムで、その大きな効果から、同社のカスタムバイクにも多く採用された。

ビューエルの取り扱いは、現在でも日本一。メンテナンスは当然ながら、ユーズドビューエルの在庫も常に20台ほどは確保するという、相変わらずの熱の入れようだが、そんなHSCに、最新のダイノマシンが導入された。実は、シャシーダイナモは、スポーツスターカップの全盛期から稼働させていて、当時はもちろんキャブレターのアナログチューニング用機材として、その威力を発揮したものの、さすがに旧型となり、今回はインジェクションチューニングを細かく施すことができる、最新型のリターダー付きシャシーダイナモ「ダイノマシン」を導入したのである。

サービスファクトリーの入り口に設置されたダイノマシンルーム。まるで大きな金庫のようにも見える。防音設備は完璧だ。

「元々、ハーレーエンジンのパフォーマンスを向上させることが得意だったショップなので、コンピューターのチューニングもツインテックの導入など、早くから導入していましたが、最新機器の導入で、さらにきめ細かいチューニングが施せるようになりました」

佐々木社長は、元々シャシーダイナモがセッティングされていた場所を大幅に改良し、まったく騒音を外に出さない設備を施した。遮音されたコンテナ内部は、常にフレッシュエアも導入できる構造で、一般道を走行する条件を100パーセント再現できている。温度管理も完璧なので、その試走環境は実走と同等。ゆえに、完璧なセッティングが施せるということなのである。

以前にも旧型のシャシーダイナモを設置していたことから、半地下式の効率よい環境で最新のダイノマシンが置かれている。

「チューニングと聞くと、何だかパワーアップだけが本質のように思われがちですが、そうではありません。あくまで新車のハーレーは素材。そのエンジンをユーザー好みに仕上げていく作業がチューニングです。だからストックエンジンのままマフラーやエアークリーナーを交換した人はもちろん、すべてがノーマルのままのエンジンでも、インジェクションチューニングを施すと、乗りやすくなります。つまり、チューニングとは調整という意味が大きく、パワフルなハーレーだけを追い求める方法ではありません。もちろん、パワーアップへの貢献も大きいことは間違いなく、パワフルなエンジンを追求する際も、インジェクションチューニングを施して乗りやすいバイクに仕上げることは重要ですね」

アナログ時代にも様々なチューニングトライを重ねてきたHSCだからこそできる細かいセッティングワークがある。今後はそんなことにも期待して、このショップの活躍に目を離さぬようにしたいものである。

この大きなモーターのような装置がリターダーシステム。バイクの後輪で回されるローラーに実走と同じ負荷をかけることが可能だ。

PICKUP PRODUCTS

チューニングの意味を知る
細かい気配りと、その魅力

新たに導入されたダイノジェット社のシャシーダイナモ(ダイノマシン)は、リターダー付きの「ダイノジェット250I」という最新型。リターダーとは、走行中の負荷を自由に設定できる装置で、これによって実際の走行状態を完璧に再現することができるようになっている。そのダイノマシンをどのように設置するかということも、チューングを行う際には重要で、エアークリーナーには常にフレッシュなエアーが供給できる環境や、排気を効率良く排出させるシステムなど、様々なノウハウが必要なのだ。そして、HSCにはインジェクションチューニングだけではなく、その他にも快適なハーレーライフを実現するための様々なパーツが用意されている。

01フレッシュエアーの導入口はサービスピットの内側に向けられている。室内からの導入なので、温度や湿度も自在にコントロールできる。

02太いダクトの先には、大型のファンが取り付けられて、マフラーからの排気は強制的に外部へと排出されていく。その結果、ダイノマシンルーム内は、常にフレッシュエアーが確保されている。

03デジタルチューニングとなることが最大の特徴である、インジェクションチューニング。現在オペレーターは、和田メカニック一人だが、近い将来はスタッフ全員が作業できるようになるという。

04チューニングデバイスの代表は、ダイノジェット社のパワービジョン。ノーマルコンピューターのマップ変更をするフラッシュタイプで、8種類のデーターを保存可能。

05テクノリサーチ製のディレクトリンクもフラッシュタイプ。日本仕様は、アイドリングを600回転まで下げることも可能。人気アイテムである。

06自分のスマホでセッティングできるバンス&ハインズ社のFP3は、正規物を取り扱う。同社のマフラーを装着するバイクには簡単操作で適応する簡易チューニングアイテムとしても人気。

07赤線がノーマルエンジン&マフラー交換されたデータで、青線がチューニング後のデータ。右肩上がりなのがパワー曲線。もう一つがトルク曲線である。チューニングの効果を視覚化して調整できるのが、デジタルチューニングの特徴だ。

08HSCの定番商品でもあるハイパーコンデンサーは、ポイント点火式のアナログモデルから最新ハーレーまで、点火を強力に安定させてパワーアップを図れる優れたパーツである。

09アルミボディーに取り換え式のオイルフィルターもHSCの人気商品。クリーニング効果が高く、スクリーンの洗浄で永年使用できることが最大の特徴だ。

10ショールーム内のショーケースには、ビューエル関連のカスタムパーツもまだまだ数多く在庫する。パフォーマンスパーツを数多く手がけているこのショップの個性が光る部分だ。

11サービスファクトリーには、整備待ちのビューエルが常にある。日本全国のビューエルオーナーにとって、最も頼りになるショップなのだ。

SHOP INFORMATION

住所/静岡県沼津市大諏訪721-8
TEL/055-924-0636
FAX/055-921-0180
営業/10:00~19:00
定休/月曜日

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ダイノマシン導入は
現在、静岡県内唯一の存在

沼津から富士市に続く国道1号線沿いにあるHSCは、立ち寄りやすい立地にある。ツーリングの拠点としても抜群なこのお店の懐は深く、様々なテイストのハーレーを扱う高い技術力が大きな特徴だ。今回、最新型のダイノマシンを導入し、ユーザーのあらゆるニーズに応えてくれる頼もしいショップである。