VIRGIN HARLEY | レザージャケットの老舗の革ジャンをまとう 特集記事&最新情報

    取材協力/リューグーレザーズ  文/佐賀山 敏行  写真/村上昇平 構成/VIRGIN HARLEY.com 編集部
    掲載日/2013年10月9日

リーズナブルな価格と高い品質によって、いまバイカーたちの間で支持を広げているのがリューグーレザーズ。
これまで我々が持っていたレザーの常識を変える同社の戦略に迫った。

INTERVIEW

徹底した品質とコスト管理が
リーズナブルかつ高品質を生み出す

 東京都多摩市に拠点を置くリューグーレザーズは、現在社員数は25名、オリジナルラインナップは150種類を数える人気ブランドだ。2005年8月の設立以来、着実に業績を伸ばしてきた同社売上げの99%は、自社サイトやバイクブロス、楽天といったECサイトでのウェブ通販。まさに21世紀的ブランド展開によって、バイカーたちに高い支持を得ているのである。そんなリューグーレザーズのもうひとつの特徴が、高い品質ながらも価格は非常にリーズナブルだということ。『安物』とは違う確かなコダワリを感じながらも、誰もが買いやすい価格が設定されているのだ。これはリューグレーザーズ代表・松本宙士氏のイタリアでの体験が大きいという。

 

 もともと両親をはじめ、親戚一同それぞれが事業や商売を行っていたという松本氏は、幼い頃からなんとなく「自分もいつか商売をするんだろうな」と思いながら過ごしていた。そしてECはおろか、インターネット自体普及もまだまだの頃、友人たちとオリジナルTシャツを製作しインターネットで販売。結果として1着しか売れなかったが、考え方を変えれば名もないブランドのTシャツが1枚売れたという事実。松本氏は「このときがECサイトやウェブ通販をはじめる原点だった」と振り返る。その後、会社員などを経て25歳で独立。キッカケは「ウェブ関係の仕事をしていた奥さんとウェブサイトを使って服や雑貨品を売りたいと思ったこと」とのこと。そこで、まずは買い付けのためにイタリアへ渡った。そして、フィレンツェで大きな衝撃を受ける。「フィレンツェというのは革の町で、町中に革が溢れている。それはつまり日常で誰もが革を気軽に楽しんでいるということ。この町では革は決して高級品ではないのです」。

 その時は予定通りイタリアで買い付けた商品をもとに日本で商売を行った。しかし松本氏はどうしてもフィレンツェで見た光景が忘れられなかった。『革は高級品ではなく、身近なもの』……そんなことを思っているとき、革の卸業を行っている先輩とそんな話をしてみた。するとトントン拍子に革を卸してもらえることになったという。これによって、ついに松本氏は革製品を本格的に取り扱うことになった。はじめは在庫処分品などを仕入れるなど、他社製品を取り扱いつつ、レザージャケットやパンツなどの仕様やデザイン、革の素材などについて知識を深めていった。ちなみにこのときにメインで取り扱ったのがライダースジャケットであり、それが同社がいまもライダースジャケットを最も得意とし、製品ラインナップの根幹としている由縁だという。こうして今から8年前の2005年8月、松本氏はリューグー株式会社を設立、オリジナルブランドである『リューグーレザーズ』を展開することとなる。同ブランドのコンセプトは『もっとレザーを気軽に楽しもう!』。高級でとっつきにくいイメージのレザーではなく、イタリアで見た光景を日本に……そんな思いを込めて設立したのである。

「イタリア製もいいし、国産だってもちろんいいレザー製品は多いです。しかし、例えば洋服がいま中国や東南アジアが盛んなように、レザーにも世界的に盛んな地域があります。それがパキスタン。世界的に有名なブランドも源流を辿っていくとパキスタンだということが多い」と松本氏。同社では気軽に購入できる価格を実現するため、オリジナル商品の生産はパキスタンで行っている。しかしそれは単に安いモノを作るためでなく、品質を保った上で価格を抑えるため。そこで選んだのが、中国や東南アジアではなく『レザーの本場』パキスタンなのである。松本氏はさらに続ける。「当然、パキスタン製でも我々は日本人が納得するクオリティを追求しています。そのため工場任せではなく、現地で社員を雇い、彼らがしっかりと品質管理を行っています」。はじめは松本氏や本社スタッフが定期的にパキスタンを訪れ、工場への指導や現地社員の教育を行っていたという。「食あたりで社員を病院に担ぎ込んだこともある」と松本氏は笑うが、同時に「そのときの苦労があるからこそ、今の品質がある」と胸をはる。夢は『日本発、世界基準』。世界に誇れる日本の会社を、松本氏は今も目指す。

PICK-UP PRODUCTS

ラインナップはレザーのみ!
本革の面白みにこだわる

 現在、リューグーレザーズが運営するサイトで購入できるのは約300アイテム。そのうちオリジナルが約150アイテムで、なかでも最もオススメなのが、『ウイングネックカジュアルライダース』。ライダースとひとくちに言っても、ダブルやシングルをはじめ、さまざまなスタイルがある。そのうちのひとつが、この商品のように首元の1番上までファスナーが閉まるタイプ。同社ではこれを『ウイングネックスタイル』と命名。このモデルは、ライダースジャケットを得意とするリューグーレザーズのフラッグシップモデルとして位置づけられているのだ。ラム革を使用し、7色展開でサイズもS~3Lまでラインナップ。フラッグシップらしく、誰もが楽しめるようになっている。

 

『ウイングネックカジュアルライダース』と双璧をなすのが『ハイウェイウイングネックシングルライダース』。これも『ウイングネックスタイル』のひとつで、同社のフラッグシップモデルだ。1.4mm厚のカウレザーを使い、しっかりとした重厚感が人気で、防寒性とともに安全性にも優れている。標準装備のインナーはシンサレートを採用し、よくあるベストタイプではなく袖までしっかりとある。ボアもリアルムートンと、まさに至れり尽くせりの逸品である。

 

 カジュアルユースを意識した『レギュラーフィットストレート レザーパンツ』も人気だ。定番のストレートシルエットながら、風合いを変えた3種類のブラックをリリース。革の面白みを伝える意欲作となっている。そして『2ボタン テーラードジャケット』はライダーズアイテムだけでなく、今後はファッションにも力を入れていくというリューグーレザーズの代表作。丈を短めに設定し、ファッション性を高めている。


ウイングネック
カジュアルライダース

シンプルでスタイリッシュ! さらに7色展開+S~3Lの5サイズ展開という品揃えの良さが人気の同社を代表する1着。

ハイウェイウイングネック
シングルライダース

カラーリングはブラックとダークブラウンの2色。ともにライダースジャケットの定番カラーで、しっかりとした重厚感が感じられる。

レギュラーフィットストレート
レザーパンツ

同じブラックでもマットブラックとアンティークブラックをラインナップに加えることで、デニムのような風合いの違いが楽しめる。

2ボタン テーラードジャケット
 

ここに紹介するのは同社ラインナップで一番短いタイプ。カジュアルな組み合わせが似合うリューグーレザーズの新定番である。

BRAND INFORMATION

リューグーレザーズ

住所/東京都多摩市貝取1510-1 多摩永山JOYビル5F
TEL.042-400-0575

海外生産ながら他にはない徹底した品質管理によって高いクオリティの製品をリリースする。革自体はパキスタン製だが、バックルやリベットなどの付属品は国産を使うなど適材適所、質実なモノ作りはまさに『良いものはブランドによらず、良い!』という松本氏の理念にかなったものだといえよう。