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ミシュラン コマンダーⅡ長期インプレッション リプレイスメントタイヤを考える

ミシュランタイヤ コマンダーⅡ 長期インプレッション

まず言っておきたいのは、「ハーレーは鈍重なオートバイではない」ということである。もちろんレーサーレプリカのようなスピードも出なければコーナリングパフォーマンスもない。しかし、重くて乗りにくいオートバイかと問われれば、答えは NO である。ハーレーのハンドリング特性を理解すれば、驚くほどその運動性は高く、楽しいコーナリングも実現できる。だからこそ、選ぶタイヤにも興味を持ってもらいたい。ノーマルタイヤを選ぶのはもちろん問題ないが、他メーカーを含む交換用タイヤに目を向けることも重要なポイントなのである。

 

ミシュランは一部の FL 系モデルを除くハーレー全車種に、スコーチャーという OEM タイヤを供給している。その上で、さらにリプレイスメントタイヤとして開発されたのがコマンダーⅡなのだ。そこには、ヨーロッパの技術者が考えるタイヤとして理想があるように思う。だからこそ、その実力を知ってみたいと思うのだ。

 

恩田さんは、旧コマンダーからのヘビーユーザーである。何しろレースアナウンサーとしての仕事で、サーキットやイベント会場までのほとんどを愛車のロードグライドで走るのだから、年間の走行距離も人一倍な上に、ライディングスクールの教官としても活躍している。もちろんデモ走行は同じロードグライドなのだ。つまり、彼のタイヤに対する要求レベルは非常に高い。優れたハンドリングとグリップ性能、そして何よりロングライフなことも重要なのである。そんな恩田さんが選んできたタイヤがコマンダーだったのだ。

 

コマンダーⅡは発表当初から愛車に装着、そのインプレッションはコマンダーを上回るものだが、特性は旧型の延長線上にあるという。旧コマンダー最大の特徴は、乗り心地がしなやかで、とてもニュートラルなハンドリング特性だった。ウェットでの性能も問題なくライフも長い。ドライでの絶対的なグリップ力は限界を試すような走りをしないので不明だが、不安にかられたことは一度もない。

 

その優秀なタイヤを発売中止にしてまで入れ替えた新型のコマンダーⅡで、もっとも違いを感じたのは、「高速走行時の安定感が向上したこと」だと言う。特に、タンデムや重い荷物を積み込んだときの安心感は旧コマンダーでは少し足らなかった特性でもあり、そこには大きな秘密がありそうだ。後半は、タイヤのスペシャルショップ「スピードスター」オーナーの水口 和明さんと、やはりコマンダーのヘビーユーザーである筆者 (モリヤン) を交えた対談で、さらに細かくこのコマンダーⅡを探求してみたいと思う。

恩田 浩彦

Hirohiko ONDA

ライディングスクール教官やレースアナウンサー、そしてライターなど多彩な活動をしている人物。長年愛用する 2001年式 FLTR ロードグライドは、すでに総走行距離が20万キロを超えた。以前からミシュランタイヤを愛用し、旧コマンダーからのヘビーユーザーである。

3者対談 ミシュランタイヤ コマンダーⅡ解析

モリヤン ● タイヤは、乗っているバイクの特性で選び方が全然違うと思うけど、恩ちゃんはどんな基準で選んでいるの?

恩田 ● まず、絶対的なグリップは、判断基準にない。グリップは“するもの”じゃなくて“させるもの”。乗り方でグリップさせるということが重要だからね。でも全然グリップしないタイヤじゃ困る。そこはもちろん、どのライダーでも同じはずだけど、僕の場合はやっぱり長距離ランでの安定性やライフ。普段使いでのハンドリングがニュートラルで軽いことかな。

水口 ● コマンダーⅡを選ぶハーレーのオーナーさんって、ウチだと今のところダイナ系が多いんですよ。スポーツスターユーザーは、もう少しスポーティなイメージのタイヤを好むし、ツーリング系は実際あまりリプレイスタイヤに大きな興味は持っていないかもしれないですね。

恩田 ● へぇ、そうなんだ。僕もモリヤンも愛車はツーリング系で、コマンダーは最高だけどなぁ。それは旧型も新型もね。

モリヤン ● 旧型と新型で何が大きく違うと思う?

恩田 ● まず、単体での重量が少し重くなった。エアーを入れない状態で上から押してみると、旧型は簡単にたわむけど、新型はあまりたわまない。タイヤ自体の剛性がアップしているのは確実だね。

水口 ● 以前のコマンダーは、ホイール装着時にタイヤのビード(タイヤとホイールが密着していることろ)が上がりにくかったですけど、コマンダーⅡはまったく問題なく上がります。サイドウォール(タイヤの横の部分ブランド名やサイズが記載されていることろ)の剛性が上がってしっかりしている印象ですね。

モリヤン ● でも乗り心地がソフトな印象は変わらないね。相変わらずしっとりしていて優しい感じ。

恩田 ● そこがコマンダーの良いところだから、進化しても印象が変わらないわけだ。そのままのイメージで、高速域でも飛ばしていけるよ。僕はカミさんとタンデムすることも多いけど、そんなときに新型の違いを実感するんだ。すごく進化したと思う。

モリヤン ● 旧型は、「飛ばすとよれる」なんていうライダーも少しいたけど、それはきっとタイヤの空気圧管理が悪いんだよね。僕が思うに、きちんとした空気圧管理が前提のタイヤだったんだよ。実際、エアーが減ってくるとハンドリング変化が分かりやすいタイヤが旧型コマンダーという印象がある。コマンダーⅡはその変化が穏やかで、普通に乗っていると実は空気圧低下に気付きにくいんだ。

水口 ● お二人は、コマンダーⅡに交換されてから、どれぐらい走行しました?

恩田 ● 僕は 7000 キロぐらいかな。

モリヤン ● 僕は 18000 キロですね。でもまだ全然交換時期になっていませんよ。旧コマンダーは、後輪でも約 30000 キロ走りましたから。

恩田 ● 新型はもっとライフが長いっていうからなぁ。

水口 ● トレッドのパターンが現代的になったので、グリップしそうなイメージも大きくて、ダイナ系でも走りを重要視するユーザーに好まれているのがコマンダーⅡなんです。実際、グリップも不満なく、ライフも長いので評判は極めて良いタイヤですね。

恩田 ● ぜひツーリング系の人にも使ってもらいたいね。ノーマルのタイヤが悪いという意味ではなくて、他の選択ということに興味を持ってほしい。特に日本は、アメリカみたいに真っ直ぐの道を延々と走り続けるという環境じゃない。だからハンドリングやグリップ、そしてウェット性能も大切な要素で、その点を高次元でバランスさせたタイヤを選ぶべき。コマンダーⅡは、とても優秀なタイヤとして進化したと思いますよ。

モリヤン ● 走行距離が増えても、つまりタイヤが減ってきても、あまりハンドリングに変化を生じない。もちろん変化しているはずだけど、あまり気にならないという点も特徴ですかね。ちなみにウェットの路面でも不満はない。ペースを落として普通に走れる。溝の少ないトレッドパターンに心配があったけど、まったく問題なく、メーカー的には旧型よりもウェット性能はアップしているそうです。

恩田 ● 高速道路でのウェットでも、安心感は高いしね。やっぱり総合的に性能が高いタイヤ、ということなんだと思う。

水口 和明

Kazuaki MIZUGUCHI

タイヤのスペシャリティショップ「スピードスター」の代表。取り扱う車種は国産から外車まで広範囲で、対応するタイヤのメーカーやサイズも数多くストックする。自身も FXDL ダイナ・ローライダーを駆るハーレー乗りで、スピードスターは重量系ツーリングモデルのタイヤ交換も手がける稀有なプロショップだ。

二輪タイヤ専門店
スピードスター

住所/東京都世田谷区世田谷
1-48-8
Tel/03-3427-1351
Fax/03-3427-2662
営業/[平日] 9:30~20:15
[日曜・祝日] 9:30~19:15
定休/水曜
>> ウェブサイト

聞き手 モリヤン

ハーレー歴は20年以上。サンダンスチューンのスポーツスターに20万キロ以上乗り、現在の愛車は2台乗り継ぐ1985年式 FLHT というカメラマン&ライター。HOTBIKE Japan では「タイムトリップブルース」と「モリヤンのポンコツ万歳」を連載中。

知っておきたいハーレーのタイヤチェック項目

分かっていても、ついおろそかになっているのがエアーチェックではないだろうか。タイヤのゴムは完全に密閉されるわけではないので、正常な状態でも空気は徐々に抜けていく。必ず定期的にチェックと補充は必要なのだ。ちなみにチッソを充填すると、抜けるスピードが遅くなるというデータあり。

分かっていても、ついおろそかになっているのがエアーチェックではないだろうか。タイヤのゴムは完全に密閉されるわけではないので、正常な状態でも空気は徐々に抜けていく。必ず定期的にチェックと補充は必要なのだ。ちなみにチッソを充填すると、抜けるスピードが遅くなるというデータあり。

基本的には中性洗剤を薄めた洗浄液で汚れを洗い流し、良く水洗いすることが最大のケアになる。シリコンを含んだタイヤワックスを頻繁に使うと、結果的にゴムの劣化を早めて、表面にヒビ「オゾンクラック」を発生させやすくなる。乗らずに保管するのもゴムを硬化させるので、走って、ゴムを揉むことも性能維持には重要だ。

基本的には中性洗剤を薄めた洗浄液で汚れを洗い流し、良く水洗いすることが最大のケアになる。シリコンを含んだタイヤワックスを頻繁に使うと、結果的にゴムの劣化を早めて、表面にヒビ 「オゾンクラック」 を発生させやすくなる。乗らずに保管するのもゴムを硬化させるので、走って、ゴムを揉むことも性能維持には重要だ。

まだ走行していない新品タイヤの表面には、生産工場の型から抜く際に必要な「離型剤」が付着している。走行すれば取れてしまうものだが、タイヤ交換直後は驚くほどグリップしないので注意が必要なのだ。グリップは、するものではなくさせるもの。最初は特に優しいライディングを心がけよう。

まだ走行していない新品タイヤの表面には、生産工場の型から抜く際に必要な「離型剤」が付着している。走行すれば取れてしまうものだが、タイヤ交換直後は驚くほどグリップしないので注意が必要なのだ。グリップは、するものではなくさせるもの。最初は特に優しいライディングを心がけよう。

タイヤ専門店スピードスターより嬉しいプレゼント!

ミシュラン タイヤ残溝チェックゲージ付きケータイストラップスピードスター代表の水口さんより、以前、日本ミシュランタイヤがノベルティとして作成したタイヤの残溝ゲージチェックができるケータイストラップをご提供いただいた。このストラップを10名様にプレゼント! 輸入バイクオーナー向けの SNS サイト バージンコミュニティ に登録すれば誰でも応募OK!

ミシュラン タイヤ残溝チェックゲージ付きケータイストラップ

計10名様
応募締め切り/2013年3月19日(火)

プレゼントに応募する

コマンダーII タイヤサイズ

[フロントタイヤサイズ]

130/90B16 M/C 73H REINF TL/TT
120/90B17 M/C 64S TL/TT
130/80B17 M/C 65H TL/TT

 

140/75R17 M/C 67V TL
100/90B19 M/C 57H TL/TT
80/90-21 M/C 54H REINF TL/TT

[リアタイヤサイズ]

140/90B15 M/C 76H TL/TT
150/90B15 M/C 74H TL/TT
170/80B15 M/C 77H TL/TT
130/90B16 M/C 73H REINF TL/TT
140/90B16 M/C 77H REINF TL/TT

 

150/80B16 M/C 77H REINF TL/TT
180/65B16 M/C 81H TL/TT
160/70B17 M/C 73V TL/TT
200/55R17 M/C 78V TL/TT