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カスタムシーンの未来を見据える、ロデオモーターサイクルの今
取材協力/RODEO MOTORCYCLE  写真・文/モリヤン  構成/VIRGIN HARLEY.com 編集部
掲載日/2015年7月29日

ABOUT RODEO MOTORCYCLE

バイクメーカーとしてのロデオと
カスタムショップとしての顔

群馬県の高崎市に本拠を置くロデオモーターサイクルは、S&S製のエンジンを搭載したオリジナルバイクを生産するメーカーでもある。代表の清水智史さんは、1994年からアメリカに渡り、ハーレーのカスタムバイク輸入や製作という事業を手がけた。そして、ロサンゼルスに現地法人を設立し、ハーレーのチューニングパーツとして有名なS&S社をはじめ様々なメーカーとのライセンス契約を取得。ついにメーカーコード「1L9」を得て、ロデオオリジナルバイクとしての生産を開始した。それは、旧車としてのテイストが新車で手に入ることを意味する。つまりロデオが販売しているカスタムバイクやチョッパーは、すべて現在の厳しい規制をクリアした新型バイクということなのである。

 

メーカーであるという働きの他に、ロデオはカスタムショップとしての顔も持つ。現行ハーレーは、今やすべてのモデルがインジェクション吸気で、点火系も含めてすべてがコンピューターによって制御されているが、ストックのままでは、本来のエンジン性能は発揮できていない。ロデオでは、そんな現行ハーレーのチューニング作業にも力を入れているのである。

INTERVIEW

必要な機材は何でも導入する
それがメーカーとしての責任

オリジナルのフレームにS&S製のエンジンが搭載されているロデオ製の新車だが、代表の清水さんは現状のモデルを販売する他に、未来を見据えた取り組みも精力的に行っている。広い作業スペースには工作機械が並び、効率のよい作業を経て様々なスタイルのモデルが生産されている傍ら、ハーレーダビッドソンのカスタムやインジェクションのチューニング作業も行われているのだ。

 

ファクトリーの脇に設置されたのは、防音設備の施されたシャシーダイナモであるダイノマシン。インジェクションチューニングには必要不可欠なものではあるが、基本的に旧車テイストのカスタム製作が得意なこのロデオに設置されている理由は何なのだろうか。

 

ーまずダイノマシンが必要な理由は何でしょうか?

清水● 当社がインジェクションモデルのショベルを開発し始めたのがちょうど5年前の2010年なのですが、開発と同時にNEVADA州のDYNOJET社に出向いてシャシーダイナモで空燃比などの実走行に近い正確なデータを取りたいと相談したところ、DYNO250i というリターダー(実走行を再現できるような負荷装置)が付いている最新機種が最適だとアドバイスを受け導入を決定しました。 当時、国内でも空回しをさせてパワーを計るだけのシャシーダイナモはもう少し安く手に入ったのですが、DYNOJET社に直接相談して現モデルを導入した事は結果的には正解でした。

ー最初はどんなことから始めたんですか?

清水● あくまでも自社車両の開発用に導入しましたのでほとんどそれにしか使っていませんでした。そのうちロデオに乗っているユーザーさん達から「S&S SHOVELやPANのエンジンはやっぱパワーがすごいらしいですね! 」 という話を聞き、皆さんの車両のパワーチェックをよく頼まれるようになりました。最近では現行モデルのハーレーに乗っているユーザーさん達からの依頼でマフラー交換に併せてインジェクションセッティングを依頼される事が多いです。

ロデオモーターサイクル代表の清水智史さん。ロデオが生み出すカスタムバイクのすべては、現代交通事情にもマッチする走行性能と、刺激的な乗り味を持っている。

インジェクションチューニングは、ダイノマシン上で実際に走行させながらデータを取っていくという方法だ。どんな走行シーンもこのマシンの上で再現でき、細かなセッティングを施すことができるのである。

ー現行ハーレーのチューニング作業ということですか?

清水● そうなんです。ハーレー全車がインジェクション化されて数年経ちますが、新車そのままの状態で乗っているユーザーは、少ないですよね。やっぱり現行車でも吸排気系だけは交換したいというユーザーの気持ちも分かりますのでサポートは惜しみません。

ーそれでバランスが崩れてしまう。

清水● ノーマルのままでもダイノマシンで計測するとガソリンが薄くてエンジンに負担が大きい回転域があるのに、抜けの良いマフラーや吸い込みの良いエアークリーナーに交換したら、バランスが崩れるのは当たり前で、それはキャブの時代なら、ジェット等の変更でセッティングしていたわけですが、今はシャシーダイナモを使いながら、どこの領域が濃いのか薄いのかを正確に把握し、その部分を細かく潰しながらMAPを修正してゆくという結構地道な作業をするしかありません。 ノートパソコンを繋げただけで解決するならシャシーダイナモは要りませんよ。

ーどんなユーザーがチューニングをオーダーに来ますか?

清水● 意外に多いのが、コンピューターのチューニングをしてもらったのに、調子が悪いという人々ですね。各メーカーが提供しているデータなどは、あくまでも目安でしかなくエアクリーナーが違っただけで全く吹けなくなっていたお客さんもいましたからね。結局、インジェクション車両の吸排気カスタムは実データに基いて解決するしかありませんのでシャシーダイナモを持っているプロショップに頼むしかないと思います。

ーマフラー交換をしたのに満足できない状態になってしまったというユーザーは大変多いと聞きますが?

清水● マフラーを交換したらバランスが崩れたので、チューニングデバイスを購入し交換してもらったのに、まだまだ状態が悪いまま。そんなバイクをダイノマシンにかけると、空燃比などまったく定まっていない状態なことが多いですね。理由は様々なチューニングデバイスをどこからでも簡単に購入できることなのかもしれません。それはキャブレターでも同じで、どんな高性能キャブでもセッティングがダメならその性能は発揮しませんよね。だから知識のあるオペレーターがダイノマシンを使って細かくセッティングをしなければ正しい状態にはなりません。まだ北関東にはシャシーダイナモを保有するハーレープロショップは少ないと思いますので、そんな地元の現行ハーレーユーザーのサポートも積極的にやっていますので、悩めるインジェクションユーザーは気軽に相談してみてください。

ーロデオでは、どんな仕様を勧めますか?

清水● 今は様々なチューニングデバイスが出てきているので、ユーザーが求めるテイストに最適な方法が選べる時代です。たとえば、徹底的に三拍子に拘るとか、乗りやすさを求めるとか、高回転でのハイパワーを追求するとか、何でもできます。そのうちに、旧車だって今のまま乗っていられなくなるかもしれない。僕らはそんな時代になっても、ショベルやパンを走らせていたいですからね。どの時代のバイクでも変わらないですよ。

グラフは、赤のラインがノーマル、青がチューニング後を示しているが、パワーもトルクもほぼ20%アップ。そして、常用域である2500回転付近にあるトルクの谷がスムーズな曲線になっていることが分かる(XL1200)。

※クリックで拡大画像を表示

CUSTOM SAMPLE

旧車テイストの新車であり
飛び切りシンプルなカスタム

ロデオがラインナップするモデルは、すべてオリジナルフレームにS&S製エンジンを搭載した新車である。エンジンは主流のショベルにパンヘッド。エボリューションやツインカムモデルも揃う。そしてなんとナックルヘッドも存在するのだからそのバリエーションはユニークで数も多いのだ。基本はリジッドフレームのスタンダードで、クラシカルな外観のオールドスクールチョッパー。その他、フリスコタイプやパンヘッド当時のハーレーを彷彿させるクラシックなどもある。ロングフォークチョッパーも得意分野で、テレスコフォークやスプリンガーのモデルも存在する。ここでは、現在イチオシのカスタム車を紹介することにしよう。

 

エンジンのクランクケースに刻印されているS&Sの文字。つまりすべてのモデルがハーレーダビッドソンではなく、ロデオのオリジナルバイクとして販売されている証でもあるのだ。

ソフテイルタイプのフレームにショベルエンジンという組み合わせに、インジェクションを装備する。その記念すべき1号車が展示されている。

どこからみてもオールドスクールなシルエットでスタンダードなカスタムと思うのだが、その内容はフルデジタルのインジェクション吸気モデルなのだ。フレームはソフテイルタイプ。

インジェクションのユニットもまたS&S製であるものの、ショベルエンジン用に開発されたものではなく、フィニッシュワークはロデオオリジナル。各種センサーも当然装備された完成車である。

現在装着されているマフラーは、ハーレーのオリジナルサイレンサーで、音質も音量もしっかり規制値内に収まった状態。もちろん触媒も装備されている。

旧車にとってどんなに厳しい状況になっても、それを克服していくロデオの熱い魂が宿ったこのカスタムモデルの販売価格は328万円(諸経費・税別)

ナックルヘッドの新車が手に入るのも、ロデオの大きな特徴だが、このエンジンは特別仕様の93キュービックインチ。つまり1600ccというスペシャルで、限定販売される。

通常のラインナップには存在しない、超ビッグツインのナックルヘッド。シルエットは完全にビンテージだが、動力性能は眼を見張るような実力であるという。

フリスコスタイルの車体に74スプリンガーフォークを装着したビンテージシルエット。数台が限定販売されたモデルの価格は328万円(諸費用・税別)

10人気のあるパンヘッドエンジンのモデルももちろん新車。フリスコタイプの、通常ラインナップモデルである。

11信頼性の上がったパンヘッドエンジンは80キュービックインチ(1340cc)で、SUキャブレターが装備されている。

12リジッドフレームにテレスコピックフォークという、シンプルなシルエットの定番モデルは、248万円(諸費用・税別)

13クラシックフレームのネックを5度レイクさせ、低く長いシルエットを持たせたサベージというシリーズ。定評あるショベルエンジンを搭載したクラシカルチョッパーである。

14S&Sエンジンにオープンプライマリーという組み合わせが、ロデオの定番。このモデルは、ステップバーではなくボードという設定で、クルーザーとしての性格を持たせている。

15低く長いプロポーションにスプリンガーフォークを装着したサベージの価格は、268万円(諸費用・税別)

SHOP INFORMATION

オリジナルバイクの新車販売から
カスタム製作まで幅広く活動

国道17号線からほんの少し入った場所にあるロデオは、関越自動車道の高崎や前橋からアクセスが容易な立地。この方面には、まだダイノマシンを備えたショップが少ないので、現行ハーレーのオーナーにとっても、頼りになるショップであることは間違いない。カスタムと同時進行でチューニングすることを強く勧めたいショップだ。

RODEO MOTORCYCLE

住所/群馬県高崎市上並榎町454-1 ( 拡大地図を見る
電話/027-370-4000
営業/10:00-19:00 (日曜日のみ18時まで)
定休/月曜日・冬期休暇日・夏期休暇日

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