VIRGIN HARLEY |  藤枝 三保子(アイアンハート スタッフ)インタビュー

藤枝 三保子(アイアンハート スタッフ)

  • 掲載日/ 2008年12月27日【インタビュー】

ハーレーインタビューの画像

言葉無しでコミュニケーションが取れる
それがバイクに夢中になった理由です

セパハンにバックステップのスポーツスターに乗る藤枝さん。ベースモデルはファミリー内で最高峰のパフォーマンスを誇ったXL1200Sだ。誰もがカリカリの走りを想像するXLカスタムに跨るのは、レザージャケットをこよなく愛する女性。周りにハーレー乗りが増えたから乗り始めたのではなく、ただスポーツスターに乗りたいからと購入を決意して今で4台目。根底にあるのは、大好きな音楽と同調するバイクのリズム感。決して峠を速く走るのが好きなわけではない。14歳で目覚めたジャパニーズパンクミュージックを原点に、都心から八王子までの往復70kmを日々元気に通勤する藤枝さんにお話をお聞きしてきた。

Interview

私はハーレーが好きなんじゃなく
スポーツスターが好きなんです

ー最初は、なぜハーレーに乗ろうと思ったのですか?

藤枝●ハーレーは一番最後に乗るバイクだと思っていたんですよ。速く走るのではなくて、ゆったりと乗るイメージがありましたから。でもその頃、まだ攻めのバイクに乗りたいという気持ちがあって、「スポーツスターだったらどっちも楽しめそうだなぁ」と大型免許をとったんです。

ーその前はどんなバイクに?

藤枝●ずっと国産バイクを乗り継いできました。ホンダ「クラブマン」、カワサキの「エリミネーター400SE」、「ゼファー400」、そしてスポーツスターです。大型にはやっぱり憧れがありましたね。ずっと中型に乗っていて大型バイクについていけないとか、まわりが大型に乗り出したとか。それで「大型がイイなあ」って。特にアメリカンが好きだったわけではないんです。私は誰が乗っても速いバイクじゃなくて「ソレで走るの?」って言われるようなバイクで速く走るのが好きなんです。

ーでは普段から結構飛ばすのですか?

藤枝●スピード狂ではありません。細かい動き、すり抜けとかで人馬一体になる感じが好きなんですよ。体調がイイ時は、バイクとフィーリングが合った瞬間にバイクと踊っているような感覚になるんです。スポーツスターはそういう振り回せるバイクなのでお気に入りですね。

ースポーツスターは何台か乗り継いだとか?

藤枝●最初に2000年モデルの883を新車で買ったんですが3ヶ月で盗られて…。また同じ883を買ったんですけど、当時の私には「求めているのはコレじゃないなぁ」って思ったんですよ。それでアイアン(ショベルヘッドのスポーツスター)を手に入れたんです。

ーアイアンはどうでしたか?

藤枝●すごくいい感じの乗り味が楽しめました。そんなにスピードを出さなくてもスピード感はあったし、私が乗っていたのは1985年式の後期モデルだから、一般的なアイアンとはフィーリングが違うと思いますけれど。

ー乗り味は883と比較するとどう違ったんでしょう。

藤枝●荒々しさがある、ガツガツしている感じ。エヴォの方がスムーズでしたね。でも故障が絶えなくて、2回も腰上オーバーホールをしたんです。でも、それはバイクが悪かったのではなくて、私の運転が悪かったんです。たぶんアクセルを開けすぎだったんですよ、「いけるとこまで~」って。883と同じような感覚で乗っていましたね。そしてある時、高速を走っていたらエンジンから「カンカンカンカン」って音がしてくるんですよ(笑)。

ーアイアンでその乗り方はダメですね(笑)。それでまたEVOに戻ったのですか?

藤枝●営業もハーレーで走ってまわるので、トラブル続きだと仕事にも支障をきたしますし。それで2年半前に今のXL1200Sに乗り換えました。私が求めているくらいの無理をしても、たいてい付いてきてくれるので1200Sは楽しいですね。高回転のままでも走り続けられますし、883とは全然違います。正直言って883での高速走行はストレスを感じていたんです。けれど1200Sなら大丈夫。走り好きの私にはぴったりのバイクですね。

ライダースジャケットに似合うジーパン
女性に受け入れられるゴツイ服を展開したい

ーどんなきっかけで今の仕事に就いたのですか?

藤枝●もともと服が好きで、アパレルの仕事をしたいという気持ちはあったんです。ある時たまたまこのジーンズを履く機会があって、「21ozなんてゴツイジーンズ履けるの?」と思いながら試着してみたら、あらビックリ! ものすごく気に入ってしまって。

ー21ozジーンズのどこが気に入ったのでしょう。

藤枝●ライダースの革ジャンが好きで、ずっとそれに似合うジーパンを探していたんです。でも、最近はストレッチが主流でガッチリしたジーンズがなく、特にレディースでは皆無だったんです。ストレッチ以外のレディースモデルのジーンズが欲しい。そんな時にこの21ozジーンズに会ったんです。

ーその出会いがきっかけでアイアンハートに入社したわけですね。藤枝さんが入社してからレディースは増えたのですか?

藤枝●ジーパンの生地違いやジャケットとかシャツなど、レディースラインは増えつつあります。ゆくゆくはトータルで展開したいですね。私以外にも、絶対そういうものを探している女性がいると思うので。アイアンハートのレディースモデルとして、もっともっと広げていきたいと思っています。

ーレディースのラインナップが増えて女性の方々の反応はどうですか?

藤枝●女性のお客様は増えましたね。ありがたいことに、女性のお客さんって口コミが多いんですよ。あとは旦那さんが履いていて自分も履きたくなったとか。ハーレーのお客さんが圧倒的に多く、ツーリングがてら来る方も多いですね。都心からちょうどいい距離にショップがありますから。

ー藤枝さんの目論見は着々と進んでいるわけですね(笑)。

藤枝●はい。女性はゴツイものを敬遠しがちなので、そのイメージを変えたいですね。女性にも「そんなに履きづらくないんだよ」ということがわかってもらえるように頑張っています。仕事ではないのですが、女の子だけのミーティングにも行くようにしています。21ozを履いていってみんなに見てもらうんです。最近では会場に着くとみんなに「ジーパン屋が来た」っていわれますけれど(笑)。

ーところで藤枝さんはなぜライダース好きなのでしょう?

藤枝●私はバイクに乗るずっと前からジーパン、ライダース、ブーツだったんです。14歳の頃から日本のパンクが好きになって、その頃にバンドを始めたんです。だから、そういった服装が私にとっては自然なんですよ。

ー今でもバンド活動は?

藤枝●バンドやっていたのは25歳くらいまでです。途中でバイクに興味を持っちゃって、どちらもお金かかるじゃないですか。それで中途半端になるんだったら音楽はやめ、思う存分バイクに乗ろう、と。

ー先ほど話していた「バイクと踊っているような感覚になる」というのは、バンドで培った感覚から来ているのかもしれませんね。

藤枝●今、気づきましたけど、ルーツをたどるとすべて音楽につながっているのかもしれませんね。音楽もバイクも、ただ楽しいんですよ。どちらも言葉無しで他人とコミュニケーションがとれるものだと思うんです。バイクだと、誰かと一緒に走っている時に会話なんてできないじゃないですか。でも、相手の走りを見て「この人はこう走りたいんだな」とか、言葉を交わさなくてもコミュニケーションが取れている。そういう感覚が好きなんです。

ーどんな風にバイクを楽しんでいるのか、わかった気がします。でも、スポーツスターにセパハンはヤル気ですよね。

藤枝●決して峠を走ってタイム計って…。そういうのが好きなわけではないんですよ。昔からセパハンのスタイルに憧れがあったのと、みんながやってないからやりたかったんです。私、天の邪鬼なところがありますから(笑)。でも、ポジション変わるくらいカスタムしたのは初めてですね。このスタイルはずっと憧れていたんですが、やっと形にすることができました。昔乗っていたエリミネーターでも、セパハンにしてロケットカウルをつけようと本気で思っていたましたから。

プロフィール
藤枝 三保子
34歳、21ozジーンズで知られるアイアンハートの直売店RAC店長。2台の2000式XLH883と1985年式XLS1000を経て現在のXL1200Sに至る。ライダースジャケットをこよなく愛する、パンク好きの天然系お姉さん。

Interviewer Column

もともと同じ職場にいたこともあり、親近感がある三保ちゃん。アイアンハートに努めて2 年半。店長職に就き、夢に向かって生き生きと浮かぶ笑顔に感銘しました。日本のパンクは以前僕も好きだったので、何度かライブハウスに出向いた記憶あり。最後に行ったのは、たしか6~7年前に行ったスタークラブ(新宿ロフト)だね…おっと、僕はマニアではないので難しい質問はなしにしましょう。僕は癒し系の音楽が好きなもんで。そういえば今、ウチにも1200Sが一台あるんです。以前の職場のOB会総勢(何名かな?)で、暖かくなったら走りにでも行きましょう。ジーパンの修理、またよろしくお願いします。

文・写真/佐々木孔一朗
ピックアップ情報