VIRGIN HARLEY |  外山ともみ(ビーズ屋公ちゃん。)インタビュー

外山ともみ(ビーズ屋公ちゃん。)

  • 掲載日/ 2009年02月24日【インタビュー】

ハーレーインタビューの画像

大好きなハーレーとの出会いが
私を今の場所へと導いてくれたんです

レザークラフトショップ「ビーズ屋公ちゃん。」の工房の奥に腰を据え、ただならぬオーラを放っているのは、ショップオーナー公ちゃんではなく女将のともちゃんだ。25歳のときに訪れたトイ・ラン(現在は終了)で見たハーレー乗りのカッコよさにノックアウトされ、ハーレーの世界に入った。その後、「とにかく大きいハーレーに乗りたい」とFLSTSヘリテイジ・スプリンガーをセレクト、10年が経った今も大切に乗り続けている。その後、彼女の人生を大きく変えることとなる今のご主人と出会い、ハーレーとレザークラフトに囲まれた毎日を送っている。憧れていた非現実の世界を楽しみながら、レザークラフト界の最前線に立つ職人のひとりである彼女に話を聞いた。

Interview

小さな出来事から始まった
彼女とハーレーの馴れ初め

ー20歳の時に中型免許を取ったそうですね。

外山●キッカケは、日ごろからよく遊んでいた仲のいい女友達が免許を取得したことでした。彼女が免許を取りに行っていることは知らなくて、いきなり免許を取ったことを知らされてびっくりしました。バイクに乗るような感じの子ではなかったので、驚きも大きかったです。それを聞いて「負けていられない」と、私も免許を取りに行ったんです。

ーご両親は反対しなかったんですか?

外山●私が小さい頃から親もバイクに乗っていたので、反対されることはなかったですね。元々私もバイクに興味を持っていたんですが、実際に自分が乗ることになるとは、正直思ってもいませんでした。

ー免許を取ったときからアメリカンに乗ろうと思っていたそうですね。

外山●当時、私のまわりではアメ車がすごく流行っていて、私自身もアメリカ製のクルマやバイクが大好きだったんです。だから中型免許を取ると決めたときから、アメリカンしか考えられませんでした。それで買ったのがスティードです。そのときは、まだ頭の中にハーレーという選択肢がなかったですね。免許を取ってからは、教習所で知り合った友達と一緒に走りに行ったりしていました。

ーハーレーへの乗り換えを考えるようになったキッカケは?

外山●25歳のときに参加したアメリカンバイクのイベントです。ちょうど読んでいたバイク雑誌に告知記事が出ていて、行ってみたんです。そのイベントは、今まで見たことがないような世界でした。みんながハーレー乗りで、女性もたくさん来ていました。それを見て「みんな、すごくカッコイイな」と純粋に思ったんです。それで、「私も絶対ハーレーに乗ってやる」って決心しました。

ーそこからハーレー購入に向けて、すぐ動き出したんですか?。

外山●はい。以前から大型免許を取りたいなと思っていましたし、イベント後にすぐ申し込みに行きました。思い立ってからは早かったですね。

ーそのイベントが、ともみさんとハーレーを結びつけたわけですね。

外山●当時はかなり田舎にある実家に住んでいましたから、その界隈でハーレーなんか走っていませんし、イベントにでも参加しないと、そういう世界に触れることができませんでした。だからこのときのイベントで知ったハーレーの世界を「これ、いいかもしれない」って純粋に思えたんです。そして26歳のとき、大型免許を取得してすぐに現在の愛車FLSTSヘリテイジ・スプリンガーを購入しました。

ー初めてハーレーに乗った時の印象を覚えていますか?

外山●車体が大きすぎて、走っているとヨレてしまうんじゃないかな、という先入観があったんですが、意外と乗りやすかったのを覚えています。それ以外では特に心配したりしませんでした。力はもちろん、運動神経にも自信がありましたから。

ー購入して10年になるヘリテイジ・スプリンガーを選んだ理由は?

外山●とにかく大きいハーレーに乗りたかったことと、スプリンガーに憧れていたことですね。ノーマルのヘリテイジにスプリンガーを取り付けられることは知っていましたが、最初からスプリンガーがついているモデルにしようと思ってこのバイクを選びました。

ー購入する前からハーレーの研究はしていたんですね。

外山●ここに行くとハーレー乗りが集まっていると噂の場所がありまして、そこを訪れては仲良くなったハーレー乗りの人たちに話を聞いたりして、情報を集めていました。あと、近所のバイク屋さんからもいろいろ聞かせてもらいましたね。

ーハーレーへの入れ込みようが伝わってきます。

外山●購入してからしばらくは、ひたすら乗っていましたね。今でも覚えているのは、その冬の一番寒い日にひとりで走りに行ったこと。こんな日は誰もバイクになんか乗らないよっていうぐらいの寒さの中、とにかく「乗りたい」という一心で走りに行きました。目的地を定めずに、おかしなほど毎日毎日走っていましたよ。

趣味だったレザークラフトが商いに
ママさんハーレー乗りの本音とは

ーハーレーとつながりを持つレザークラフトショップに嫁いだわけですが、心境の変化はありましたか。

外山●まず言えるのは、ハーレーに乗る機会が減ったことですね。出店するためにイベントへ行くようになり、「遊び」という気持ちが一切なくなってしまいました。移動も車になりましたし。あと、名古屋は都会なので、田舎と違って乗りにくいという面もあるのかな。とにかく結婚する前と後とで、ハーレーとの間に一歩距離ができたのを覚えています。

ーそれは悲しいですね。旦那さんもハーレーに乗っているし、結婚してからはツーリングする機会が増えたのかと思っていました。

外山●結婚する前に、2人で北海道に行きました。出店するイベントへ行く際も、ハーレーで走っていったこともあります。その後は、お店のみんなと何度か走りに行ったぐらいですかね。考えてみると、2人で一緒にっていうのはあまりなかったかもしれません。最近も行っていないですよ(笑)。

ーお子さんを出産されてからは、乗る機会は減りましたか?

外山●子供が生まれて5~6年になりますが、乗る機会は少し減りましたね。育児と仕事の両立は、想像していた以上に大変です。でも、それは仕方のないことです。そのときどきで時間を見つけて、目的もなく走りに行っちゃっていますよ(笑)。

ー乗る機会が減った理由が、他にもあるって聞きましたが。

外山●今から4年前のクールブレイカーで、出店した際に商品のディスプレイと合わせて、私のバイクをカスタムして展示したんです。「カッコよくなるかな」なんて思いながら自分好みのスタイルにしてもらったんですが、そうしたら以前より少し乗りにくくなってしまったんですよ(笑)。それも乗る機会が減った理由のひとつですが、それでもめげてはいないですよ。ようやく最近乗り慣れてきましたね。こんなことでハーレーを嫌いになんかなりたくないですから。

ーでは、本業であるレザークラフトという仕事にはすぐ馴染めたのですか?

外山●それは問題なかったです。ハーレーに乗り出した頃からレザークラフトが大好きで、日ごろから自分で材料を仕入れてビーズを付けたりしていたんです。カバンとかブレスレットとか、いろいろと自分で作っていましたね。

ー女性では珍しいですね(失礼)。

外山●シートでもカバンでもウオレットでも、私は「自分で好きなものが作れる」ということが好きなんです。みんなと同じでない自分だけのオリジナル。これは、とても素敵なことですよね。それに、好きなのはレザークラフトだけではないんです。革での布でもご飯でも、素材から物を作り上げることが大好きなんです。

ー生粋のクリエイターですね(笑)。では今は、ハーレーにレザークラフトと、大好きなものに囲まれて幸せなんですね。

外山●そうですね、どっちも今の私には欠かせないものです。レザークラフトは生活のためでもあるんですけど、自分の大好きな趣味なんです。ハーレーは子供と一緒で、自分のそばにあって当たり前のものですね。そばにあることで私の日々の生活が成り立っているというか。今はあまり乗れていないんですけど、手放そうとは考えたことは一切ありません。

ーでは、育児にかけている手が少し放れれば、またいろいろと走りに行けますね。旦那さんからお誘いの声は上がらないのですか。

外山●たまにそういう話はします。でも今は仕事が忙しいので、なかなか長い時間を作って2人で走りに行くというのは難しいんですよね。

ー以前みたいに、ハーレーでミーティングに行きたくなったりすることもあるでしょう。

外山●もちろん行きたいですね。特に最近、ハーレーに乗り出した頃のバイク友達と行きたいと思っているんです。みんなも結婚して家庭ができたことで、最近は全然会えなくなっているので。やっぱり気の合う友達同士で、気ままに走りに行くのって楽しいじゃないですか。だからって、旦那と行きたくないわけではありまんよ(笑)。とにかく今後も楽しくハーレーに乗れていけるように、今は旦那と頑張っているところです。

プロフィール
外山ともみ
35歳。今やハーレーミーティングの顔的存在である、愛知県名古屋市のレザークラフトショップ「ビーズ屋公ちゃん。」の女将。26歳の時に購入したFLSTSヘリテイジ・スプリンガーとの付き合いは今年で10年におよぶ。

Interviewer Column

初めて彼女を紹介されたのは、旦那である外山公一(私は「ビーズ屋」と呼んでいます)の地元・長野での結婚式会場でした。当時のビーズ屋はかなり豊満な体型で、新郎用タキシードを着ていたにも関わらず、隣りで行われていた長野県大相撲なんとか会の方に案内されたことや、イケメン友人と2ショット写真を撮ったともちゃんがその腕を組んだまま離さなかったことなんかも覚えています(笑)。あれから7年、月日の流れは早いもので僕らも完全にアラフォー世代。何が人生かはおのおの個人の考えだけど、仕事と子育てを一生懸命両立させているビーズ屋とともちゃんは、羨ましいぐらいにお似合いの夫婦になってきたよ。これからも一層、愛を育んでくださいまし(笑)。

文・写真/佐々木孔一朗
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