VIRGIN HARLEY |  ショベルパーツ事情まつもと流ショベルヘッド入門

ショベルパーツ事情

  • 掲載日/ 2008年01月18日【まつもと流ショベルヘッド入門】
  • 執筆/ハーレー屋まつもと 松本 雄二
まつもと流 ショベル入門コラムの画像

まつもと流 ショベル入門コラム 第4回

ショベルのパーツ流通について
今のところは問題ありません

ショベルヘッドが生産されていたのは1966年~1983年。最終型のモデルでも発売からもう25年も経ってしまっています。これだけ古いモデルのパーツの供給がどうなっているのか、について今回はお話しましょう。結論からお話すると、ショベルのパーツ供給はまだまだ問題ありません。ショベルも古いモデルになると純正パーツの欠品が出始めていますが、純正パーツを補修すれば、まだまだ現役で走らせることが可能というのが現状です。

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こんなパーツも補修して使用します

さて、当時のパーツの耐久性についてですが、鉄製のパーツなどは非常に肉厚に作られており、今でも補修をすれば充分使えるほど耐久性があります。シリンダーやヘッドはもう純正では出ませんが、シリンダーはスリーブを打ち換えれば再使用できますし、ヘッドもよほど傷んでいない限りは補修して使えるのです。ただし、あと5年、10年もすればスリーブの打ち換えを安心して依頼できる内燃機屋さんがなくなっているかもしれません。そうなると純正部品を補修するやり方もできなくなってくるでしょう。昔はバイクも車もオーバーホールの際には内燃機屋さんに仕事を依頼するのは珍しくありませんでした。

しかし、最近は何十万kmもエンジンを触らずに走れてしまう車もあり、オーバーホールやボアアップ時にシリンダーごと交換する例も多くなってきて、内燃機屋さんの仕事が激減しています。そのため、後継者が育たず、腕のいい職人の高年齢化が進んでいます。彼らが続々と仕事を引退してしまうと…特殊な技術が必要とされるボーリングなどを依頼できるところが無くなってしまうかもしれません。内燃機屋さんが減ってしまったら…エンジンパーツが簡単に手に入らない旧車乗りは困ってしまうことでしょう。自分でボーリングなどをやってしまうショップもありますが、内燃機は特殊技能です。メカニックが片手間にできるような作業ではありませんから、私は必ずプロに依頼しています。腕のいい内燃機屋さんが今後もたくさん残ってくれることを願ってやみません。

将来のパーツの心配をするより
今ついているパーツが心配です

ショベルの整備を長年続けてきてハーレーがスゴイな、と思うのは消耗品の供給についてです。ガスケットなどの消耗品はまだまだメーカーから取ることができますし、つい最近だと一時は生産中止となっていたショベルの純正ピストンがメーカーから再び取れるようになりました。本国でもまだまだショベルを愛する人が多いので、メーカーもサポートを続けているのです。ショベルも年式が古いものになれば欠品パーツが増えてきますが、年式の新しいパーツが古いものに流用できます(これを“レトロフィット”と言います)。ショベルにエボのホイールが使えますし、ベアリング類も2000年までは共通のモノが使われてきました。同年式のパーツにこだわりすぎると、パーツ供給に少し不安を感じることもありますが、純正パーツでセレクトしても年式にこだわらなければまだまだ調子よくは知らせることができるのです。

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ボトル類は下手に交換しないこと。コレ重要

ボルトやナットは純正品以外でも品質は悪くありませんが、下手にボルトなどを新しいモノに交換すると、それだけで調子を落としてしまうことがあるのでココは要注意です。例えば、腰下に取り付けられているクランクの位置を決める3本のボルト。長さが合えばどんなボルトを使っても良さそうに思えますが、3本のボルトのうち1本だけを交換したり、適当に締めたりするとアライメントが狂ってしまうのです。何気ない部品でも重要な役割を果たしていることがあります。その辺りに気を遣わず、やたらとパーツが交換されている車両も多いので、パーツの供給に不安を感じるよりも「今ついているパーツは大丈夫か?」の方に気をつけた方がいいかもしれません。

品質がいいモノもありますが…
社外品はあまりつけません

社外品にこだわらなくても、ウチではお店でストックしているパーツも結構ありますし、オークションを使えばパーツの入手に困ることもまだありません。どうしても手に入らないパーツがある場合は、海外の知人のネットワークを辿れば、思わぬところで見つかることもあります。先日、アメリカの知人にパーツ探しを頼んだらデンマークで見つかったことがありました。インターネットでモノ探しが簡単にできるようになりましたが、最後に役立つのはマニア同士のネットワークだった、ということも珍しくありませんね。

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純正タンクは錆がでにくい処理がされています

シリンダー以外で入手に困るのは外装パーツでしょうか。タンクは純正品だと内部に錆が出ないようなコーティングが施されていますが、社外品は何も施されていません。社外の新品タンクを頼んでお店に届いたら、もう中が錆びていた…なんてこともありました(笑)。社外パーツメーカーでも品質がいいモノもありますが、品質にバラつきがあったり、素材がよくなかったりするものがあるのです。ウチが社外パーツをほとんど使わないようにしているのは品質に信頼がおけないため。ただし、社外パーツメーカーでもアンドリュースなど、それなりに値段がするメーカーのモノは信頼がおけます。台湾や中国製の安いパーツは…精度が悪く後から加工が必要なモノが結構ありました。一度、社外のシリンダーをボーリングに出したところ、内燃機屋さんから「コレ、純正ちゃうやろ? 素材が柔らかくて加工しやすいから、すぐにわかるわ」と言われたことがあります。同じ形のように見える部品でも素材が柔らかければ変形しやすく、割れやすい。ウチでは社外品をほとんど使わないので、どのくらいトラブルが多いのかは断言できませんが、シリンダーやヘッドなどは品質に信頼のおける純正を使うようにしています。

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右は社外のゴムホース。締め付けられ変形しています

もう1点、ウチがこだわっているのは燃料ホースなどのゴム製品。ハーレーが純正で採用しているゴム製品は非常に品質がいいゴムを使っています。取り付けられて何十年も経った燃料ホースでも、表面は硬化していてもヒビ割れがないなど、丈夫さに驚かされることが多々ありました。純正ホース類が交換されている車両だと、ゴムが劣化してヒビ割れたり、クランプで締め付けられるウチに変形したりしているものを多く見てきました。ウチは純正にホース類を供給しているアメリカメーカーのモノを使用していますが、今のところゴムの劣化に悩まされることはありません。ゴムの劣化で後々トラブルに悩まされるのは面倒でしょうから、こんなところにも最初から気を遣った方がいいでしょう。

ここまで「社外はダメ」という話ばかり書いてきましたが、純正以上の品質を誇るパーツも当然あります。RKエキセルのチェーンは純正以上の品質なのです。なかなかチェーンは伸びず、そのためスプロケットもなかなか減りません。チェーンについては純正にはまったくこだわりませんね。ショベルなどの旧車に乗る人たちは、修理の際に純正パーツにだけこだわることはだんだん難しくなってくるでしょう。ただ、できるだけ純正パーツを活かしてやってください。それくらいの耐久性が個々のパーツに持たされていますし、それだからこそ発売から何十年も経ったハーレーが元気に走り回っているのです。

プロフィール
松本 雄二

58歳。1971年よりハーレーに関わり“超マスターオブテクノロジー”と称されるほど、その技術力の評価は高い。複数のディーラーを経て「ハーレー屋まつもと」をオープンさせ、日々ハーレーの修理にいそしむ。なお不正改造車、マフラーのウルサイ車両は触ってくれないので注意!

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