VIRGIN HARLEY | ラスベガス生活スタート 芦田 剛史のUSAディーラー・トレーニングダイアリー

ラスベガス生活スタート

  • 掲載日/2007年04月05日【芦田 剛史のUSAディーラー・トレーニングダイアリー】
  • 執筆/芦田 剛史
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本場ディーラーでハーレーを学ぶ USA Training Diarys 第12回

家財道具をトレーラーで引っ張り
ラスベガスまで車を走らせます

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こんにちは、メカニック芦田です。
早いもので年が明けたと思ったら、もう4月になってしまいましたね。こちらの気候では“春”らしい春はなく、冬から突然夏に切り替わるという感じで、トレーナーからいきなりタンクトップに衣替えした私です。さて、前回「転職決定!」でご紹介いたしました通りに、私は今ラスベガスで新たなスタートを切りました。大変だった就職活動やアリゾナからの引越しも無事に終わりましたが、「ちょっと一息」という時間も無く2日間の休息を経て、到着後すぐにラスベガスH-Dにて記念すべきスタートを切りました。

それにしても今回の一件で大変だったのは、初めてのアメリカでの引越しです。日本でも引越しらしい引越しを経験したことのない私にとって、なかなか骨が折れるものでした。アパート探しから、電気やインターネットの契約、トラックとトレーラーを借りて、家具一式、工具、バイク、車を引っ張っての大移動…。根性のない私は出発の日の朝に「やっぱりアリゾナに残れば良かったなぁ」なんて思ってしまいましたね。朝4時にアリゾナのアパートを出発し、真っ暗なフリーウェイを走っていると物凄い不安が襲ってきます。無事に着くかどうか、という不安ではなく、見知らぬ土地に一人で踏み入れ、先で何が待っているのか解らない不安感です(完全にネガティブな人間ですね・笑)。それでも車中でふと思い出したことがありました。「俺って、この前アメリカに来た時は、空港で帰ろうかと思った人間なんだよなぁ~」そう考えてみると、随分以前よりは根性が座ったものです。いろんなことに思いふけっている内に、6時間半のドライブを終え昼前にラスベガスへ到着! 世界的な観光地であるラスベガスの堂々たる街並みが、日本の田舎から出てきた私を迎えてくれたのです。

何百台もの新車が並ぶ巨大な店内
おそらく世界最大級のディーラーです

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アパートの入居を無事に済ませ家具を降ろし、いよいよ目的の場所ラスベガスH-Dへ向かいました。過去何度となくラスベガスH-Dに見学という形としては訪れましたが、今回ばかりは立場が違います。今回の訪問は新スタッフとしての訪問ですから、さすがに緊張します(いつもながら大袈裟で御座います・汗)。私は普段、自分より大きな存在と対面する時に2、3度“気圧されるな”という言葉を心の中で言いますが、今回は5 回言いました(笑)。お客として行った時は「いいなぁ!」とか「いつかここで働きたいなぁ!」と思っていたのですが、この時は「こういうお店はやっぱりお客さんとして行くのが一番だねぇ!」と逃げ腰気味…。いくらラスベガスH-Dだといっても、そこまで萎縮することもないのですが、流石に店がデカイ! 「前に来た時よりデカくなっているのでは?」と思ってしまいました。たまに威圧感のある人が大きく見えますが、正にそんな感じです。お店の表では写真を撮っている観光客らしき人が沢山いました。アメリカ各地からも、お店を一目見ようと観光に来ているのが覗えます。「やっぱりココは全米の中でも特別なディーラーなんだな…」と気押されそうになりますが、うだうだ言っていても始まりません!

まずは、やけくそ(?)な感じでサービスマネージャーに会いに行きましょう。「ついに来てしまいましたぁ。3月から宜しくお願いします!」と、何故か勢いで緊張をブッチぎるハイテンションな挨拶をかましてしまいました。サービスマネージャーは一言、「うん、来たね。今日は忙しいから話ができないよ」と。このくらいの反応の方が気持ちいいものです。話を聞いてもらえるようにこれから実力を見せればいいだけの話ですから。段取り良く工具を配置しようと作業ブースを見に行ってみて、改めてその広さに驚きました。 フェニックスのアローヘッド(前回修行していたディーラー)でも相当な広さと感じましたが、その広さの約1.5倍はあろうかという余裕のスペース。

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しかし、ここでは状況によっては3台、4台と同時に受け持つようになる時がしばしばあります。そういった時はこれ位の広さがないと対応できなくなってしまうのです。このスペースならば、一気に4台並べて作業する事も可能ですし、収納スペースが十分に確保されていますので、取り外した部品等を安全に管理することもできます。まさにプロフェッショナルな環境を感じさせる作業ブースです。しかしながら、作業ブースが素晴らしいからといって、お店が巨大だからといって、良質な仕事が出来ているかどうかは個人のテクニックと気構えによるところが多いわけですから、初見で雰囲気に飲まれてはいけません。こんな凄いブースで仕事しているメカニックたちをパッと見ると「いかにもプロ」という風に見えるんです。しかし、メカニックはそんなに甘いものでは御座いません(笑)。 私もいつかは立派なブースや工具が似つかわしいメカニックになりたいものです。

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さて。ハーレーの話だけだと、勿体ないのでラスベガスについてもご紹介しましょう。ご存知の方も多く居られると思いますが、ラスベガスという街は砂漠のど真ん中にポツンと創られた、ある意味、偏狭の地です。砂漠と言っても、アラビアの砂漠をイメージしてしまうと、ちょっとイメージが違ってしまいます。砂ばかりなのかと言うとそうでもなく、岩山や草木も見かけます。とは言え、壮大で苛酷な世界であることは間違いありません。そんな砂漠のど真ん中にあるのがラスベガスなのです。もともとはマフィアが理想的な賭博街をイメージして開拓を進め、発展した街だとか。一番最初に出来たホテル&賭博場は、たった一人のマフィアの愛人のために建てられたと聞きます。…スケールの大きい話ですね。

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かつてはマフィアが支配していた街も、現在は当時と比べて治安も良くなり、随分住みやすくなったみたいです。しかし、治安の悪い場所は現在でも点在しており、夜の一人歩きは控えた方が良いでしょう。「実際住んでみてどうなのよ?」というところですが、正直な所、ギャンブル好きでないこなら楽しさ半減の街であることは間違いないでしょう。ただ「ラスベガスの人たちが全員ギャンブル好きなの?」と言うと、そういう訳でもありません。私は小心者なので(ケチ!)一切ギャンブルはしませんから、他に何か楽しみがなければ生きてはいけないわけです。海もないこの街で楽しいことを探すと…そこにハーレーが挙がるのかもしれません。「”ハーレーに乗る”ことはラスベガスに住む人々にとって、とても貴重なレジャーであり、重要な日常の楽しみなのではないかな?」という印象を受けました。これは私自身の感覚ですが、実際に住んでいると、そんなにしょっちゅうにあのネオン街やカジノへ出向こうと思うこともないのです。仕事で疲れた後、あの人ゴミや雑踏へ足を踏み出すのはなかなかキツいものがありますから。それよりも、ハーレーに乗って町外れの静かなバーにでも行けたらなぁと思ったりする私なのであります。何故かラスベガスの駄目出しになってしまいました…すいません(笑)。いくら観光で素晴らしいと思ったても、住んでみるとまた違った一面が浮き彫りになってくるものです。そんな生活の中でもやっぱりハーレーは変わらずに手元にあってくれるので、今の私の最大の娯楽はハーレーということになりそうです。…しかし、あのネオン街は一軒の価値あり!です。 ギャンブルをしなくでも、丸一日楽しめますよ。

アリゾナとはまったく違う雰囲気
まずは慣れることからのスタート

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アリゾナのH-Dディーラー『アローヘッドH-D』を経験した私にとって「同じアメリカ内でのH-Dディーラー間にどのような差があるのか?」を見極めるのは、非常に興味深いことでありました。それも今回の修行場所変更の目的の一つでもあったのです。実は今回の移動で最も驚いたのは“人柄”でした。大袈裟ではなく、ラスベガスに住む人の多くは“ドライな性格”なんじゃないかと思ったのです。「あ、あんたたち! ちょいと冷たくねぇかい?」ってなもんです。これは難しい話です。日本でも、田舎と都会どっちが人間味豊かだと聞かれれば自ずと答えは出てくるものでしょうから。ラスベガスH-Dは事務的で合理的なシステム。対して、アローヘッドは人間的で融通の利いたシステムという感じでしょうか。もちろん、この差に最初は戸惑いました。むしろ「アローヘッドが異常だったのでは?」という感じです。 毎日お祭り騒ぎでしたから(笑)。何度も「真面目にやれよな~!」と思っていました。細かい所で戸惑ったのが、工具、部品、設備、書類、その他の細かい名称の違いとシステムの違いです。この違いは、アメリカ人にはたいしたことないのですが、私のような英語があまりできない人間にとっては結構大きな違いなのです。例えば、アローヘッドでは特殊工具はSSTルームにすべて置かれていて、誰もが自由に使えました。ラスベガスでは、自分の名前の入ったプレートと引き換えで担当部(この担当部の呼び名も違っていて、最初は何のことやらという感じ)から貸し出しになります。こんな些細な差が何十と重なると結構しんどいモノでして、まだまだ慣れるには時間が掛かりそうです。

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と言ったように、ラスベガスH-Dはしっかりした管理体制の下に組織的なシステムを取り入れてあるお店であると感じました。会社組織自体が大きく、人員も多いのできちっとシステム管理していないと収集つかなくなるのでしょうね。サービスに関しては最新技術に対して積極的であり、EFI(インジェクションのことです)やエンジンのパフォーマンスチューン技術に長けています。積極的な研究とパフォーマンスに関しては、アメリカでもかなり上位に入るディーラーでしょう。その積極性の表れとして、ラスベガスH-Dの100hpクラブ(エンジンチューンを施した車両で100馬力越えをした方々のクラブ)が挙げられるでしょう。他にもレンタルバイクの規模の大きさも有名です。100台以上のハーレーをレンタルバイクとして管理しているんですよ。国際免許で借りることができ(他ディーラーではその限りではありません)レンタルハーレーでグランドキャニオンやフーバーダムを見に行く観光客も沢山居られるようです。ラスベガスに観光にきて「ちょっとハーレーをレンタルしようかな」と思ったら、ここまで来れば簡単にハーレーを借りることができるんです。日本からレンタル予約などしなくても、天気のいい好きな日にハーレーを借りることができるので、機会があれば是非利用してみてください。

全従業員数が200名近いこのマンモスショップでの勤務がいよいよスタートしました。この先どんな出来事が私を待っているのでしょうか。恐いやら楽しいやら…。今後は更に詳しく報告できる機会もあると思います。どっちにしても、ここまできたらやるしかないですね!。

それでは次回をお楽しみに!

プロフィール
芦田 剛史

26歳。幼少からバイクと車に興味を持ち、メカニックになることを誓う。高校中退後、四輪メカニックとして4年の経験を積み、ハーレー界に飛び込む。「HD姫路」に6年間勤務、経験と技術を積み重ねたのち「思うところがあり」渡米を決意。現在はラスベガスHDに勤務。(※プロフィールは記事掲載時点の内容です)

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