VIRGIN HARLEY |  第6回 低速トラブルシュートCVキャブレター講座

第6回 低速トラブルシュート

  • 掲載日/ 2005年08月20日【CVキャブレター講座】
  • 執筆/ジャイアン
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キャブレターセッティング時の
トラブルシューティング ~ 低速編 ~

ダイノジェットなどのセッティングパーツには、取り扱い説明書に「組み込み時に発生しやすい問題」について、いくつかの解決方法が書いてあります。参考までにこちらでもご紹介しましょう。

さて、まずは「始動~低速時」に起こりうる問題点です。ここで不具合が起こる時は部品の組み付け不良、不適合、使用部品のクセ、調整の不備が考えられます。では、起こりがちなトラブルとその原因について書いてみましょう。

※作業上の注意点は「セッティング時の注意点」での記載をご覧ください。

始動しない

電気系統には問題がなく、セルは元気に回っているけれど、キャブレターをいじった後にエンジンが始動しないことがあります。ここで考えられるのは「ガソリンがキャブに落ちていない、または落ちない」です。原因としては…

負圧コックがバキュームホースから外れている。もしくは、亀裂が入っているためコックからガソリンが落ちない。
コックがOFFのまま(意外にあります・笑)。
キャブレターを組み立てる時にフロートが引っかかり、バルブが開かない。

…などです。(1)と(2)はキャブレターを触っていなくても起こりうるトラブルです。(3)は確実な作業で避けられますが、もしこうなってしまった場合はドライバー等で軽く叩き、それでも是正しない場合は再度分解しなければなりません。

始動はするがアイドリングしない、走り始めても力がない

これは、ミクスチャースクリューやアイドルスクリューの調整に問題がある場合が多いです。全く調整せずにキャブレターを組む場合、ミクスチャースクリューは締め込んだところから「2回転半もどし」でセットします。アイドルスクリューはスロットルドラムに当たるところから「1回転」ほど締め込んでおけば良いでしょう。実際の調整は完全にエンジンが温まった状態でなければできません。上記の作業でひとまずは走れる状態になるはずですので、10kmほど走行した後に本格的な調整に入りましょう。タコメーターが無い車両の場合は、まずアイドルスクリューをアイドリングが連続音になるまで締めます。次に、ドライバーでミクスチャーの調整に入ります。初期設定から1/2回転ずつ左右に振り、回転が高く変化する所を見つけ合わせます。

社外エアクリーナーの場合はミクスチャーがもう少し開いた所までいくものもあるため、初期設定は3回転戻しからはじめてもいいでしょう。また、連結管付きのエキパイの場合は調整がやりづらいことがあります。この場合は「ノーマルエアクリーナー使用車両は2回転半戻し」、「社外エアクリーナー使用車両は3回転戻し」でセッティングはそれほど外れないでしょう。ミクスチャー調整後にアイドルスクリューを調整しアイドリングを適正回転まで戻し、セッティングを出してください。

アフターファイヤーやバックファイヤー(吹き返し)が起こる

ここで考えられるのは、以下のようなことです。

ミクスチャーの調整不良
不適切なジェットやミクスチャー調整によるガスの過濃化または過薄化

(1)は社外マフラーなどに換えた時、アクセルを戻した時に発生しますが、これは2の調整で回避できます。(2)は必要以上に大きい、または小さい不適切なスロージェットがセットされていることで起こります。 また、ミクスチャースクリューの役割はスロージェットで計量された混合気の流入量の調整ですからガスの濃さとは直接関係はありません。しかし、混合気の流入量が増えれば「ガスが濃い」のと同じ、混合気の流入量が少なければ「ガスが薄い」のと同じことになりますから調整には気を付けて下さい。

キャブレターへガスが吹き返す、いわゆる「バックファイヤー」はガスが薄過ぎるときに起きやすく、アクセルを開ける瞬間(発進時等)に起こります。アフターファイヤーもアクセルをあけた時に起きやすい現象ですが、バックファイヤーはガスが薄いため吸い込まれる前に発火してしまう現象で、アフターファイヤーは濃過ぎるガスの不完全燃焼ガスが排気管内で発火して起こります。どちらも異常燃焼ですから、適切な燃焼が行われれば当然燃費も上がり、ガスもクリーンになります。ただし、プラグやコイルなどの点火系の不具合でも同じことが起こるので見極めが必要です。

アクセルを開けても加速しない、または加速しないポイントがある

これは排気システムの影響によることが原因の場合が多々あります。

ノーマルエンジンに不適切な排気システムを組んでいる(太過ぎる排気管直径、バッフルを持たない直管マフラー、システムを無視した必要以上の消音材の追加など)
2in1の集合管のクセ

(1)の場合、不適切なマフラーを適切なモノに交換し(純正と同程度の直径の排気管、バックプレッシャーがかかるバッフルがついたマフラー、排気と消音のバランスが取れているサイレンサー)、再度セッティングがするのが良いでしょう。スロージェットのサイズアップ(#42<#45<#48)で改善することもありますが、それでは根本的な解決にはならず、エンジンの不調を招くことがあります。

(2)の場合、集合管のクセから2000回転付近で落ち込むか、全く加速しなくなることがあります。この場合はスロージェットをひと番手上のモノに換えるか、ニードルを1段上げる、もしくはその両方で改善します。ただ、2000回転付近は街乗りや低速巡航で使う回転域であり、その後の加速のつながりにも影響が出るため、ガスの濃さの変化は最小に抑えたい所です。

最後に

ここまでが考えられる低速時の代表的なトラブルです。しかし、実際にはさまざまな現象が現れるため、トライアンドエラーの連続になります。低速で走るところに「ハーレーらしさ」を求めている方は本編か、後ほど執筆する「キャブレターセッティング時のトラブルシューティング(中速編)」までのセッティング調整で十分です。

余談になりますが、「せっかく社外のセッティングパーツを組んだのに余り変化がない」。そうおっしゃる方がたまにいます。セッティングの不備からそういうことが起こる場合もありますが、大方は乗り方の問題のような気がします。社外セッティングパーツは元来レース用のキットが元になっているため「レスポンス」や「吹けあがり」を早くすることはできます。しかし、所詮は負圧式のCVキャブレターです。完全に同調しているわけではありません。特に、ツインエンジンの場合だとアクセルを大きく開けた方が反応は早くなります。そもそも、セッティングパーツは急激にアクセルオープンをした時にすばやく反応するように交換するパーツなので、普段通りユックリ開けていては余り変化が感じられないはずです。最低でも1度に1/4ほどアクセルをひねってやれば、驚く加速が始まります。そのため、アクセルを開けることが出来なければ、また必要無ければセッティングパーツを取り付ける意味はないでしょう。

また「排気音」のためにマフラーを換える場合、そのために再度キャブレターの調整が必要になることもあるでしょう。しかし、オイラは「ハーレーらしい」と思われる音にはほとんど興味がありません。オイラが求める音は「エンジンで適切な燃焼が行われていることを知るための音」です。そのため「エンジンにとって最良のマフラーはどれなのか」と言う選択はしますが「ハーレーらしい音」はどうでもいいので、皆さんの全てのニーズにはお答えできないかもしれないことはお断りしておきます。

プロフィール
メンテナンス番長 ジャイアン氏

XLH883とFLSTFを所有する。彼のハーレーへの造詣は深い。特にCVキャブレターには、仕組みはもとよりセッティングや最適化まで幅広い知識を持つ。最近は、ブログにてメカニズムを中心に執筆中。

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