VIRGIN HARLEY |  1976年式 XLHフルカスタム

1976年式 XLH

  • 掲載日/ 2011年08月25日【フルカスタム】
  • 撮影/磯部 孝夫  執筆/HOTBIKE japan 編集部 満永 毅
    本記事は HOTBIKE japan vol.120 にて掲載されたものです
1976年式 XLHのフルカスタム画像
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アイアンスポーツ専科による
70年代のベイエリアカスタム

スロットルをあおってガスを燃焼室へ。キックペダルにのせた足裏で上死点を探り「ここぞ!」と思ったポイントで踏み抜くと、「スタタン」という弾けるようなサウンドとともに、排気量1000ccの4カムエンジンを搭載する1976年式の XLH は目覚めた。パウコのリジッドフレームに搭載されたミッション一体のコンパクトなモーターが奏でる小気味良いアイドル。フェアバンクスの固定式マグネトー点火ゆえ三拍子こそないけれど、硬質で弾けるようなこの排気音は、アイアンバレルの XL ならではのもの。

左ブレーキ/右クラッチという現行車とは逆のフットパターンゆえ多少の慣れこそ必要だが、下からトルクのあるエンジン特性に加え、ハーレーらしからぬ軽い車重とコンパクトさで、ひとたび路上へ乗り出せば、至福の時間が保証される、といっても過言じゃない。さらに言えば、残念ながらこの感覚はラバーマウント&インジェクションでより快適に走る現行スポーツでは決して味わえないもの。快適という名の進化と引き換えにしたアナログのロマンである。

「アイアンスポーツ専科」として昨今頭角を表す東京・大田区の Sporty Garage。店主・横塚博昭ほどショベルスポーツ好きを感じるメカは少ない。好きが高じて店を立ち上げたマニアの典型。これまで乗り継いだハーレーはすべて4カム。自らのショップを構えた今も、横塚の仕事場にビッグツインは見当たらない。

「純正も好きですが、カスタムも同じぐらい好きなんです。そもそもアイアンに興味を持ったキッカケにはアレン・ネスを筆頭とする70年代のベイエリアカスタムの影響もありました」

900cc ルックの 1000cc カスタム。1970年代のベイエリア……横塚ならではのコンセプトが投影された一台だ。

1976年式 XLHのフルカスタム画像

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カスタムの詳細をチェック!

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アイアンの先代となる4カム SVエンジンの Model Kのフロントエンド。トップT&ライザーはクローム処理。ネックベアリングもボールからターパーへ変更済。
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ロッカーカバーに咲いた繊細な唐草模様の彫金。メッキ処理後彫り込まれる往年のアメリカンカスタムの手法とのこと。ボルトはゴールドメッキ。
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カスタムのイメージを決定付けているペイントワークは、相模原を拠点とする SKOP の仕事。ピンラインとリーフを使い分け、繊細なアラベスクを展開。
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スパルトテールは通常よりひとまわり小さくリサイズされたマンクスマンのオリジナル。リアフェンダーは Kモデルのフロント 19インチ用を流用している。
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片ハブのドラムブレーキは H-D GENUINE のKモデル用をクロームメッキして採用。タストカバーの付く 33.4mm のアウターフォークも同じメッキ処理。
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ステップのラバーは「たまたま店に転がっていた」という米アフターパーツメーカーのディキシー製。ちなみにブレーキペダルのラバーは H-D GENUINE。
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60年式の XL に純正採用されたスムーズなカムカバーとフェアバンクス製マグネトーのボディには美しいクロームメッキ。4カム狂のビルダーならではのこだわり。
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上質な牛革が張られたコンパクトなシングルシートはスプリングを介してフレームマウント。サイド部のステップもポイントだ。座り心地も良好。
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ボッシュタイプのレギュレーターはメッキボディ。その前の筒状部品はマグ点火 /バッテリーレス化に伴い取り付けられたコンデンサーである。
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アルミポリッシュのオイルタンクは往年のCHレーサーをイメージソースにワンメイク。若干大きめな分、オイルの内蔵量もアップ。キーボックスもシート下へ。
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往年のアレンネス・ネスのディガーにも見られたベルトドライブ&オープンプライマリー化。このモディファイによりレフトサイドの印象が刷新されている。
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リアフェンダーに採用された Kモデルのフロント 19フェンダーのステー。フリークならたまらないディテイルだが、若干短く加工後してメッキ処理が施される。
SHOP INFO.
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Tel & Fax/03-3778-6332
営業/10:00~19:00
定休日/水曜&第二木曜
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