VIRGIN HARLEY |  ハーレースポーツスターファミリーのロングセラーモデル「スポーツスター1200カスタム」試乗インプレ

ハーレースポーツスターファミリーのロングセラーモデル「スポーツスター1200カスタム」

ハーレースポーツスターファミリーのロングセラーモデル「スポーツスター1200カスタム」の画像
HARLEY-DAVIDSON XL1200C(2018)

チョッパーからボバーへ進化
ファミリーの牽引者として君臨

1996年のデビューからラインナップに君臨し続けるベストセラーモデルXL1200C。チョッパーライクなスタイルは2011年のマイナーチェンジ時にボバーへと変わり、新たなハーレーの楽しみ方を伝えんとする存在感を放つ。スポーツスターファミリー全体の様相と1200カスタムが担う役割について分析してみよう。

XL1200C 1200カスタムの特徴

実は20年以上のラインナップ歴を持つ
スポーツスター屈指のベストセラーモデル

XL1200C 1200カスタムの画像

ギラッと輝くクローム仕様の1202ccエンジンに、前後16インチスポークホイール、専用の砲弾型ヘッドライト & バイザー、メーター一体型ライザー、17リットルという容量のフューエルタンク、専用デザインのテールランプなど、各所に細やかな個性を与えられた1200カスタム。キャラクターという点ではフォーティーエイトやロードスターの方が際立っているが、1200カスタムはその存在意義をブレさせることなく、20年以上もラインナップを飾り続けている。

1200カスタムがデビューしたのは1996年と、今から22年前。当時は現在のラバーマウントスポーツスターの一世代前にあたるリジッドスポーツスターの時代で、ラインナップもXLH883やハガー、XLH1200というシンプルなモデルが並んでいた。一方、メーカーがカスタムしたモデル「ファクトリーカスタムモデル」という考え方はそれ以前からハーレーにも存在し、リジッドスポーツスターへの最初のアプローチとして誕生したのがこの1200カスタムだった。

XL1200C 1200カスタムの画像

当時の1200カスタムは、今のスタイルとはかなり異なるものだった。高級感あるクローム仕様のエンジンやメーター一体型ライザー、砲弾型ヘッドライトといった各パーツは変わらないが、フロント21 / リア16インチホイールにフォワードコントロールステップと、数年前までラインナップに残っていたXL1200V セブンティーツーによく似たチョッパースタイルとされた。

現在の1200カスタムは2011年にマイナーチェンジをしたもので、同年にデビューしたファーティーエイトの流れを組んだ前後16インチホイールのボバースタイルが基本となっている。タンクはビッグサイズになり、よりフォーティーエイトとの差別化を意識したニュートラルなボバーモデルへとバージョンアップを果たしたのだ。

ファクトリーカスタムの先駆者ではあるが、より強烈な個性を放つフォーティーエイトやロードスターといったモデルと比べると、やや地味な印象を持たれる方もいるだろう。だが、「スタンダードなモデルをどうカスタムするか」を楽しむハーレーダビッドソンの世界を振り返ると、この無垢なスタイルこそカスタムのベースモデルに向いているとも言えるわけで、ボバースタイルでありながらフォーティーエイトには与えられないオリジナリティを持たせることも可能なのだ。

XL1200C 1200カスタムの画像

2011年から基本的な姿は変わっていないが、あれからフロントフォークやリアサスペンション、ブレーキングシステム、ABS搭載などフットワーク系が大幅に進化した1200カスタム。その進化を体感すべく、インプレッションへと進んでいこう。

XL1200C 1200カスタムの試乗インプレッション

ロードクルーザーとしては申し分なし
手の入れ方次第で楽しみ方はグッと増す

XL1200C 1200カスタムの画像

アイアン883、フォーティーエイト、スーパーロー、そしてこの1200カスタムと、ロードスターを除くスポーツスターはこぞってローダウン仕様になっている現代のスポーツスターファミリー。加重時シート高も、アイアン883の760mm、フォーティーエイトの710mm、スーパーローの705mmと並び、1200カスタムも725mmと低い設計となっている(ロードスターは785mm)。身長174cmの筆者がまたがると、当然ながら膝が曲がってのベタ足だ。158cm程度の女性ライダーがまたがっても、少し踵が浮く程度。足つきへの不安はほぼないと言える。

メーター一体型のライザーはグッとライダー寄りの設計になっているので、ハンドルポジションはかなり余裕あり。思い切りハンドルを切った際、逆側の腕がピンと伸びてしまうといざというときの取り回しを気にしてしまうところだが、こと1200カスタムについてはその心配はまずない。体格的に気になるようだったら、ライザーはそのままにプルバック型ハンドルバーを検討してみると良いだろう。

いざ走り出してみると、1200エンジンが小気味良い鼓動とフィーリングを奏で、マシンを力強く押し出す。1202ccという数字だけ聞くと「どれだけのハイパワーマシンか」と危惧される方もいるだろうが、想像されているほどのモアパワーで振り回されることはない。正直「400ccバイクかな?」と拍子抜けするほどシャープで軽やかな動き出しである。思わず「883ccモデルだったっけ?」と思ってしまうほどだ。

XL1200C 1200カスタムの画像

ハーレーダビッドソンの現行モデルはすべてコンピューター制御された、いわゆるEFI(フューエルインジェクション)モデルである。エンジンをより効果的に、かつ効率的に機動させて快適なライディングを楽しむためのシステムなのだが、一方でアメリカと異なる排ガス規制値を設定している日本に輸入される際、パワーを大幅に制限したプログラムとされており、この1200カスタムの試乗車をはじめ、ハーレーダビッドソン正規ディーラーで販売されるモデルはすべてパワー規制がされたものとなっている。

要は、本来のパワーを発揮できていないのだ。

特にこの1200カスタムについて「出しきれていない」と筆者が言い切れるのは、同じ1200エボリューションエンジンをフルチューンしたXL1200Rを日々の愛機としているから。本気のセッティングが施されたエボリューションエンジンのパワーは、こんなものではない。特にハイウェイでの高速走行時の伸びは、さすがハーレーと思わされるほど心地よく気持ちが昂ぶってくるようなもの。今回の試乗で千葉・東金までハイウェイライドを試してみたが、本来のパワーが出せていないだけに「もったいないなぁ」という印象が残ってしまった。

かといって、今の規制が緩和することは(今のところ)ないので、この1200カスタムをクルーザーとして楽しみたいオーナーには、インジェクションチューニングの検討をオススメしたい。乗り心地はもちろん、燃費も向上して航続距離も伸びるなど、良いこと尽くしでもある(チューニング業者の回し者ではない、決して)。

XL1200C 1200カスタムの画像

そのハイウェイライドで気になったのが、シートだ。この1200カスタムのシートエンド部分に「SPORTSTER SINCE 1957」と、スポーツスターの歴史を振り返る縫製がされているところに好印象を抱いてはいるのだが、そのシートの表皮が滑らかすぎようで、走行中に臀部が滑ってしまうのだ。シート内の素材が柔らかいのもちょっと気になるところ。「柔らかいのは良いことじゃないか」と思われるかもしれないが、シートが柔らかすぎるとライダーが体を支える足への負担が大きくなり、膝や腰へ不必要な負担が増して、長距離ライドで疲れてしまう……ということも。何事も程度が大事で、ほどほどの柔らかさが好ましい。もう少し反発力がある滑り止め表皮のシートだと、ツーリングは一層快適なものになるだろう。

そんなライダーへの衝撃をやわらげてくれる前後サスペンションは、大きくバージョンアップを果たしていた。2015年から全スポーツスターに採用されたシングルカートリッジ式フロントフォークにプレミアムエマルジョンサスペンションの動きは申し分ないしなやかさで、ローダウンモデルゆえに衝撃の受け止め幅は決して大きくはないが、そのスタイルを鑑みると十分な成果を得られている。

XL1200C 1200カスタムの画像

それだけに、ちょっともったいないのがタイヤだ。ミシュランのスコーチャーは、聞けば2万キロを超えるライフを誇るという。逆に言えばそれだけ硬い材質が用いられているということで、犠牲になるのはグリップ力だ。実際、ちょうど雨天時に街を流したのだが、歩道などの白線上ではちょっとホイールスピンしてしまう場面も。それこそ1200エボリューションエンジンがチューニングなどで本気仕様になったら、スピンの幅もより大きくなってしまう。1200カスタムのパワーや重量を考えると、ライフが1万ちょっとのグリップタイヤが好ましいのでは?とも。

ミシュラン・スコーチャーなだけにタウンユースでもあまり無茶な走り方はしなかったが、ドライコンディションでならしっかり取り回せるところが頼もしく感じさせてくれた。信号での右左折など、街中でクイックに曲がらねばならないときにはミッドコントロールステップをしっかり踏み込んで旋回してくれる。ローダウンモデルゆえにグッと倒し込むとステップを擦ってしまうが、かといってアップライトなスタイルにするモデルでもないので、擦ることを楽しむぐらいが良いのかもしれない。

XL1200C 1200カスタムの詳細写真

XL1200C 1200カスタムの画像
腰下のクロームが眩しい空冷4ストロークV型2気筒OHV2バルブエンジン「エボリューション」(排気量1,202cc)。以前はフルメッキ仕様だったが、近年の「ダークカスタム」ブームからシリンダーヘッドやエアクリーナーがブラックに。
XL1200C 1200カスタムの画像
先代1200カスタムから引き継ぐ砲弾型ヘッドライトと専用バイザー。そのバイザーやトリプルツリーもブラックアウトされている。
XL1200C 1200カスタムの画像
ニュートラルな形状のハンドルバーは気持ちプルバック気味に。取り回しという点では優れた形状のバーである。
XL1200C 1200カスタムの画像
こちらも先代1200カスタムから継承しているメーター一体型のハンドルライザー。フルメッキ仕様なのがその名残か。
XL1200C 1200カスタムの画像
17リットルという容量を誇るビッグサイズのフューエルタンク。今年のグラフィックは2013年モデルからラインナップされたスポーツスターXL1200CAリミテッドから引き継いだもので、カラーはこの「シルバーフォーチュン/ブラックテンペスト」のほか、「ブラックテンペスト」「スマトラブラウン」「トゥイスティッド チェリー」「ボンネビルソルトパール」「インダストリアルグレーデニム/ブラックデニム」と充実している。
XL1200C 1200カスタムの画像
タンデム走行が可能なダブルシートを採用。かつてスポーツスターファミリーに並んでいたXL883Cから引き継いでいるクラシカルなものだ。
XL1200C 1200カスタムの画像
そのシートのエンド部分には「SPORTSTER SINCE 1957」と、その歴史の長さを物語る縫い込みが刻まれている。
XL1200C 1200カスタムの画像
ほとんどのモデルにテールランプ一体型ウインカーが搭載されるなか、この1200カスタムは2011年のマイナーチェンジ時に採用されたオリジナルの小ぶりなテールランプを継続採用している。
XL1200C 1200カスタムの画像
かつてフルメッキ仕様だった前後16インチスポークホイールも、リムをブラックアウト。ブレーキはシングル仕様に、そしてタイヤはミシュラン・スコーチャーとされる。
XL1200C 1200カスタムの画像
アイアン883よりもグッと外に突き出した1200モデル用ミッドコントロールステップ。根元部分を短くできれば、もう少しバンク角を確保できることだろう。
XL1200C 1200カスタムの画像
各所がブラックアウトするなか、ノーマルマフラーだけは変わらずメッキ仕様を貫く。ブラックとのコントラストがその存在感を強めているようだ。
XL1200C 1200カスタムの画像
プレミアムライドエマルジョンショックもブラックアウトタイプに。約30cmとストロークが短いため性能に限界はあるが、それでも及第点のスペックを体感させてくれた。
XL1200C 1200カスタムの画像
2016年モデルより全スポーツスターに標準装備されたU.S.製ライトスプロケット。実はフォーティーエイトだけ異なるデザインのスプロケットが採用されているので、そちらも見比べられたし。

こんな方にオススメ

自分だけの世界観が明確な人に
1200カスタムは全力で応えてくれる

試乗インプレッションについてはなんだかダメ出しみたいな内容だが、かなりスポーツライドに振り切ったロードスターは別として、スポーツクルーザーという点ではファミリーの中でも秀でた存在だと言っていい。カスタム次第では、他のモデルにはない味を与えられるとも。そういう意味で言うと、自分なりの楽しみ方がはっきりしている人、自分だけの世界観を持てている人にこそ1200カスタムがふさわしいと言えよう。カスタムの世界でもこのモデルをベースとした例は希少なだけに、チャレンジャーの登場を楽しみに待ちたい。

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