VIRGIN HARLEY |  ハーレースポーツスターファミリーのロングセラーモデル「スポーツスター1200カスタム」試乗インプレ

ハーレースポーツスターファミリーのロングセラーモデル「スポーツスター1200カスタム」

XL1200C 1200カスタムの試乗インプレッション

ロードクルーザーとしては申し分なし
手の入れ方次第で楽しみ方はグッと増す

XL1200C 1200カスタムの画像

アイアン883、フォーティーエイト、スーパーロー、そしてこの1200カスタムと、ロードスターを除くスポーツスターはこぞってローダウン仕様になっている現代のスポーツスターファミリー。加重時シート高も、アイアン883の760mm、フォーティーエイトの710mm、スーパーローの705mmと並び、1200カスタムも725mmと低い設計となっている(ロードスターは785mm)。身長174cmの筆者がまたがると、当然ながら膝が曲がってのベタ足だ。158cm程度の女性ライダーがまたがっても、少し踵が浮く程度。足つきへの不安はほぼないと言える。

メーター一体型のライザーはグッとライダー寄りの設計になっているので、ハンドルポジションはかなり余裕あり。思い切りハンドルを切った際、逆側の腕がピンと伸びてしまうといざというときの取り回しを気にしてしまうところだが、こと1200カスタムについてはその心配はまずない。体格的に気になるようだったら、ライザーはそのままにプルバック型ハンドルバーを検討してみると良いだろう。

いざ走り出してみると、1200エンジンが小気味良い鼓動とフィーリングを奏で、マシンを力強く押し出す。1202ccという数字だけ聞くと「どれだけのハイパワーマシンか」と危惧される方もいるだろうが、想像されているほどのモアパワーで振り回されることはない。正直「400ccバイクかな?」と拍子抜けするほどシャープで軽やかな動き出しである。思わず「883ccモデルだったっけ?」と思ってしまうほどだ。

XL1200C 1200カスタムの画像

ハーレーダビッドソンの現行モデルはすべてコンピューター制御された、いわゆるEFI(フューエルインジェクション)モデルである。エンジンをより効果的に、かつ効率的に機動させて快適なライディングを楽しむためのシステムなのだが、一方でアメリカと異なる排ガス規制値を設定している日本に輸入される際、パワーを大幅に制限したプログラムとされており、この1200カスタムの試乗車をはじめ、ハーレーダビッドソン正規ディーラーで販売されるモデルはすべてパワー規制がされたものとなっている。

要は、本来のパワーを発揮できていないのだ。

特にこの1200カスタムについて「出しきれていない」と筆者が言い切れるのは、同じ1200エボリューションエンジンをフルチューンしたXL1200Rを日々の愛機としているから。本気のセッティングが施されたエボリューションエンジンのパワーは、こんなものではない。特にハイウェイでの高速走行時の伸びは、さすがハーレーと思わされるほど心地よく気持ちが昂ぶってくるようなもの。今回の試乗で千葉・東金までハイウェイライドを試してみたが、本来のパワーが出せていないだけに「もったいないなぁ」という印象が残ってしまった。

かといって、今の規制が緩和することは(今のところ)ないので、この1200カスタムをクルーザーとして楽しみたいオーナーには、インジェクションチューニングの検討をオススメしたい。乗り心地はもちろん、燃費も向上して航続距離も伸びるなど、良いこと尽くしでもある(チューニング業者の回し者ではない、決して)。

XL1200C 1200カスタムの画像

そのハイウェイライドで気になったのが、シートだ。この1200カスタムのシートエンド部分に「SPORTSTER SINCE 1957」と、スポーツスターの歴史を振り返る縫製がされているところに好印象を抱いてはいるのだが、そのシートの表皮が滑らかすぎようで、走行中に臀部が滑ってしまうのだ。シート内の素材が柔らかいのもちょっと気になるところ。「柔らかいのは良いことじゃないか」と思われるかもしれないが、シートが柔らかすぎるとライダーが体を支える足への負担が大きくなり、膝や腰へ不必要な負担が増して、長距離ライドで疲れてしまう……ということも。何事も程度が大事で、ほどほどの柔らかさが好ましい。もう少し反発力がある滑り止め表皮のシートだと、ツーリングは一層快適なものになるだろう。

そんなライダーへの衝撃をやわらげてくれる前後サスペンションは、大きくバージョンアップを果たしていた。2015年から全スポーツスターに採用されたシングルカートリッジ式フロントフォークにプレミアムエマルジョンサスペンションの動きは申し分ないしなやかさで、ローダウンモデルゆえに衝撃の受け止め幅は決して大きくはないが、そのスタイルを鑑みると十分な成果を得られている。

XL1200C 1200カスタムの画像

それだけに、ちょっともったいないのがタイヤだ。ミシュランのスコーチャーは、聞けば2万キロを超えるライフを誇るという。逆に言えばそれだけ硬い材質が用いられているということで、犠牲になるのはグリップ力だ。実際、ちょうど雨天時に街を流したのだが、歩道などの白線上ではちょっとホイールスピンしてしまう場面も。それこそ1200エボリューションエンジンがチューニングなどで本気仕様になったら、スピンの幅もより大きくなってしまう。1200カスタムのパワーや重量を考えると、ライフが1万ちょっとのグリップタイヤが好ましいのでは?とも。

ミシュラン・スコーチャーなだけにタウンユースでもあまり無茶な走り方はしなかったが、ドライコンディションでならしっかり取り回せるところが頼もしく感じさせてくれた。信号での右左折など、街中でクイックに曲がらねばならないときにはミッドコントロールステップをしっかり踏み込んで旋回してくれる。ローダウンモデルゆえにグッと倒し込むとステップを擦ってしまうが、かといってアップライトなスタイルにするモデルでもないので、擦ることを楽しむぐらいが良いのかもしれない。

1200カスタムの詳細写真は次のページにて
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