今回はワタクシの愛車カスタムの番外編! 自身のヘルメットをD.I.Yペイントしてしまいます。「こういう風にしたい」というヘルメットのデザイン案が浮かんできてから、どこかのペインターにお願いしようかなどとフトドキなことを考えていたのですが、いろんなバイク雑誌を読んでいるうちに「いっちょ自分でペイントしたろか」と思うようになりまして、それで今回の企画と相成りました。年末年始を寝正月にしないための思いつき企画ですが、皆さんの参考になれば幸いです。
この個性的なデザインを切り捨てるのは少々心が痛いが…仕方ない!
D.I.Yペイントをされる方はどなたもそうですが、まず自分が描くイメージをイラストにしていくことが第一ですね。ヘルメットメーカー「アルファレイズデザイン」のPDFファイルヘルメットキャンパスを利用させていただき、塗り絵のようにいろいろと描いてみるのがベストでしょう。ちなみに僕は最初のイメージが固かったので、一度筆書きしただけで確定し、一気に用品を買い揃えにいきました。品々は右の通りで、スプレー缶やマスキングテープ、耐水サンドペーパーはバイク用品量販店で、アートナイフなどの工作用品はホームセンターで揃えられます。
で、ベースとなるヘルメットは愛用しているTACHIBANAのSHM OLD SCHOOL “ROCK” CBGB SKULL PISTON(GERMAN GRAY)。「ここまでデザインされているものを剥ぐとはなんと勿体ない!」という声が聞こえそうですが、新境地に飛び込む際に多少の犠牲はつき物なのです。僕自身も躊躇いはありましたが、ええいままよ、思い切って着手するのだ!
まずは耐水サンドペーパーの#300で表面をグリグリ磨いていきます…が、思ったほど進まない。イラチなジャージーはここで目の粗い#150に切り替え。すると見る見るうちに削れていきます!
じっくりとまんべんなく研磨していくと、表面のクリアーが削れ、下に貼られたステッカーも徐々に消えていきます。この段階で、周辺は粉だらけ。そして右腕はパンパンになり、次第に疲れ果ててきて…。
「とりあえずステッカーがなくなったから良いだろう」と中途半端に割り切った僕。この段階で、自分がイメージするデザインに沿ったマスキングのテストを施してみます。うーん、大体こんなもんかな?
こうしてホック部分にマスキングテープをあてがっていきます。ヘルメットのフチのラバー部分は取り外すかどうか悩みましたが、素人が手を出すと大変なことになりそうなのでマスキングしちゃいました。
ホックに貼り付けたマスキングをアートナイフで細かく切り取っていきます。こうした器用さを求められる作業は日本人の得意とするところですが、ケガをしやすい作業でもあります。慎重に、慎重に…。
とりあえず大体のマスキングが完成。「後は状況に応じてマスキングを施していこう」とB型的に完了させます。今だから思うことですが、やはりヘルメットの塗装はキレイに削り取るべきだな。
まずは缶を熱湯に漬けてやりましょう。これは缶スプレー塗装のキホン!これをするのとしないのとでは、噴出する塗料の決め細やかさがまるで違うのです!(やったことないクセに偉そう)
ヘルメットだと、一色につき300mlの缶スプレーなら丸々一本使い切りますね。ミニサイズのスプレーも市販されていますが、たった数百円をケチって塗料が足りなくなる惨事はぜひとも避けたいです。
塗装が乾くまでの目安は、夏場または暖かい室内なら数時間、冬場の寒いガレージだと5~6時間は要するかも。僕は暖房を効かせた室内に干しましたが、お陰で部屋ん中がシンナー臭かった~(笑)。
乾燥するまでのあいだ、ネット通販で購入した『水曜どうでしょう』DVD「北極圏突入~アラスカ半島620マイル~」をじっくり観賞。待ち時間を楽しみながらじっくり乾かしてやるのが大人のたしなみというもの。
やってしまいました、大失敗…。ステッカーを剥がしたところの塗料のノリが悪かったために重点的に吹き付けた結果、垂れちまいました。スプレーは遠くから霧状に吹き付ける、キホンです!
耐水サンドペーパーの#1000で軽~く擦っていってやります。しかし垂れてしまった部分のリカバーは難しい…。今だからこそ思うのですが、これなら一度完全に塗り直した方がよかったかもしれません。
いよいよ塗装本番!下地となるブルーをまんべんなく吹き付けていきます。サフェーサー時の反省を生かし、決して集中的に吹いたりせず、散らしながら塗装。銀色のヘルメットが見る見る青くなっていく!
乾燥し終え、デザインに即したマスキングを施していきます。サフェーサーはいい加減だったくせに、デザインにはこだわる僕、仕事のときですら発揮しない高い集中力で着々と作業を進めていきます。
マスキングが完了し、続いてセカンドカラーを吹き付けていきます。この段階で「イエローをアクセントに入れるのも面白いな」とか思いましたが、邪念に捉われずベーシックに仕上げることに。
セカンドカラーはブラック。当初はアイボリーホワイトを考えたのですが、仕上がりを想像したときあまりに派手すぎるのと、愛車のイメージカラーに合わないことからこの色をチョイス。いや~、かなり楽しい!
こうしたギザギザのデザインの場合、尖った先端部分の塗りが甘いと後で泣きを見ます。きちんとしたマスキング、綿密なペイント、そしてじっくりと乾燥させることが完成への道なのです!
塗装の分かれ目を再度耐水サンドペーパーの#1000あたりで軽く擦ってやり、最後にクリアーを丸々一本分吹いて、再び乾燥させてやれば完成。タイムスケジュールを見ると、丸2日間かかっています!
このタイムスケジュールは、2色構成で行ったジャージーの作業工程を追ったものです。カラーバリエーションほか作業内容、さらに季節によって各作業の時間は異なってきます。
やっとの思いでようやく完成しました。ハイ、これがお手製ペイント(ジャージーレベル)で御座います。イメージしたデザインは、僕が好きな幕末期に活躍した新撰組の羽織に描かれたダンダラ模様。で、カラーは愛車と同じくブルー×ブラックでまとめてしまおう、と。ハジメテのペイントにしてはなかなかの出来映えですが、ところどころに素人くささがモロに出てしまっています。垂れた部分に至っては、手抜きがバレバレですね。さらにギザギザ模様の部分ですが、ちょっと後ろ側にまとめてしまったため、ヘルメット後部から見ると黒いモミジが描かれているみたいになっちゃいました…。失敗失敗。
これが完成品。想像していた以上にカラーコントラストがくっきりしていました。
【左】後ろから見ると、黒いモミジみたい…。【右】塗料が垂れてしまいました。次の機会に、また塗り直そうと思います。
こうした失敗も、次の成功に生かせるというもの。この反省点を踏まえ、「今度はよりスピーディに、そして少しでもプロに近づけるレベルの高いペイントを施したい」と誓うワタクシなのでありました。初めて自分ペイントをやるとこういうケースに陥る、という見方もできるかと思いますので、「自分で塗装するのに興味はあるけど…」と思っている方はぜひ参考にしてみてください。メンドくさいですが、やっているととても楽しくなってきますよ。
バイクに関する知識は皆無だが、バイクに乗るのは大好きという関西人。バージンハーレー編集部に配属されてからハーレーに乗り出した初心者で、それを武器に「腰の低い取材を心がける」などと抜かすフトドキ者。スポーツスターXL1200R所有。