VIRGIN HARLEY | 音質にこだわった音量可変マフラー ダブルヘッド・タイプ2の真価 特集記事&最新情報

■取材・文/佐川健太郎 ■写真/バイクブロス・マガジンズ編集部

サウンドコントロールシステムを搭載した「ダブルヘッド」マフラーに最新バージョン「タイプ2」が加わった。ダブルヘッドは、ハーレー専用に開発された排気音量を自由にコントロールできるマフラーである。前回ご紹介したオリジナル「タイプ1」は、ハンドルにマウントされたレバーによって、サイレンサー本体に内蔵された排気バルブを開閉。音量レベルを無段階に調整できるものだった。

 

一方、今回登場したタイプ2はこの仕組みをより簡略化して、コストダウンを図りつつもサウンドのクオリティに新たな提案を盛り込んでいる。構造としてはサイレンサー内にボルトで装着するタイプのインナープレートを大小2つ設定。これを脱着することで3種類の音量、音質を楽しめるようにしている。ハーレーならではの耳に心地良く響くエキゾーストノートを生かしつつも、うるさ過ぎず適度なメリハリのある重低音を追求しているのが最大の特徴だ。

 

バイクの個性を引き出し、サウンドを楽しむためのリプレイスマフラーではあるが、音量が大きすぎても気疲れしてしまう。また、騒音問題が取り沙汰されている昨今、趣味で乗るバイクもモラルを問われる時代である。バイクの社会的地位向上のためにも「音質」にはこだわりたい。そんな品格ある大人のライダーにぜひおすすめしたいアイテム。それがダブルヘッド・タイプ2なのだ。

スリップオンタイプで本体はしっかりした作りのオールステンレス製。インナープレート装着することで音量、音質をコントロール。

スリップオンタイプで本体はしっかりした作りのオールステンレス製。インナープレート装着することで音量、音質をコントロール。

ストレートカットの別体式テールパイプを装備したロードキング。市街地走行でも周囲に気兼ね不要、適度に抑えられたサウンドだ。

ストレートカットの別体式テールパイプを装備したロードキング。市街地走行でも周囲に気兼ね不要、適度に抑えられたサウンドだ。

では、ダブルヘッド・タイプ2はタイプ1とどう違うのか。それを確かめるためにまずは大きなインナープレートを装着した状態で街中を走ってみた。バイクはロードキング。3段階の音量の中で最も消音されているはずである。スターターボタンで始動するとハーレー独特のやや重いクランキングの後、一発でエンジンに火が入る。2、3回軽くスロットルを煽ってみるが、吹け上がりはスムーズで軽快。アイドリングも安定している。サイレンサーのみ交換するスリップオンタイプなので、フルエキのように細かな燃調のセッティングが必要ない点もいい。つまり、ポン付けで性能が出ているということだ。

ギヤを1速に入れて発進。極低速からトルク感もありクラッチミートもスムーズ。半クラで気を遣うこともない。街中をコンスタントスロットルで流している状態では、ほとんどノーマルと変わらない静かさと言えよう。これなら市街地でも他人の目を気にする必要はないはずだ。ところが、幹線道路に入り徐々にスロットルを開けていくと音質が一変。ノーマルとは打って変わって鼓動が強調されたメリハリのあるサウンドがほとばしる。ただし、耳ざわり感はなく適度にミュートされた感じ。可変排気バルブが内蔵された従来タイプに比べると、ちょっと柔らかくウェットな印象の音質だ。大人のハーレー乗りにはちょうどストライクゾーンかも。

 

続いて、ダイナに乗り換えてワインディングを走ってみる。今度はインナープレートを外した、いわば全開状態だ。空吹かししただけで音量、音質の違いは歴然。まるでV8エンジンを積むアメ車のような腹に響く重低音に「やっぱりハーレーはこれだよな」とあらためて実感。不等間隔爆発の小気味よいパルスを全身で感じながら、早めにギヤを掻きあげていく。音質はインナープレート装着状態よりややドライな感じだが、爆裂音ではないので耳には優しい。パワー感も明らかにこちらが上だ。タイプ1、タイプ2ともにダブルヘッドはストレート排気構造なので、インナープレートを取り外したことで排気抵抗がなくなりそのメリットがより活きてくる。抜けが良くなった分、エンジンの吹け上がりも俊敏で、ハーレーらしく弾ける中速トルクが気持いい。ツーリングで元気よく走りたい人には、やはりインナープレートを外した状態がおすすめだ。ちなみに、小さなインナープレートを装着してテストしてみたが、音もパワーも中庸という印象。どちらかといえば全開仕様に近い印象だが、音質とともに程よい音量を重視する向きにはこの状態がベストだろう。

ワインディングはインナープレート無しが断然気持ちいい。躍動感たっぷりのサウンドとともに豊かなトルクを生かしてキビキビ走れる。

ワインディングはインナープレート無しが断然気持ちいい。躍動感たっぷりのサウンドとともに豊かなトルクを生かしてキビキビ走れる。

トンネル内での空吹かしも密かな楽しみのうち。ひんやりとした空気にダブルヘッドマフラーの重低音サウンドが響き渡る。

トンネル内での空吹かしも密かな楽しみのうち。ひんやりとした空気にダブルヘッドマフラーの重低音サウンドが響き渡る。


いずれにしても、インナープレートの有無に関わらず、スロットルの開け方次第で音量、音質をコントロールできる点がいい。全開仕様でもスロットルを絞って回転数を抑え気味にしていれば、夜の市街地でも気兼ねなく走れると思う。その意味でモラルはライダーの右手にかかっていると言える。ハーレーのサウンドと走りをさらに引き立てる、良質なスパイスを求める方におすすめしたいマフラーだ。

以前も紹介したが、ダブルヘッド・タイプ2の発売元であるエー・ピー・アールは全日本GT選手権などで活躍する、4輪レースの世界では名の知れたコンストラクターでもある。レースで培われたノウハウと確かな技術力がダブルヘッドマフラーにも注がれているわけだ。今回のタイプ2はインナープレートで消音するタイプだが、通常は排気経路を塞ぐとスムーズな排気が行われずに出力特性に悪影響が出たりするものである。しかし、ダブルヘッドはタイプ1、タイプ2ともにサイレンサー内にバイパス経路を装備。インナープレートで最大限に消音してもスムーズな排気ができる構造となっているのだ。さらに、サイレンサー内部のストレート構造もタイプ2の開発テーマに合わせて最適化。低中速トルクを稼ぐとともに、従来の排気バルブを廃して軽量化を進めるなど、細かい部分をアップデートしている。並のリプレイスマフラーとは違う、確かな技術力をぜひとも実感して欲しい。
インナープレートの交換はとても簡単。工具さえあれば、ツーリング先でもマフラーが冷えるのを待って2~3分で交換できる。

インナープレートの交換はとても簡単。工具さえあれば、ツーリング先でもマフラーが冷えるのを待って2~3分で交換できる。

  インナープレート交換に必要な工具としては、φ6?の6角レンチにエクステンション、ラチェットレンチなどがあればOK。

インナープレート交換に必要な工具としては、φ6?の6角レンチにエクステンション、ラチェットレンチなどがあればOK。

  奥に見える三ツ星のような形をしたステーにプレートを固定する。排気は手前のパンチングから迂回してインナーパイプに戻される仕組み。

奥に見える三ツ星のような形をしたステーにプレートを固定する。排気は手前のパンチングから迂回してインナーパイプに戻される。

         
インナープレート無し。ステーはあるが排気バルブを採用する従来タイプより抵抗が少ない。音量は108dB/4000rpm程度。

インナープレート無し。ステーはあるが排気バルブを採用する従来タイプより抵抗が少ない。音量は108dB/4000rpm程度。

  インナープレート小。パイプとの隙間から排気が抜けていくため、実際は全開に近い音量と音質、パワー特性になる。

インナープレート小。パイプとの隙間から排気が抜けていくため、実際は全開に近い音量と音質、パワー特性になる。

  インナープレート大。見た目には完全に塞がっているがバイパス経路を通じて排気されている。音量は103dB/4000rpm程度。

インナープレート大。見た目には完全に塞がっているがバイパス経路を通じて排気されている。音量は103dB/4000rpm程度。

ダブルヘッド・タイプ2にも従来どおりの豊富なデザインバリエーションが用意されている点が魅力。テールパイプを別体式として5種類のデザインから選べるのが特徴だ。テールパイプは単体でも販売しているので、後から交換したり気分によって付け替えたりすることもできる。現在のところ、ハーレー用としてスポーツスター系、ダイナ系、ソフテイル系、ツーリング系の各モデルレンジに専用タイプをラインナップ。コストダウンの結果、価格はサイレンサー単品で5万400円~5万8800円と従来タイプに比べて25%程度低めとなり、より求めやすい設定となっている。テールパイプとのセット価格も以下のとおりだ。材質は耐久性に優れるオールステンレス製で、完全ボルトオン装着が可能。発売元のエー・ピー・アールのガレージで取り付け(工賃8400円)もしてくれる。テールパイプの種類だけではなく、取り付け角度によってもスタイルがかなり変化するので、ぜひともトライしてみてほしい。
シンプルですっきりとしたデザインで飽きのこない「ストレート」

ダブルヘッド type2「ストレート」

価格:5万5650円~6万4050円
(テールパイプ単品:3150円/1個)

シンプルですっきりとしたデザインで飽きのこない「ストレート」

  ダイナ系などによく似合うスポーティかつオーソドックスな「テーパー」

ダブルヘッド type2「テーパー」

価格:5万9850円~6万8250円
(テールパイプ単品:5250円/1個)

ダイナ系などによく似合うスポーティかつオーソドックスな「テーパー」

  カスタムマインドを刺激するチョッパーイメージの「スラッシュ」

ダブルヘッド type2「スラッシュ」

価格:5万7750円~6万6150円
(テールパイプ単品:4200円/1個)

カスタムマインドを刺激するチョッパーイメージの「スラッシュ」

         
ツーリング系などにフィットするゴージャスな雰囲気の「ターンダウン」

ダブルヘッド type2「ターンダウン」

価格:6万6150円~7万4550円
(テールパイプ単品:8400円/1個)

ツーリング系などにフィットするゴージャスな雰囲気の「ターンダウン」

  スポーツスターなど走りのモデルにはクールな「アルミテール」

ダブルヘッド type2「アルミテール」

価格:5万8800円~6万7200円
(テールパイプ単品:4725円/1個)

スポーツスターなど走りのモデルにはクールな「アルミテール」

 

 

シンプルですっきりとしたデザインで飽きのこない「ストレート」

ダブルヘッド type2 「ストレート」

価格:5万5650円~6万4050円
(テールパイプ単品:3150円/1個)

 

ダイナ系などによく似合うスポーティかつオーソドックスな「テーパー」

ダブルヘッド type2 「テーパー」

価格:5万9850円~6万8250円
(テールパイプ単品:5250円/1個)

 

カスタムマインドを刺激するチョッパーイメージの「スラッシュ」

ダブルヘッド type2 「スラッシュ」

価格:5万7750円~6万6150円
(テールパイプ単品:4200円/1個)

 

ツーリング系などにフィットするゴージャスな雰囲気の「ターンダウン」

ダブルヘッド type2 「ターンダウン」

価格:6万6150円~7万4550円
(テールパイプ単品:8400円/1個)

 

スポーツスターなど走りのモデルにはクールな「アルミテール」

ダブルヘッド type2 「アルミテール」

価格:5万8800円~6万7200円
(テールパイプ単品:4725円/1個)

 

テスター:佐川健太郎

フリーの編集者を経て、2輪専門誌やWEBマガジンで活躍中のモーターサイクルジャーナリスト。ニューモデル試乗や開発者インタビュー、用品テストなど守備範囲は広く、ライディングテクニックやメカニズムにも詳しい。「ライディングアカデミー東京」校長。

 

取材協力:
株式会社エー・ピー・アール

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FAX:046-228-7636
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