VIRGIN HARLEY | インジェクションチューニングの真相に迫る 特集記事&最新情報

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    取材協力:モーターステージ 写真:箱崎太輔、渕本智信 文:バージンハーレー編集部
  • 掲載日:2009年11月2日(月)

ハーレーの現行モデルは、すべてフューエルインジェクション機能を搭載したものになっている。この機能に秘められた能力を引き出すのが、世を賑わすインジェクションチューニングという手法なわけだが、その方法が気になるものの、「実際にどんな効果があるのか」、「そもそもインジェクションチューニングというものが、どういう理屈で成り立っているのかが分からない」という声を多く聞く。実際に投入してみれば分かるのだが、いずれの価格を見ても決して安い買い物ではない。

 

そんなインジェクションチューニングに関する疑問を払拭するため、3種類のチューニング方法を取り扱っている「モーターステージ」の代表・廿枝正氏に、その構造について話を伺った。すると氏から「インジェクションチューニングを施してやれば、現行モデルでも三拍子を楽しむことができる」という、驚くべき内容の話が展開されたのだ。

インジェクションに関するキホンのギモンを解消する!

インジェクションの仕組みって?

近年のハーレーに採用されているインジェクションというシステムは、Dジェトロニック方式もしくはスピードデンシティと呼ばれるもので、現在多くの四輪車にこのシステムが搭載されています。以前までのキャブレター式だと、シリンダーが燃料を吸引するシステムですが、インジェクションではその逆で、燃料噴射装置を使って霧状にした燃料をシリンダーに吹き付けるシステムになっています。

 

特徴として、ECM / ECU(インジェクション機能の中枢を担うコンピューター)によって燃料噴射量を細かく制御しており、空気と燃料の混合割合を理論空燃費(触媒が排気ガスを効率よく浄化できる状態)に近づけることや、運転状況に応じた空燃費の制御が可能になっている点です。そのため、燃費向上と環境にやさしい燃焼や、パワー重視の燃焼を実現することができます。

燃料を吸い上げるキャブレターの構造と違い、コンピューターによって必要な燃料をエンジンに噴出する構造、それがフューエルインジェクション構造だ。

インジェクションチューニングで何が変わるの?

端的に言えば、排ガス規制や騒音問題などを考慮した構造になっており、結果として本来エンジンに必要なエネルギー量を制限しているのが、インジェクション車輌のノーマルの状態ということです。この弊害として、燃料噴出量が制限されているがために少ないエネルギーで動こうとするから、燃焼温度が上がってエンジンが異常に過熱してしまう点などがあります。結果、耐久性や快適性に影響を及ぼすのです。

 

つまりインジェクションチューニングとは、制限されている燃料噴出量を適切な状態に戻し、エンジン本来のパワーを最大限引き出してハーレー最大の魅力である重低音やトルク感を蘇らせることだ。これによってエンジンへの負担を減らせられるので、愛車と長く付き合っていくようにすることができます。

 

現行モデルを見ると大排気量モデルがどんどん増えていますが、これは点火タイミングを遅らせて排出量を絞っているため、少ないエネルギー量で動かすために排気量を上げてパワーアップするしかないからです。これも、排ガス規制等の問題をクリアするための弊害だと言っていいでしょう。

マフラーやエアクリーナーも交換した方がいいの?

マフラーやエアクリーナーによってパワーの出方が違うわけですから、順番としてはマフラー→エアクリーナー→インジェクションチューニングというのがもっとも良いでしょう。ノーマルの状態でも必要なパワーを引き出すことは可能ですが、マフラーやエアクリーナーをカスタマイズしている状態ほどの効果は得られないでしょう。カスタムパーツによって特色も違ってくるわけですから、ノーマルはともかく、それぞれの特徴を引き出すためにもあらかじめ交換した上でチューニングを施す方が良いですね。ハーレーの魅力である音やトルク感もまるで違ってくるでしょう。決して安くはないインジェクションチューニングを施すのですから、効率のいいエアクリーナーと抜けのいいマフラーでやることをオススメしたいですね。

好みのマフラーやエアクリーナーにカスタムした上で、各々の力を最大限に引き出してやることがベストなインジェクションチューニングと言える。

具体的なカスタム方法は? どんなバリエーションがあるの?

モーターステージでは、ノーマルのコンピューターはそのままに、データの内容を書き換える「トランスファー・チューニング」、そしてコンピューターの本体を交換してしまう「サンダーマックス」と「ツインテック」の3つを取り揃えています。サブコンを使用する手段もあるのですが、価格や性能面を鑑みた結果、あまりメリットが感じられないので使用していません。

燃料調整/点火時期調整/
アイドリング約600回転~

ノーマルからライトチューニングに至るまでの走行状態を想定したデータを豊富に持っており、シティユースからツーリングといったさまざまな状況に対応できる幅広さが魅力。

 

燃料調整/点火時期調整/
アイドリング約600回転~

サンダーマックスほど豊富なデータはないものの、取り付けた後のバイクの状態を記憶するコンピューターを内蔵しており、その後の調整によってベストの状態を選ぶことができる。

 

燃料調整/点火時期調整/
アイドリング約800回転~

ノーマルのECMを取り外すことなく、コンピューター内部のデータを書き換えて噴出量を調整し直すことが可能。このUSBメモリーさえあれば、後々データを改めることができる。

費用や時間はどれぐらいかかるの?

各機器の本体価格、取り付け工賃、アフターフォロー・データ入れ替え、取り付け所要時間を右の表にまとめました。所要時間はモーターステージにおける目安です。ご覧のとおり、本体を取り替える場合でも数時間で行うことができるのです。このほか、エンジンチューニングされている特殊な車輌をチューニングする際は、どの機器を取り付ける場合でもプラス20,000円の諸費用が必要となり、取り付け所要時間も1~2日を要しますので、ご注意ください。

メリットは分かるけど、デメリットはないの?

サンダーマックスの場合ですが、2008年以降のモデルに搭載されているガソリン残量表示システムが使えなくなるという点があります。しかしながらこれはコンピューター上の問題なので、今後ソフト面で改善されるものと思われます。インターネット上で配布される新しいデータをダウンロードするだけで、現在搭載しているコンピューターも書き換えることができます。

 

インジェクションチューニングをすることでアイドリングが下がり、結果として発電量と油圧の低下を引き起こすという点が挙げられます。これについては、発電量はライトスイッチで対応可能ですし、油圧に関しても信号待ちなどのアイドリング運転中のことですからそれほど大きな問題点ではありません。

 

「新車にいきなりチューニングをするのは良くないのでは」という声を聞くことがありますが、むしろ新車だからこそエンジン本来のパワーを発揮する状態でスタートさせてやるのがいいと思います。繰り返しますが、インジェクションチューニングとはパワーセーブされたノーマル状態から規制を外し、エンジンの力を発揮する上で必要不可欠な設定にしてやることです。

インジェクションチューニングを行えば、アイドリング回転数を抑えながら適切な燃料を送り込むことができる。結果、ハーレー本来の鼓動やトルク感を蘇らせることができるのだ。

上記のご質問にお答えしたとおり、ハーレーの現行モデルはノーマルの状態だと、排ガス規制等の関係からかなり力をセーブしたコンピューター設定になっています。その指揮命令系統を司るECM / ECUというコンピューターのデータ設定を書き換え(または本体そのものを取り替え)、エンジンに必要な濃度の燃料を噴出することでハーレーのエンジンが持つ本来の鼓動やトルクを蘇らせること、それがインジェクションチューニングなのです。今現行モデルの購入を検討している人や納車待ちの人、また今現行モデルに乗っている人には、ぜひインジェクションチューニングをオススメします。フューエルインジェクション仕様の車輌だって旧車のような鼓動を味わえるのです。ご興味がある方は、ぜひお問い合わせください。

フューエルインジェクション仕様の現行モデルでも、ハーレー本来の鼓動やトルクが楽しめる。それがインジェクションチューニングだ。

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