VIRGIN HARLEY |  ハーレーラインナップ中でも秀でた万能性に魅力を感じるFLSB スポーツグライドを試乗インプレッション試乗インプレ

ハーレーラインナップ中でも秀でた万能性に魅力を感じるFLSB スポーツグライドを試乗インプレッション

  • 掲載日/ 2020年11月20日【試乗インプレ】
  • 取材協力/HARLEY-DAVIDSON 取材・写真・文/小松 男
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HARLEY-DAVIDSON FLSB (2020)
着脱可能なフェアリングやサドルバッグなどの便利装備で固められ、クルージングからスポーツライディングまで幅広くこなすオールマイティーなキャラクター。

スタイリングからして”いいとこどり”
戦略的なモデルでありながらベーシック

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往年のモデルさながらのビンテージスタイルを楽しめるモデルから、次世代を予感させるようなモダンなデザインとされたものまで、幅広くモデル展開を広げてきているハーレーダビッドソンだが、今回取り上げるスポーツグライドはスポーティなライディングをイメージさせるボバースタイルと、昨今高い人気のバガースタイルを織り交ぜたような雰囲気に纏められており、カテゴリミックス的な印象を受けるものだ。フロントフェアリングや、サドルバッグは、専用工具を使用せずとも簡単に着脱することができ、その日の気分や、使用用途に合わせてスタイリングを変更することを楽しむこともできる。そう聞いただけでも、なんだかお得な一台だと感じられないだろうか。

FLSB スポーツグライドの特徴

大柄なボディワークではあるものの
取り回しは意外にも軽く、容易だ

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2018年モデルにて一斉に行われた新型ソフテイルフレームへの移行後、ツインショックを備えるダイナファミリーは消滅し、ソフテイルファミリーと一本化され、それに合わせて心臓部はミルウォーキーエイトエンジンに統一された。CVOを除くミルウォーキーエイトエンジンには107キュービックインチ(1746cc)と114キュービックインチ(1868cc)の2種類の排気量があるが、スポーツグライドには前者が採用されている。それら2基を比較すると、排気量の小さい分パワーが低いと思われがちではあるが、1746ccのエンジンということを、頭に思い浮かべよく考えてみて欲しい。そこいらを走っているクルマよりも大きな排気量であり、しかもトルクフルなV型二気筒レイアウトである。つまり誰が乗ってもパワー不足だと感じることはないほど強烈なパフォーマンスを持っているのだ。

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スポーティなバガースタイルは昨今のトレンドと言えるものであるが、やはりハーレーダビッドソンというブランドが作り上げるものは、本物感が高い。様々なハーレーダビッドソンのテストを行ってきたが、一目見たスタイリングからして落ち着いた佇まいと、力強い雰囲気が上手く盛り込まれており、とても受け入れやすいものだ。アクティブでスポーティ、それでいながらもジェントルなクルージングも楽しめそうに見えるデザインは、メインターゲット層となる30代後半から50代のライダーの心に刺さる纏め方がされていると言えよう。

FLSB スポーツグライドの試乗インプレッション

いくら乗り回しても飽きがこない
むしろ降りてもすぐに走りたくなる

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スポーツグライドのテストをする直前まで他メーカーが作ったほぼ同排気量のクルーザーモデルのテストを行っており、それがかなり大柄な車体だったために、当初スポーツグライドに触れた際には、「ああ、これは乗りやすい」と感じたものだが、それは比較対象がさらに大きかった為であって、実際のところスポーツグライドは巨体と言える部類だ。それにしても300キロ超もの車重を感じさせない程取り回しはしやすい。

エンジンを掛けてしっかりと暖機運転を行う。始動時こそ若干回転数が高めだが、オイルがしっかりと温まり落ち着いてくると800回転ちょっとのところでのアイドリングとなる。昔ながらの3拍子と同じとは言わないまでも、シュシュッ、トン、トンと脈打つ感じは、やはりこれはハーレーのエンジンだと思わせる。

ギアをローに入れ、クラッチを繋ぐと、グイッと車体を前へと押し出す。まるでトルクの塊のようだ。114エンジンのモデルも色々とテストしてきているが、それよりもしっとりとしているイメージで、2000回転前後まで使うだけでも、強力なパワーを得られる。それでいながら3000回転以上に引っ張るような走らせ方をすると、振動こそ強くなるものの、シャシーがしっかりとしているおかげでとても楽しめる。

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ライディングポジションも秀逸で、リラックスしながらゆったりとしたクルージングを楽しめる上、ややハンドルに覆いかぶさるようにファイティングポジションを取れば、ワインディングでのスポーツライドも驚くべき運動性能を楽しめる。一点ステップがフォワード気味のセットとされているので、加速時など足の裏が浮き上がりそうになるのを抑えながら走らせたものだが、タンク形状およびボリュームがニーグリップを行うのにとても具合良いため、結果的に相殺しているように思えた。それにしてもフロントの倒立フォーク、リアのモノショック、共に良い出来栄えで、本当にちょっと走らせるだけで爽快な気分にさせられる。”走り”に関してのツボに見事に刺さった感じだ。

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一週間程度、スポーツグライドとの時間を過ごした。通常これほど大きなクルーザーモデルの場合、取り回しも重く、乗り出すまでが面倒だと考えてしまうこともあるのだが、スポーツグライドはそのようなことを思わせることなく、ただ走りへと誘ってくれた。走り回ってきた後にバイクを降りても、またすぐに走り出したくなる。世界中に無数とも言える様々なバイクがある中で、これほどの気持ちにさせてくれるモデルはそうない。

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素晴らしいのは走りの面だけではない。フロントフェアリングは、フロントフォークと接続するクリップを解除するだけで、簡単に脱着することができる。サドルバッグにしても内部のロックを解除するだけで脱着可能だ。しかも、ふたを開けた際に、いきなり全開にならないように、ダンパーも備えているうえ、脇から荷物が落ちないように脱落防止ネットもついている。これら装備の使い勝手の良さと言ったらなかった。ツーリングから都内での仕事の打ち合わせまで、そばにある間、スポーツグライドは大活躍してくれた。

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しばしばダッヂ・チャレンジャーのヘルキャットに乗る機会があるのだが、あれもまたゴーイングレーサーなモデルであり、吊るしのままドラッグレースに出られるポテンシャルを持ちながらも、普段の足としても使えるアメリカンマッスルカーだ。そのキャラクターに似ているとも思ったが、スポーツグライドは乗れば乗るほどアメ車の枠を超越している出来の良さだと感じさせてくれた。

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車両価格は236万7200円からとなっており、一台のバイクとして考えれば、かなり高価なモデルだと言える。しかしだからこそ、購入した暁には日常生活で使い倒すような贅沢な時間を楽しみたいと思わせるものであるし、実際にそのような使い方もできてしまう、ある意味お得な一台に仕上がっているのだ。

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FLSB スポーツグライドの詳細写真

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フロントタイヤのサイズは130/70B18とされており、数値的には若干太目に思えたが、実際に走らせるとナチュラルなハンドリングを楽しめるものだった。ホイールは専用設計とされている。

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排気量1746ccのミルウォーキーエイト107エンジン。ボアストロークは、100×111mmとハーレーらしいロングストロークタイプ。最大トルクの145Nmを3250回転で発生。エアクリーナーの吸い込み音が走っていて心地よい。

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フロントマスクに装備されるミニフェアリングは簡単に脱着することができる。スクリーンウインドウがかなり短目のデザインなので、上半身への走行風は割と受けるが、それでも無いよりは快適なクルーズをもたらしてくれる。

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フロントサスペンションには倒立フォークを採用している。動きが良く、さらに沈み込んだ時に踏ん張ってくれるため、かなり攻めた走りも可能だ。ブレーキの効きも良い。フェンダーがフォークガードも兼ねている点にも注目。

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裏側にあるフォークと接合するクリップを操作するだけで、簡単にフェアリングを外すことができる。オーソドックスな丸型ヘッドライトの状態でのスタイリングもしっかりとデザインされており、これも美しい。

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フォワードコントロールポジションでセットされたステップ周り。ゆったりとしたクルーズを楽しむのに適しているが、市街地での足の乗せ降ろしを繰り返すシーンでは、若干手前に引きたいところ。ステップ先のバンクセンサーが外されており、深く寝かし込めた。

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サドルバッグの容量は50リットル。車両と合わせてデザインされているため、とてもすっきりしており、違和感がない。ツーリングだけでなく、普段から大活躍してくれる。

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シングルシートモデルが多い中、標準でパッセンジャーシートを備えているのも良い。セパレートタイプなので、ソロ仕様にもなる。広い座面、クッション性の高い内部素材で、極上の乗り心地を提供する。

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燃料タンク上にセットされたメーターパネル。速度計と残燃料計をメインに、下の液晶部分にオド・トリップメーター、時計、タコメーターなどを表示させることができる。

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左側のスイッチボックス。ホーンボタンの上側を押すと、メーターの表示を変更することができる。ターンシグナルボタンの下に見えるのは、クルーズコントロールのセットボタンだ。

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燃料タンクはかなりボリューミーな大型のものが採用され、その容量は18.9Lを誇る。ロングツーリングであっても、給油回数を少なくできるため、快適な旅を楽しむことができる。

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ソフテイルフレームにより、なかなか外部からその姿を見ることができないリアのモノショックだが、車体右脇にプリロード調整スイッチが備わっている。私の場合、数ノッチ下げて乗っていた。タンデムライドや積載時など、適宜調整して見ると良いだろう。

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開閉時のロック機構、ダンパーの装備、収納物の落下防止ネットなど、長年サドルバッグ装備モデルを手掛けてきているだけあり、しっかりと作り込まれている。一度使うと無しでは乗れないほど便利だ。

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サドルバッグは簡単に脱着することができる。気分を変えて、フロントのカウルと、サドルバッグ両方を外して、シンプルなナロークルーザースタイルを楽しむのも良さそうだ。

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