VIRGIN HARLEY |  XL883N アイアン試乗インプレ

2017年式 XL883Nの画像
HARLEY-DAVIDSON XL883N(2017)

XL883N アイアン

XL883N アイアンの試乗インプレッション

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バイクとしての本質はスポーツクルーザー
そこを軸とすれば見えざる魅力が浮き出てくる

タックロールシートの柔らかさに助けられてか、跨った際の足つきは恐ろしくいい。身長174cmの筆者だと、膝が大きく曲がってのベタ足である。ハンドルポジションも肘にゆとりがあり、反対側に切っても片腕が伸びきらない。もちろん身長差もあるかと思うので、気になる方は最寄りのディーラーで跨る際、ハンドルを思い切り反対側に切ってみたうえで、腕の突っ張り具合をチェックしてみてほしい。

一瞬鈍くはある出だしだが、エンジンの鼓動が逆に心地よさを味わわせてくれ、そのゆったりとした走り出しがむしろ気持ちいい。883ccという排気量もあってか、性能をめいっぱい高めている排気量1200ccエンジンのロードスターと比べると爆発力に欠けるが、そもそもそういった”ぶっ飛ばし”系バイクではないことを思えば、必要にして十分なパワーと言える。むしろ、排気量400cc以下の中型バイクから乗り換えたとなると、パワフルにさえ感じるだろう。

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走っていて気になったのは2つ、エンジンのトルクが不安定なところと、シートの滑り具合だ。

まずエンジンだが、アイドリング状態から半クラッチでスタートする際、一瞬エンジンが途切れるような”間”が生まれるのだ。これは、コンピュータ制御によるフューエルインジェクションモデルゆえ、セッティングに個体差があるものと思われる。購入者はECMを変えずにカンタンなチューニングを施してやるのが良いだろう。その方がエンジンが長持ちし、結果的に愛車との付き合いが長く楽しいものとなるからだ。燃費だって良くなるので、このメニューは忘れず施したい。もちろん、マフラーやエアクリーナーを交換するならその組み合わせも考慮しておこう。

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シートについては、表皮の性質によるところが大きい。実際に街中を走っていると、加速時やブレーキング時で体が前後に滑るのだ。ライディングポジションが安定しないと、航続距離が長くなるほどに体への負担が増え、結果的に疲労が蓄積されてしまう。シートそのものを換えてもよし、また表皮だけ滑り止めタイプに交換するというのも方法のひとつだ。

サスペンションの仕事ぶりは及第点といったところ。もちろん、必要以上に負荷のかかるスポーツライドをしないことが前提ではある。前後サスペンションを短くしたロースタイルモデルなので、ハードなワインディングでコーナーを攻めるような走りをしたくとも、長さが足りないという物理的な点からサスペンションが対応しきれないからだ。あくまでロー&ロングというスタイルありきのモデルであることを忘れてはならない。

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シティライドという点では過不足ない性能ではあるが、右左折の際に踏ん張ってしっかりバンクさせると、あっさりとバンクセンサーを擦ってしまう。これについては「アイアンはそういう乗り物」と認識し、仮にバンクセンサーを擦ってもいちいち慌ててはいけない。擦らないようなライディングテクニックを身につけることがベストではあるが、それよりも「むしろ擦った俺ってうまく走れてる?」ぐらいで流せる方がいいだろう。

“スポーツライドできるクルーザー”と見れば、アイアン883の立ち位置がしっくり来る。小柄な私たち日本人にとって883ccという排気量は大きな部類で、これだけあれば北海道ツーリングだって十分可能なのだ。積載能力が皆無なのはアメリカ人と日本人の意識の差というほかなく(アメリカ人はこれでツーリングをする気はあまりないらしい)、そこは純正パーツや社外パーツで対応すればいいこと。

積載能力を高め、チューニングで燃費も向上させてやれば、ハイウェイ中心のツーリングでも十分楽しさを見出せる。スポーツスターという呼び名に惑わされるなかれ、アイアン883のバイクとしての本質は「スポーツクルーザー」に他ならない。

アイアン883の詳細写真は次のページにて
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