VIRGIN HARLEY |  高橋 大一(クラブハーレー編集長)インタビュー

高橋 大一(クラブハーレー編集長)

  • 掲載日/ 2005年08月09日【インタビュー】

ハーレーインタビューの画像

憧れを現実にするため踏み出そうする
クラブ・ハーレーはそんな方を応援します

今回ご紹介するのはCLUB HARLEY編集長 高橋 大一さんだ。「ジャック」さんという名前でCLUB HARLEY誌面に登場している方、と言えばハーレー乗りの方なら皆さんご存知だろう。ハーレーというとワイルドなイメージで語られることが多いものの、CLUB HARLEY誌は初心者にも親しみやすい内容と、見やすいデザインとなっている。他のハーレー誌とはカラーが違うCLUB HARLEY。なぜこのようなスタイルで発行されているのか、そこにはきっと意味があるに違いない、そう思いインタビューをお願いさせていただいた。個人的に私がお聞きしたかったことも聞きつつ、CLUB HARLEYのスタイルについてお聞きしてきた。

Interview

僕は実は「人見知り」で…。
人にお会いするのは苦手でした(笑)

ー前からずっとお聞きしたかったのですが、高橋さんはなぜ「ジャック」さんと呼ばれているのですか? 昔は英車乗りだったので英国旗の「UNION JACK」からそのニックネームが付いた、という噂もありますが。

高橋●そんなにカッコいい由来じゃないですよ。私が18歳のとき、スキー雑誌で編集のアルバイトをしていたのですが、そのときに付けられたニックネームです。当時、学生なのにその雑誌で「SNOWMAN JACK SHOW」という読者ページコーナーを任されていました。そのコーナーで私は「ジャック」というキャラクターを担当し、読者からのお便りの受け答えをしていたんです。それからずっと「ジャック」です(笑)。歩いていたら遠くから「おい、ジャック!」と先輩に大声で呼ばれて…。「こんなに純和風の顔なのに、何で俺がジャックなんだよ」と恥ずかしかったですよ。出版社も変わって、もう20年も経っているのに未だに「ジャック」と呼ばれるとは思っていませんでしたね。

ーイギリスとは何の関係のない由来だったんですね。でも印象的なニックネームが付いていると、得することも多いのでは?

高橋●枻(えい)出版には「高橋」という名前の人は多いですし、会ったことがない方も「ジャック」というニックネームで知ってくれていることも多いので得しているかもしれません。実は、私は初対面が苦手なので…「ジャック」というニックネームに助けられたこともありますね。

ー初対面は苦手なのですか? 意外ですね。

高橋●僕は昔から人見知りなんですよ。今の仕事はそのリハビリのような面もあります(笑)。出版業界には、初対面の人にもうまく溶け込める人が多いのですが、そんな人が羨ましくて仕方がなかったですね。

ー雑誌の編集をやっていると、人とお会いするのも仕事ですよね。人見知りだと大変だったのでは?

高橋●若い頃は1000本ノックのように人とお会いして「リハビリ」をしていました。でも、人見知りでよかったなぁ、と思えることもありましたね。「初対面の方が心を開いて話してくれる、なんて有り得ない」と思っていつも取材に行っていました。取材で数時間程度人とお会いしたくらいで「その人の何がわかるんだ?」と悩んでいた時期もありました。だからこそ、取材するときはできる限りお会いする方のことを理解しなければ、と短い時間の取材でも真剣に取り組めるようになった気がします。20代の頃はそんな悩みを抱えながら取材に明け暮れていました。でも、不思議と30代になってから悩まなくなってきたんです。

ーなぜ、悩まないようになったのですか?

高橋●昔は「取材」という意識が強すぎたんでしょうね。「クラブ・ハーレー」に携わる前、僕は「NALU」というサーフィンの専門誌の編集をやっていたのですが「趣味の専門誌」をやっていると面白い人にたくさん出会えるんですよ。楽しい人たちにたくさんお会いしているうちに「取材で人に会う」のではなく「面白い人に会いに行く」という感覚で外に出るようになってきたんです。それからですね、あまり悩まなくなったのは。

ーハーレーの世界でもショップさんや一般の方には面白い方が多いですからね。

高橋●そうですね。趣味の世界では我々メディア側の人間より、ショップさんや一般の方の方が面白いこと、スゴイことをやっています。我々メディアはそんな方々を紹介させていただいているだけですから。人にお会いすればするほど、もっと外に出て面白い方にお会いしなければと思うようになりました。僕の人見知りの部分は今も相変わらずですが、長く趣味の専門メディアに携わってきて、人にお会いするのは楽しいと思えるようになりました。リハビリの効果は出てきていますよ(笑)。

気楽にハーレーの楽しさを伝えられる
そんな雑誌があったらいいなぁ

ークラブ・ハーレーの創刊に携わるきっかけを教えていただけますか?

高橋●先ほどもお話しました「NALU」というサーフィン雑誌に携わっていたときに「ハーレーって興味ない?」と当時「ライダースクラブ」の代表、つまりはウチの取締役に声をかけられて。私の世代はオートバイに憧れを持っている人が多くて、当然私もそうでしたから「ハーレーの雑誌?」と思わず心がときめいてしまいまして。「やってみたいです!」と、つい答えてしまいました。そんな経緯で最初は1回だけのムックで刊行されたのが「クラブ・ハーレー」でした。でも、当時の僕はオートバイの免許も持っていなくて。ハーレーのことも何も知らなくて。やると言ったものの「いったいどんな本を作ればいいのやら」と途方に暮れましたね。

ーそれまで、オートバイに乗ったことがなかったんですか。

高橋●憧れは持っていたんですけれど。ですから「クラブ・ハーレー」を創る前には「どんな人がオートバイに乗っているの?」や「ハーレーに乗っている人はどんな人?」とまったくの初心者の状態でいろいろと調べ始めました。てっきりハーレーには「コワモテ」の人が乗っていると思っていましたが、意外なことに普通の方が乗っているんだ、と驚きましたね。純粋にハーレーが好きで、ハーレーを楽しんでいる普通の方が多いことを知って「もっと気楽にハーレーの楽しさを伝えられる雑誌があったらいいなぁ」と思ったんです。「クラブ・ハーレー」をどういうメディアにするのか、は僕に任されてましたから「ハーレーに乗りたいと思っている人」を応援できるメディアを創ろう、それなら僕もやってみたい、そう思ったんです。

ーいざ1号目を創りはじめて、大変な思いもありましたか?

高橋●まず免許を取りにいかなければ、でした(笑)。免許がないとハーレーを動かせないので記事が書けませんから。実は1号目には僕が免許を取るまでの記事も載っています。すでにハーレーに乗っていた人からは「何でいまさら免許を取るところから?」と思われたかもしれませんが、これからハーレーに乗ろうと思っている人は免許を取るところからのスタートでしたから。免許もなかった僕だからこそ、初心者の人がハーレーを手に入れるまで、何に思い悩むのか、はよく理解できました。

ーなるほど、1号目から初心者の人に優しい内容だったんですね。1号目の巻頭はスポーツスター乗りの女性が紹介されていますね。この方は初心者をイメージされて巻頭で紹介されたのでしょうか?

高橋●スポーツスターが巻頭なのはたまたまです。「ハーレーに乗っている女子大生がいるらしい」というので取材に行って。「小さいハーレーだなぁ、こんなハーレーもあるんだ。」とそのとき知ったんですよ(笑)。取材しながら、ダイナやソフテイル、ツーリングファミリーの区別も知りましたから。1号目はいい意味でも悪い意味でも、本当に読者の人と同じ目線で創っていましたね。苦労して創った1号目が発行されると「次は2号目を出そう」と決まってしまって…。1号目で自分たちのキャパシティでできることはやり尽くしてしまっていましたから「次は何を創ればいいの?」と困ってしまいましたよ。今はもう「クラブ・ハーレー」も60号を越えていますが、一番創るのに苦労したのが2号目だったかもしれません。2号目を出した直後に年4回の季刊MOOKにすることが決まり、4号目を出してから隔月化が決まり、隔月で発行し始めてしばらくして月間化が決まり…手探り状態でこの7年を駆け抜けてきました。

ー7年間も続けてくると「クラブ・ハーレーらしい」スタイルも出てくるかと思います。紹介されている方が「笑顔」で紹介されているのは、「クラブ・ハーレー」のスタイルでしょうか。

高橋●「クラブ・ハーレーの取材では必ず笑わされる」とWEBサイトで話題に上ったことがあるようですね(笑)。確かに、取材させていただいた方には笑顔で登場していただくことが多いです。「ハーレーを楽しんでいる」ことを読者の皆さんにお伝えしたいので「キリっとした凛々しい顔」より「笑顔」で紹介させていただきたいと。「楽しさ」が一番伝わるのは「笑顔」ですからね。でも、無理に笑顔を作ってもらっているわけじゃないですよ。話している最中の自然な笑顔を撮らせていただいています。

ー若い方からご年配の方まで、皆さんいい笑顔で紹介されていますね。しかし「クラブ・ハーレー」や別冊の「I LOVE SPORTSTER」を見ていると若いハーレー乗りの方も多いですね。

高橋●確かに、最近は若いハーレー乗りの方が多いですね。いい車が買えるくらいの値段がするのに、皆さんスゴイですね。オートバイに興味がない人だったら「オートバイに200万?無理!」と思う金額ですよ。それでも一歩踏み出してハーレーを買う人がいる。そう考えると、ハーレーを持っているだけでスゴイことです。家族の反対など、いろいろなハードルを越えて手に入れられたんだろうな、と。ですから、ハーレー乗りというだけでも尊敬できますよ。

ージャックさんが今のスポーツスターを買ったときも、周りから反対されましたか?

高橋●当然ありましたよ。「ハーレー雑誌をやるんだから、ハーレーを持っていないのはおかしいでしょ?」と家の人を説得してみたのですが「じゃあアナタ、家の雑誌をやるときは家を買うの?」と反撃されて…。実際に買うまで半年くらいかかりましたね。今でも取材中に、ハーレーを買った話になると「妻に感謝です」とおっしゃる人は多いですが、その気持ち…よく理解できます(笑)。ハーレーはアウトローなイメージで語られることもありますが、実は皆さんも僕と同じような苦労を越えてハーレーを買われているみたいですよ。

ー結婚している方だと、勝手に買うわけにもいかないでしょうからね。

高橋●スポーツスターにどうしても乗りたかったのでがんばっちゃいました。クラブハーレー1号の取材で栃木県のディーラーさんにお邪魔したときに、98年式の赤黒ツートンのスポーツスター1200Cに出会いまして。そいつがカッコよかったんです。家の人の説得に何とか成功して「買います!」と連絡したら「もう売れちゃったよー」と言われてしまって(笑)。結局、シルバーの99年式スポーツスター1200Cを買いました。99年式からミッドコントロールがフォワードコントロールに変わっていて、納車のときは驚きましたけれど、やっと買うことができた自分だけのハーレーですから、納車の日は嬉しかったですよ。ただ、栃木県のディーラーさんでスポーツスターを買ったので、帰りはいきなり高速道路の走行でした。納車が日曜日だったので高速がひどく渋滞していましてね。慣れていないので、すり抜けもできず…大変な一日でした。そんな納車日でしたけれど、それでも楽しかったですね。取材でお借りする車両じゃなく、自分のハーレーで走った一日でしたから。渋滞を走りながらでも充分楽しい納車ツーリングでした。

ー納車日からいきなりロングツーリングだったんですね。

高橋●初日からカッコよく、颯爽と走りたかったのですけれど、渋滞の中をトロトロと走って楽しみました。「クラブ・ハーレー」を創刊したときにはハーレーに乗っていなかった私ですが、読者の方と同じペースで経験を重ね、ハーレーライフをスタートさせました。かつての私のようにハーレーに憧れている「普通の方」はまだまだたくさんいらっしゃいます。そういう方の背中を押すお手伝いをするためには、「普通に」ハーレーと付き合っている「普通の」方を紹介して、もっと肩の力を抜いてハーレーを楽しみましょう、と提案してみるのも一つの方法じゃないかな、と思っています。ハーレーは「縁遠い世界の乗り物」かもしれないけれど、ハーレーを持つとその憧れていた世界に近づけるかもしれない、スゴイ遠いところに旅で行けるようになるのかもしれない、何か自分が変わるかもしれない、そう思っている方はきっとたくさんいらっしゃいます。「クラブ・ハーレー」はそういう方を応援できるメディアでありたいですね。

ー「憧れ」を「現実」にするお手伝いができる、素晴らしい仕事ですね。

高橋●ハーレー憧れていたけれどいろんな事情があって乗れなかった、でも最近になってその憧れが再燃して…そんな方もたくさん知っています。憧れを現実にするために一歩踏み出そうとしている、そんな方を少しでも応援できるのが、我々のような「趣味の世界の専門メディア」なのでしょう。私も学生の頃にオートバイに憧れていました。でも「部活が忙しい」「車を買ってしまった」などの理由であきらめて、憧れを忘れてしまっていました。「クラブ・ハーレー」に携わったことで、私もその「憧れ」を「現実」にすることができました。同じ経験を読者の皆さんにもしていただきたい、やっぱり乗ることで、乗る前の自分とは何かが変わったと僕も実感していますから…。

プロフィール
高橋 大一
38歳。18歳より出版業界に入り多くの「趣味専門メディア」で経験を重ねてきた。これから何かを始めよう、そんな想いを持つ人の応援をすることに20年間携わり、現在はクラブ・ハーレー編集長を務める。99年式1200Cに乗り、自らもハーレーを愛する「走る編集長」である。

Interviewer Column

「趣味の世界の専門メディア」は「憧れ」を「現実」にするお手伝いができる、ジャックさんからお聞きしたその言葉が印象的で、今も記憶に残っている。「ハーレーを買うために、一歩足を踏み出せるお手伝いができる」我々メディアの人間は何て幸せなんだと心から思う。「Virgin Harleyを見てハーレーを買いました」という方にお会いすると「ああ、やってきてよかったなぁ」といつもエネルギーが湧いてくる。「クラブ・ハーレー」の歴史は、そのままジャックさんのハーレーの歴史に重なっているものの、変にマニアな方向性にも行かずいつも初心者にも優しい誌面作りをしているのは素晴らしいことだと思う。私たちVirgin Harleyも「初心者のためのハーレーサイト」と謳うからには「クラブ・ハーレー」誌のように「わかりやすく、見やすく、初心者に優しい」メディア運営を心がけなければ、と改めて思った。(ターミー)

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