生まれてからずっと東京育ちです。今、東京・高円寺を拠点にする「HOT WIRE GROUP」の代表をやっていまして、高円寺に関するさまざまな情報やイベント運営を手がけています。起業して20年以上になりますね。
昔からアメリカのものが好きで、キッカケは小学校2年生のときに見たポンティアック・ファイヤーバードに衝撃を受けたこと。友だちのお父さんが乗ってきたんですが、ボンネットに描かれたイーグルの絵に惹きつけられました。以来、クルマやバイク、音楽と、アメリカのカルチャーにすっかりハマっちゃったんです。
10代の頃にはバイクに乗っていたんですが、以降はずっとクルマ。それもアメ車ですね。最初に買ったのは1969 カマロで、1970 サテライトワゴン、1970 プリムスバラクーダと乗り継いできました。ムーンアイズ主催のドラッグレース(仙台)にバラクーダで参加してからレースの魅力に取り憑かれたんですが、「さすがにバラクーダを壊しちゃいけない」と、レース用にカマロを買ったり……。そんなノリで、もう13年もやってます。楽しいですね、ドラッグレース。
バイクでもレースに出てみたい!って思って、「この人なら速いバイクを作ってくれるだろう」とシウンの松村友章さんにオファーを出しました。最初はハーレーではなくカワサキW1を考えていたんですが、松村さんにいろいろ相談した結果、ハーレー・スポーツスターで進めることになりました。「ホットロッドでお披露目する」ということだったんですが、ベース車両が見つかったのが1999ショーのわずか三ヶ月前と、「え? 本当に間に合うの?」とちょっと不安でしたね(笑)。でも、期日までにしっかり形をまとめてくださって、約束どおり年内に納車してくれたんです。ショーの前日までペイントしていたり、納車も大晦日と、いずれもギリギリだったんですけどね(笑)。
(写真左)テイストの河内山智さん、シウンの松村さんから“番長”と呼ばれる佐久間さん。アクティブな彼女の活動範囲はとどまるところを知らず、高円寺界隈で彼女を知らない人はいない。
(写真右)佐久間さんの会社「HOT WIRE GROUP」ビルの一階にあるプライベートガレージには、愛車の1971年式ポンティアックGTOとスポーツスターが並ぶ。
2014年12月の『ヨコハマホットロッドカスタムショー』にてお披露目されたZimsy’s Rokect。そして同年末、シウン松村氏自ら納車にやってきた。
「HOT WIRE GROUP」が発行する高円寺に密着したフリーペーパー『SHOW-OFF』。音楽を中心に高円寺独自のカルチャーを配信するマガジンだ。
“ドラッグレースに出走できるバイク”が軸で、「1970年代アメリカのバタくさい感じに」とお願いしました。それ以外はほとんどおまかせで、具体的にオーダーしたのは「カウルは絶対つけたい」、「セブンスポークホイールにしてほしい」ということだけ。
私の身長は157センチなので、車高の高いバイクには乗れませんし、ドラッグレース仕様ということもあって、ロー&ロングスタイルは必須でした。クルマも同じで、「低い、長い」はカッコいいですもんね! 詳しいことは分からないですけど、フロントのネックを3度寝かせて、さらにスイングアームもノーマルより長いものに換えてあるので、期待どおりのスタイルにまとまっています。
クルマもバイクもそうですが、「自分で乗りこなせない乗り物には乗らない」というポリシーがあります。いくらカッコよくても、男性とは違うので大きくて重たいものは取り回せない。それだったら、小さくてもいいからちゃんと操れている方がカッコいい。このスポーツスターは、私の乗り方や好みすべてを反映したぴったりのバイクなんです。
佐久間さんの要望であるビキニカウルは、「当初購入を考えた」というH-DカフェレーサーXLCR風のものをチョイス。
攻撃的なポジションを生むドラッグバーはもはやマナーか。保安部品を外せばレースに出走できる仕様となっている。
「似てるって言われるんです」という『未来少年コナン』のジムシー由来のネーミングを1970年代グラフィックで。
サンダンス製XLCRシートカウルにてレーシーなスタイルに。グラフィックはGRIMB krazy paintingが担当。
こちらもオーナーからの強い要望から、サンダンス製トラックテックホイールを採用。F19/R18というサイズに。
S&S製Eキャブレターにエアファンネルを装着したパフォーマンスキット。どこまでパワーが引き出されているか……。
ドラッグレーサー向きなブラッククローム製2in1ストレートマフラー。パフォーマンス、サウンドとも申し分なし。
(写真左)ロー&ロングスタイルを生むロングスイングアームとチェーンドライブ化により、XL1200Sらしからぬスタイルに。
(写真右)短いリアショックで前後ともローダウン化。ノーマルのそれと比べても足着きは大幅にアップ。取り回しに不安はない。
納車から約半年、まだ“ハーレーダビッドソン”、そして“カスタム”に関する知識と経験が足りていないから何とも言えないんですが、月日とともに自分のバイクに施されたカスタムの意味が次第に分かってきて、「松村さんにお願いして良かった」としみじみ思っています。
ドラッグレースに出ることが目的で手に入れたんですが、今はこのコに乗るのが楽しくて楽しくて! 私がやっている活動は高円寺が軸で、音楽やファッションに関する情報発信やイベント運営が主ですが、自分のなかのベースって1970年代のアメリカなんです。だから、音楽と乗り物って切っても切り離せない。思い描く理想の絵のなかには、常に乗り物があるんです。
久しぶりに乗り始めたわけですが、やっぱりいいですね、バイク。クルマとは違ったフィーリングが楽しいです。困るところも多々あるんですよ、乗り続けていると内股が焼けそうになるほど熱くなって、なんだろうと見てみると、オイルタンクのフタが熱を持ってたんです。「これってどうにもならないんですか?」と松村さんに聞くと、さらっと「我慢してください。それがハーレーです」と。もう、笑っちゃいますよね(笑)。バイクに乗るってこういうことなんだな、って。
音楽やファッションと同じように、クルマやバイクを若い人に楽しんでもらえるといいですね。今、『IGNITE MAGAZINE』(イグナイトマガジン)というマッスルカーのフリーペーパーも発行しているんですが、いつかバイクのフリーペーパーをやるかもしれませんね。
>> フリーペーパー『SHOW-OFF』
>> フリーペーパー『IGNITE MAGAZINE』
「社長、編集長、実行委員長……“長”がつくものが好きなんですよ、私。だから、みんなから“番長”って言われちゃうんですね(笑)」と、まんざらでもない笑顔を浮かべる佐久間さん。
XLCHに見られるレインボーデザインが施されたアメリカ製フルフェイス。このカラーモデルはまだ日本未導入品だそうで、「このカラーリングじゃないとイヤだった」とこだわりを見せる。
レーサー仕様ゆえか燃費が思ったほどではなく、今は遠出を控えている。もっぱら街乗りがほとんどで、「気の合うバイク仲間と一緒に走っているのが一番楽しいですね」と笑う。