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アメリカでの07モデル評価
まず、全モデルインジェクション化についてお話しましょう。かなり前から噂はありましたが「ついに」と言ったところですね。インジェクション化に関しては、日本サイドに比べ、アメリカでの反応は意外にも薄かったように感じています。他のメカニックと話していても、インジェクション化についての意見はほとんど聞くことが無く、2007年モデルの発表以前からインジェクションに対しては馴染みが深かったことがうかがえます。前回もお話しましたが、こちらのハーレーユーザーのほとんどがインジェクション仕様車に乗っているため、今回の仕様変更は驚くようなことではなかったのかもしれません。ただスポーツスターのインジェクション・フィーリングと車輌の相性は、こちらの人間も気になるようで、よく話題にのぼります。このように書くと「アメリカ人はインジェクションが大好き」と思えるかも知れませんが、そんな単純な話ではありません。好き、嫌いではなく「インジェクションは、機能的に安定していて素晴らしい!」と、その機構を素直に受け入れているような印象を受けます。インジェクションの評価は高いですが、だからと言ってキャブレターを否定しているわけでもありません。例えば、年代物でフロートがコルクで出来ているようなキャブレターを見ても、彼らは「素晴らしい!」と言います。多くのアメリカ人は、見たものに偏見を持たず、素直に「カッコイイ」や「美しい」などの意見を言います。これは「キャブレター=○ インジェクション=×」などと偏見に流されがちな日本のハーレー乗りは、見習うべきなのではないでしょうか? ただ、アメリカ人は本当に駄目な物を見た時はシビアな意見を言ってきます。それは対人評価に関しても同じで、私は気が抜けません(笑)。 アメリカの道路事情から考える
もちろん世界的な交通移動の高速化に合わせて、という理由もあると思います。ただ、ハーレーが走っている世界の何十という国で、この仕様変更が100%マッチングするとは限らないように感じます。あくまで私が試乗した感覚ですが、6速の美味しいところは2600rpm ・75マイル(時速120キロ)で、ラバーマウントの振動抑制効果とシンクロして最も振動が少なく、気持ちよく走ることができます。5速で同じ75マイルで走ろうとすると約3000rpmで、若干振動を多く感じます。長距離を重ねるごとに疲労は蓄積されるわけですから、6速の使用は高速巡航でかつ長距離移動では強い味方となるでしょう。しかしながら、日本を始め、国土が小さく山岳が多く、曲がりくねった道が多い国の場合だと、75マイル(120キロ)が長時間巡航できるスピードとは言い難いでしょう。今回の6速は、アメリカのような長いフリーウェイを快適に走破するコンセプトが基本で開発されており、こういうところから「ハーレーはやはりアメリカ製のバイクなんだな」としみじみ思います。「6速なんて日本では使わないのでは?」と思われる方も多くいらっしゃるかもしれませんが、そういったところにアメリカらしさを感じて素直に楽しんでください(笑)。
と、このように細かく考えるのは日本人の悪いところなのかもしれませんね。アメリカ人の96Cu incエンジンへの反応はとってもシンプルで「Oh! グレート!」というような感じで、とても単純明快(そうじゃない人も、もちろんいます)。彼らは細々と理論立てず、夕日に向かって、マッチョなアメリカ製バイクで走ることができれば「グレート」なのかもしれません。真っ直ぐで果てしない道を、溢れるようなトルクで走ることが求められているアメリカでは、排気量が大きいことはシンプルに素晴らしいことのようです(笑)。 体格からその乗り方まで 同じハーレーに乗っているのに、日本人とアメリカ人でなぜこうまで違うのでしょうか。そのヒントになるような体験談をご紹介しましょう。
100年以上の歴史を持つこのハーレーが、インジェクションになったり、排気量を変更したり、少しずつ姿を変えてきています。「ショベルがどう、エボ、ツインカムがどう…」いろんな意見がありますが、昔も今もハーレーはハーレーでしかなく。それ以上でもそれ以下でもありません。私はハーレーがどう変わっても、歴史の1ページとして、偏見の無い素直な視点でこのアメリカ製バイクと付き合っていくつもりです。今回は少し堅い話になってしまいましたね(笑)。 |
![]() 芦田 剛史 26歳。幼少からバイクと車に興味を持ち、メカニックになることを誓う。高校中退後、四輪メカニックとして4年の経験を積み、ハーレー界に飛び込む。「HD姫路」に6年間勤務、経験と技術を積み重ねたのち「思うところがあり」渡米を決意。現在はラスベガスHDに勤務。 |