VIRGIN HARLEY | FXDLS ローライダーS 試乗インプレ

FXDLS ローライダーSの画像
HARLEY-DAVIDSON FXDLS(2016)

FXDLS ローライダーS

  • 掲載日/2016年05月25日【試乗インプレ】
  • 取材協力/ハーレーダビッドソン ジャパン  写真/ハーレーダビッドソン モーターカンパニー、田中 宏亮  文/田中 宏亮

すべての力を解放した
Sシリーズの本気に迫る!

2016年モデルラインナップより登場した新ファミリー「Sシリーズ」に、ダイナモデル「FXDLS ローライダーS」が登場した。FXDL ローライダーをベースに、排気量1,801ccのスクリーミンイーグル・ツインカム110エンジンをはじめ、多くのカスタムパーツを取り入れたファクトリーカスタムモデルと成っている。「ダークカスタム」のコンセプトどおりのマシンだが、ほぼCVOと遜色ないグレードと言えよう。モンスターエンジンがフルパワーを発揮した際のローライダーSとは、一体どんな乗り物なのか。今回、フランスにてすべての力を引き出された本気仕様のローライダーSに試乗できる機会に恵まれたので、そのライドフィールとともに解説していこう。

FXDLS ローライダーSの特徴

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Sシリーズのダイナモデルは
クラブスタイルのローライダー

近年のハーレーダビッドソン カスタムのムーブメントに精通している方ならば、この姿を見てピンとこられたことだろう。そう、今なおアメリカで人気を博しているカスタムスタイル「クラブスタイル」そのものなのだ。ディテールを見ていけば一目瞭然で、70年代の名車XLCRを彷彿させる「ダークカスタム」のボディカラーを基軸に、ストリート750と瓜二つなビキニカウル、6インチと見られるドッグボーンライザーと幅の広いドラッグバー、ガンファイター型の専用ソロシート、ハイフローエアクリーナー、ダイナ用プレミアムライド・エマルジョンショックをはじめとする強化されたフットワーク、それらをロー&ロングにまとめたスタイル……。絵に描いたようなクラブスタイルだ。

ビッグツインエンジン搭載のスポーツバイクであるダイナモデルをベースに、ドラッグレーサーのようなスタイルとライディングパフォーマンスの向上を両立させるクラブスタイルは、確かにSシリーズにぴったりである。特にダブルディスクブレーキ仕様のローライダーはうってつけのマシンと言えよう。FLSS ソフテイルスリムSやFLSTFBS ファットボーイSと同様に、スイッチボックスはツーリングファミリーと同じ仕様で、オートクルーズコントロールなどが標準装備となっている。フリーウェイをぶっ飛ばしてライディングを楽しむクラブスタイルを思うと、ツインカム110がこのスタイルにフィットするのは当然のことだろう。

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意外だったのは、ベースモデルの形を崩さなかった先輩モデルと違って、ファクトリーカスタムモデルとしての色合いを強めてきたことだ。それも、このローライダーSのデザインを担当したのが2016年にマイナーチェンジしたXL883N アイアン883を手がけたカンパニーの日本人デザイナー、ダイス・ナガオ氏と聞けば、納得のいくところでもある。「エンジンとサスペンションのパフォーマンスを感じ取ってほしい」という彼のコメントからも、「そのままエンジンだけパワーアップさせたのでは面白くない」と、最旬のスタイルを取り入れつつも「ハーレーに乗る楽しみ」を盛り込んだ彼らしいマシンだと言えよう。

そこで気になるのが、乗り心地だ。排気量1,800ccオーバーのクラブスタイルと聞くだけで期待に胸が膨らむところだが、日本に住む者にとって悩ましい「排ガス規制」という制限が頭をもたげる。インジェクションモデルを所有するオーナーならご存知かと思うが、日本の排ガス規制値はアメリカのそれよりはるかに厳しく、輸入される前に大幅なパワーセーブがかけられるのだ。

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ONE-TEN(ワン・テン/110ciエンジンの意)と言えばCVOモデルだが、あくまでウルトラをはじめとする重量級モデルのためであり、カンパニーとして送り出す最高峰のバイクだけに許されたエンジンであった。そのエンジンをネイキッドモデルに搭載し、パワーをダイレクトに味わってほしいというコンセプトから生まれたのがこのSシリーズなわけだが、せっかくのパワーも足枷がついてしまっては意味がない。日本で本気のONE-TENを味わうためには、インジェクションチューニングを施してやる他ない。

今回、フランスで開催された新型スポーツスター XL1200CX ロードスターのメディア試乗会でローライダーSも用意されていたのだ。全世界共通の排ガス規制値「EURO4」に対応した本気のローライダーSのインプレッション、ご一読いただきたい。

FXDLS ローライダーSの試乗インプレッション

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乗り手を選ぶ暴れ馬!
史上最強のスポーツクルーザーか

ほとんど厚みがないガンファイターシートのおかげで、身長174センチの筆者なら膝が大きく曲がってべったりと足が着く。相変わらずプライマリーカバーが大きく突き出ているところが難点だが、身長160センチの方でもさほど足つきに難を覚えないことだろう。他メーカーのバイクに乗り慣れている人にとって、6インチ・ドッグボーンライザーとドラッグバーという組み合わせは違和感でしかないだろうが、かなり幅の広いハンドルバーになっているので、実際に走り出すとその操りやすさに驚かれることだろう。

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XL1200CX ロードスターの性能を存分に味わうための試乗会とあって、南仏のマルセイユ~サントロペ間で設けられたルートは、山を攻めるワインディングコースが中心となっていた。ロードスターのキャラクターを思えば納得の設定だが、試乗車にはこのローライダーSも含まれている。ロースタイルでバンク角もなく、そのうえセッティングが未知数のONE-TENである。タイトなワインディングではそのパワーを持て余して、ロードスターに置き去りにされることだろう……などと思っていた。

完全なる誤解だった。ベストセッティングのローライダーSは、これまで遭遇したことのないタイプのスポーツクルーザーだった。

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走り始めてまもなく、ローライダーSの性能の高さを感じ取った。さすがと言うべきか、やはり本気仕様のONE-TENが奏でる鼓動はまさにハーレーのそれだ。ほどよい振動でVツインの心地よさを楽しませつつ、いざ走れば爆発的な加速力で一気に距離を縮める。市街地はもちろん、ワインディングでも2速パーシャルで十分引っ張れるほどパワフルだ。かといってエンジンに無理をかけている感覚はなく、3速はともかく、4速以上なんてハイウェイ以外で使うことがあるのか? という印象だ。

想定以上のハイスピードで繰り広げられた試乗会は、メインコースであるワインディングへ。50メートルも開かない間隔で次々とコーナーが現れるので、3速にあげてもすぐさま2速に落とさねばならない。しかし、だからこそ2速で引っ張り続けられるエンジン性能が生きてくるのだ。

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コーナーに侵入するコースをイメージし、バイクをバンクさせて一気に倒し込む。刹那、イン側ステップのバンクセンサーが地面に接地して危険を警告してくる。しかし、バンクセンサーが接地することなんて折り込み済みだ。むしろそのまま足でステップを踏みつけ、さらに強引にバンクさせてやる。そしてイメージしたラインに入ったら、一気にスロットルを捻り、加速モードへ。

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すると、本気のONE-TENからとてつもなく破壊的なパワーが放出され、293キロという重量を感じさせないほど力強い走りで一気に前のバイクと距離を詰めたではないか。それも、スーパースポーツバイクのような急激な加速ではなく、野太く盛り上がってくる駆動感をしっかり味わわせながらの力強い加速で、だ。まさに秒殺。ちゃんとした基本動作を入力してやらないと言うことを聞いてくれないXL1200CX ロードスターとは対照的に、「大体このぐらいか」という大雑把な操作でもざっくり合わせてくれ、排気量1,801ccのフルパワーですべてを抜き去る。プレミアムサスペンションの仕事ぶりも申し分なし、ONE-TENを支えるにふさわしいレベルのフットワークだ。

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今回、ハイウェイ等でのローライダーS試乗は叶わなかったが、結果は推して知るべし。低い重心に49mmフロントフォークとプレミアムサスペンションで支えられた前後足周り、そしてライダーの体をしっかりホールドするガンファイターシートとミッドコントロールステップが、さらなるスピードの世界を約束することは間違いない。むしろ、「日本の道路で、6速を使うことがあるのだろうか?」とさえ思ってしまう。

究極のアメリカンスポーツクルーザー。ハーレーはとんでもないバイクを出してきたものだ。

FXDLS ローライダーSの詳細写真

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「ONE-TEN」(ワン・テン)と呼ばれる排気量1,801cc / 空冷4ストロークV型2気筒OHV2バルブエンジン『スクリーミンイーグル・ツインカム110』。さらに、スクリーミンイーグル製 ヘビーブリーザー・パフォーマンス・エアクリーナーが備わる。
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ストリート750に見られるビキニカウルが標準装備。レーシーなイメージを強めるこのディテールは、クラブスタイルを目指すローライダーSにふわさしいものだ。
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6インチ ドッグボーンライザーと幅の広いドラッグバーが組み合わさったコックピット。オートクルーズコントロールが備わるスイッチボックスもCVOから継承している。
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真っ黒なタンクに添えられたゴールドのバー&シールド。ビキニカウル、そしてドラッグバーという組み合わせを見ると、1977 – 1978に登場した名車XLCRのオマージュに他ならない。
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ローライダーS専用となるガンファイター型のソロシート。クラブスタイルというテーマに合わせたパーツで、ライディング時のホールド感も申し分なし。これで表皮に滑り止め加工が施されていれば言うことなし。
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四角いテールランプを備えたクラシカルなデザインのローライダーから一変、ボブフェンダー & ウインカー一体型テールランプを備えたモダンなリアエンドとなったローライダーS。何も取り付けられていないことから、リアフェンダーのブラックが一層強調されている印象だ。
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ベースモデルのローライダー用ホイールをゴールドに。このカラーリングもまたXLCRを思い起こさせるものだ。爆発的な走行性能のローライダーSにふさわしいダブルディスクブレーキ仕様。
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ブラックアウトされた2in1トミーガンエキゾーストは、FXDF ファットボブのそれと同じ。同モデルはEURO4対応型ではないが、2017年モデルではその規制に対応する仕様で出てくるはずだ。
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2015年、スポーツスター用に開発されて同ファミリーモデルすべてに配された新型サスペンション「プレミアムライド・エマルジョンショック」のダイナ仕様(フルブラックモデル)が標準装備される。

こんな方にオススメ

最先端のアメリカを感じ取れる一台が
あなたのライフスタイルを激変させる?

「ダークカスタム」のテーマに則ったクラブスタイルのローライダーSは、街から街へ、スピーディなクルージングを楽しみながら駆け抜けるバイクライフを具現化したモデルである。そしてインプレッションにもあるとおり、クルーザーらしからぬ走行性能を秘めているので、あらゆるシチュエーションで活躍してくれることは間違いない。

キャンプツーリングというよりは、弾丸日帰りツーリング向き。しかもコースには是非ワインディングを! と言いたくなる一台だ。どちらかと言えば、「所詮ハーレーなんでしょ」とタカをくくって見ている他メーカーバイクのオーナーに乗ってみてもらいたい。ハーレーに対する印象はもちろんのこと、あなたのライフスタイルまで一変させてくれること請け合いだ。

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