VIRGIN HARLEY | 安井 興紹(ウルトラ乗りの和尚) インタビュー

安井 興紹(ウルトラ乗りの和尚)

  • 掲載日/2007年02月16日【インタビュー】

ハーレーインタビューの画像

ハーレーを安全に楽しむこと
それを意識して走りたいですね

「尾張の和尚」そう呼ばれているハーレー乗りが、愛知にいるのを知ったのはいつだったか。その名前の珍しさが印象に残り、和尚さんのことはずっと頭に残っていた。初めは本物の和尚さんだと思っていなかったが、ハーレーに乗るれっきとした住職さんだという。それだけでも面白いのだが、話を聞いていくと和尚さんの経歴は面白い。てんぷら油で車を走らせる活動をしている、袈裟姿で無農薬野菜を育てている、どうやら町会議員らしい…。「一体どんな人だ?」と非常に興味がそそられた。袈裟姿でハーレーにのる和尚さん、その面白い経歴をじっくりとお聞きしてきた。

Interview

マスツーリングをするならば
緊急連絡先は聞いておいて欲しい

ー和尚さんは50歳を過ぎてからハーレーに乗り始めたとか。それまでにバイクに乗ったことはなかったのでしょうか。

和尚●中学校の授業でグランドでカブに乗ったのが、初めてのバイクでしたね。高校生になってからはトーハツ「ランペット」という今では懐かしいバイクに乗っていました。あちこちを走り回っていましたが、卒業してからはバイクとは疎遠になりましたね。

ーなぜ急にバイクに、しかもハーレーに乗ろうと思ったのでしょう?

和尚●インターネットを見ていて、ハーレーのサイドカーが安く売られているのを見つけたのがきっかけです。長らくバイクには乗っていませんでしたが、車の免許にバイク免許がついてくる時代に免許を取ったものですから、ふと乗ってみたいと思ったんです。

ーいきなりサイドカーというのも面白いですね。

和尚●サイドカーにはほとんど乗っていないんです。手に入れてみたらかなり酷い状態で、修理のためにショップに半年も預けていました。やっと修理が終わって引き取りに行ったときに、今のウルトラを見つけてしまったんですよ。

ー他のモデルとで悩まなかったのですか?

和尚●これしかない、と思いました。ただ見た目だけではなくて「安全に走れること」を考えればウルトラが一番だと思いましたから。

ーと言うと?

和尚●リアのサイドバッグやフロントのフェアリングがあるので、万が一の事故の際にも体をガードしてくれることもあるでしょうし、大柄なバイクですから車からの視認性もいいでしょう。前後の車も「大きなバイクがいるぞ」と気づいてくれますから。バイクが見落とされての事故にも遭いにくいかな、と。

ー大きさだけではなく、存在感もありますからね。

和尚●車の流れに混ざっても認識してもらえるバイク。他のメーカーのバイクであそこまで存在感のあるバイクはなかなかないでしょう。それほど軽快なバイクではありませんが、50歳を過ぎてから乗るバイクですからのんびりと走ることができれば充分です。排気量は1450ccもありますから、スロットルを回せば力強い加速をしてくれます。400Kg近い車重も走り始めれば気になりませんしね。

ーでも、停車時はさすがに重いでしょう。

和尚●バック時の重さはかなりのものなので、バックギアをつけています。コケたらどうしようもないですけれどね。一度立ちゴケをしたことがあるのですが、そのときは後ろにいたドライバーが「おっちゃん大丈夫かー?」と起こすのを手伝ってくれました(笑)。一人で起こすのは傍目にも無理だと思ってくれたんでしょう。こういうときに周りの人が駆けつけてくれるのも、大柄なウルトラならではのことなのかもしれません。

ー家族や檀家の方は、和尚さんがウルトラに乗るのに反対はありませんでしたか?

和尚●子育ても一区切りついていましたから、妻は「アナタが倒れても保険があるから大丈夫。でも人様に怪我をさせたらダメよ」とあっさりとしていましたよ(笑)。檀家さんも「和尚がまた変なことを始めたよ…」とあまり気にしていませんね。私はゴルフもしないし、車は軽自動車ばかりを乗り継いできていますから「ハーレーくらいの趣味は仕方がないかな」と思ってくれているようです。ハーレーばかり乗っていて仕事をちゃんとしていなければ怒られてしまうでしょうけれど、住職の仕事も町会議員の仕事もしっかりと勤めていますから周りも温かい目で見てくれています。

ー和尚さんがウルトラに乗るのは週末だけでしょうか? 檀家さんの家を回るときにもウルトラに乗っているのでしょうか。

和尚●ウルトラで檀家さんの家に伺うこともあります。ウルトラで出かける方が気軽ですし、気持ちいいですから。袈裟を着て走るのもなかなか気持ちいいですよ。

ー袈裟とハーレーですか、面白い光景ですね(笑)。ところで、和尚さんは週末には地元のハーレー仲間とツーリングに出かけているようですね。

和尚●昔はソロが多かったのですが、最近は「VIRGIN HARLEY」や他のWebサイトを通じて知り合った方と走る機会が増えてきましたね。いろんな方と繋がりはじめると中部地方以外のところにも知り合いができ、走る楽しみが増えました。

ーソロもいいですけれど、マスツーリングも楽しいものですからね。和尚さんたちがマスツーリングを企画する時には緊急時の連絡先を必ず聞いているとか。

和尚●Web上で企画された気軽に参加できるツーリングだと、自己紹介で名乗るのはハンドルネームと乗っている年式・車種くらいですよね。でも、マスツーリングで、もし何か起こったとき「誰も緊急連絡先を知らない」ということだと大変ですよね。ショップのツーリングなどだと、その辺りはしっかりしています。ツーリングを主催する側としては多少面倒ですけれど、そこはきちんと把握しておかなければいけないことだと思うので、私たちが走るときは緊急連絡先は聞くようにしています。「そこまでするの?」と思うかもしれませんが、万一の事故のときに警察に「この方の名前は?」と聞かれて「尾張の和尚さんです」とは言えませんよね(笑)。

ー緊急連絡先を伝えるのに抵抗を感じる人はいませんでしたか?

和尚●集合時にいただいた名刺や連絡先は、希望する方には解散するときにお返ししています。個人情報保護が叫ばれる世の中ですからね。「連絡先を返してください」と言い辛い方もいるでしょうから、こちらから解散時に声がけをして返すようにしています。

ー確かにWebから企画された集まりだと、トラブル時の備えは甘いかもしれませんね。

和尚●私たちはチームではないので「毎月必ず集まるぞ!」みたいなルールなんてありません。声をかけて集まった方と気持ちよく走りたいだけです。ただ、みんな責任ある立場にいる大人でしょうから「安全」については備えておくべきかな、と思うんですね。Webサイトから広がった、私たちみたいな輪はたくさんあるでしょう。主催者の方はせめて緊急時の連絡先くらいは聞いた方がいいでしょうね。

ー聞いてみれば「なるほど」というやり方ですが、なかなかそこまで考えているグループはありません。和尚さんはどこでそういうやり方を学んだのでしょうか。

和尚●小さい頃からボーイスカウトをやっていたので、たくさんの人と行動するときの注意などはそのときに教わりました。そのときの訓練で今も役立つことは多いですね。他にも、ハーレーに乗り始めてから知り合った方に「安全で楽しいライディング」に熱心な方がいて、その方から教わった部分もたくさんあります。いろいろな方から教わったことを和尚なりにアレンジを加えて、仲間とツーリングをするときに実践するようにしています。

尾張の和尚がしていることが
面白おかしく伝わればいい

ーお寺の修行で学んだことで、ウルトラに乗るときに役立っていることはありますか?

和尚●どんなことも今に繋がっているでしょうけれど、周りをそれとなく気遣うこと「真心」を持って行動することは、ハーレーに乗るときにも心がけています。周りの車はどんな動きをしているのか、で危険を避けることができますし、マスツーリング時も周りの仲間を見ているとどんなペースで走ればいいのか、がわかります。心に余裕を持って周囲を気遣ってやればみんなが気持ちよく走ることができます。

ー「我」でなく「和」と言ったところですね。自然にそういう行動ができれば、車もバイクも事故は減るでしょうね。和尚さんは住職になるまでにどのくらい修行をされていたのでしょう。

和尚●大学を卒業してから15年、東本願寺の別院で修行していました。最初の三ヶ月は住み込みで、その後は通いで職員として勤め、実家のお寺の住職として戻ってきたんですよ。

ーお寺の修行は辛そうなイメージがありますが。

和尚●住み込みのときは朝の5時から夕方の5時までお寺の掃除などをし、夜からはお経を読む修行です。傍目からは辛そうに思うかもしれませんけれど、なかなか楽しいものでしたよ。一緒に学ぶ仲間やいい先輩に恵まれていましたから。修行は確かに厳しいこともありますが、そこは気の持ちようです。「やらなければいけない」と思って動くと何事も辛く感じますけれど、どうせやらなければいけないことなら率先して動くようにすると、辛くはありません。掃除でかき集めた落ち葉にいかに上手く火をつけるか、など日常の些細なことも楽しみながら修行をしていました(笑)。

ー今は修行を終え、お寺に戻ってきているわけですが、町会議員も務めているとか。議員になったきっかけは?

和尚●ウチが貧乏寺だからですよ(笑)。周りの方たちが「なんとか和尚も食べていかなければダメだから議員にしてやろう」と尽力してくださって、今の私がいます。せっかく選んでいただいているので地域のために頑張って今は3期目を務めています。住職であり、町会議員であり、ハーレー乗り、それぞれに違う面白い世界で生きていますよ。

ーそれに加えて環境関係の活動、テンプラ油で車を走らせたり、無農薬野菜を作ったり、慌しく活動していますね。忙し過ぎですよ。

和尚●15年くらい前だったか、家庭排水が河川を汚染している話を耳にしたときに「これは何とかせんと10年先、20年先に大変なことになるな」と思ったんです。洗剤や食用廃油が川に流れ込み、川を汚すのを何とかできないか、アレコレ調べてみたんです。そうしたら海外では植物性の油で車を走らせている国があるのがわかって、てんぷら油で車を走らせることを始めました。これまではゴミになっていた廃油をリサイクルできれば、河川の汚染が少しでも抑えられる。コツコツとそんな活動をしてきました。

ー和尚さんが環境問題のためのリサイクル活動を行う、面白いですね。

和尚●リサイクルとは仏教でいう「輪廻転生」の考え方に近いモノがあります。モノを使い終わったらゴミ、ではなくまた別の使い途を見出してやればゴミも甦ります。そうやってモノが無駄にならないように循環させていくのは誰かがやらなければいけないことですから、たまたま私がやっているんです。

ーTVや新聞でも取り上げられていますね。

和尚●「袈裟を着た和尚が、面白いことをやっている」それがきっかけでメディアの方たちは取材に来てくれます。きっかけはそうであっても私が伝えたいことをメディアで話すことができる、有難いですね。「和尚さんがリサイクル活動をしている」、「和尚さんが無農薬野菜を作っている」そして「和尚さんがハーレーに乗っている」。和尚という立場にいるのも何かの縁ですから、私が訴えかけたいことをこれからもいろいろな方に伝えていきたいですね。

プロフィール
安井 興紹
57歳。2000年式FLHTCUI所有。鎌倉時代より続くお寺の住職であり、地元蟹江町の町会議員の顔も持つ。環境問題への取り組みを長く続けており、環境リサイクル活動でTV・新聞へ取り上げられることも多い。

Interviewer Column

待ち合わせの喫茶店にやってきた和尚さんは、真冬だというのに袈裟姿だった。「撮影用に袈裟で来て欲しいな」とは思っていたものの、この寒い季節にそれをお願いするのは躊躇していた。後で話を聞いてみると「きっと袈裟で来て欲しいんだろう」と袈裟姿で来てくれたのだという。待ち合わせの喫茶店も「撮影に適した場所を」とセッティングしてくれた場所だった。常にそれとなく周りに気遣っている方なんだな、ということはこのエピソードからも実感できる。ハーレーの話から人生観の話まで、温和な口調で語る和尚さんへのインタビューは時を忘れるものだった。こちらが取材しているのではなく、講演を聴きに訪れた、そんな印象を受けるインタビューとなり、和尚さんとの出会いをじっくり楽しませていただいた(ターミー)。

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