VIRGIN HARLEY |  第2回 タンク加工編実践!スポーツスター・フルカスタム

第2回 タンク加工編

  • 掲載日/ 2010年06月14日【実践!スポーツスター・フルカスタム】
  • 取材協力/TRAMP CYCLE  取材/VIRGIN HARLEY.com 編集部 ジャージー
スポーツスターカスタムの画像

車体のラインをまとめるため
まずはタンクに手を加えていこう

打ち合わせ段階で理想のスタイルが決定したので、そこに向かって各所を触っていきます。大々的に着手するのは、本連載のインデックスで分けているとおり「タンク加工」 「リアショック加工」 「フロントフォーク加工」の3点が大掛かりなカスタムポイントで、これらが完了したら他のパーツを取り付けつつ全体を調整していく……という流れです。

今回はタンク加工。当初僕は容量7~8リッター程度のミニタンクを取り付けようかと考えていたのですが、長岡さんに相談したところ、「ジャージーさんは長距離を走られるじゃないですか。その乗り方だとミニタンクにするよりも、現在の純正タンクを加工してスタイリングを整えた方が良いと思いますよ」とのアドバイスを受けまして、あっさり承諾(笑)。実のところ、理想のスタイルの決め手になった部分はこのタンクマウントだったわけですから、それでは名高いカスタムショップ TRAMP CYCLE の手腕を拝見させていただきましょう!

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カスタム前の姿。理想のスタイルと見比べると気になる箇所がわんさか……。早速カスタムスタートです。

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まずオーナーがどんな乗り方をしているのか、それを前提にカスタムの提案をさせていただいているわけですが、ご存知のとおりジャージーさんは取材などで東京 ⇔ 大阪間を走ったりされる長距離走行ライダーなので、ミニタンクより現在のタンクを加工して、なるべくタンク容量を保った方がいいと思い、純正タンク加工を提案しました。特にこのインジェクションモデルのタンクはポンプの位置や取り付け箇所など、非常にしっかりしていますからね。

純正タンク加工を提案したもうひとつの理由は、インジェクション仕様の現行モデルはフレームが太いという点です。ここにミニタンクをボルトオンするとなると、取り付け位置がどうしても限定されてしまいます。これは決してミニタンクを否定しているわけではなく、例えばフレームに手を加えたり配線を外に逃がしたりして取り付ければスタイリングは良くなります。ここで大事になのは、やはりライダーがどんな乗り方をしているのかという点。街乗りだけならミニタンクという選択肢もアリですが、この人、めちゃめちゃ走りますから(笑)。

それらを前提に、いかに車体が描く流麗なラインを作り出せるかをポイントに調整していきます。着手前のジャージー号を見てもらうと一目瞭然ですが、タンクとシリンダーヘッドのあいだに黒い空間があります。カラーリングとの兼ね合いもあるのですが、タンク位置が高いために隙間が生まれ、ローマウント加工した車輌と見比べたときに “もっこり”と盛り上がった印象を与えています。逆に言えば、ここに手を加えることで全体の印象をがらっと変えることができるわけです。

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ヘッドライト ⇒ タンク ⇒ シート ⇒ リアフェンダーと続く車体のラインを美しくしたいですね。
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最終的に目指すのはこのスタイリング。純正タンクに手を加えてローマウントします。

タンク加工作業がスタート
葛藤に苛まれながら進んでいく

オーナーの承諾を得たところで、早速タンク加工作業をスタートさせましょう。純正タンクを加工する際、通常であれば

  • 1.タンクを取り外す
  • 2.フレームに接着している配線を外に逃がす
  • 3.タンクを深くえぐる
  • 4.すっきりしたフレームにマウント

という作業になるのですが、今回はあえて配線をそのままにし、タンクの裏側加工に手を割いて調整していくこととしました。なのでタンク裏側の少し複雑な状態にならざるを得ませんが、別のインジェクション車輌にもちょっと加工するだけで取り付けられるメリットなどがあります。なぜこんなことをするのかって? 単なる自己満足の部分です(笑)。まずはタンクを粗くカットし、車輌に仮乗せしてマウント位置を確認します。ここで位置を確定し、本格的に溶接作業を進めていきます。

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まずは仮の加工を施し、マウント位置を調整。ここが決まれば溶接開始。

裏側の状態は、下の写真をご覧ください。配線の位置が大きく関係していますので、小刻みに溶接しています。続いてガスキャップを変更することにしました。TRAMP CYCLE でよく用いているエアプレーンタイプのガスキャップです。メリットとしては、「取り付けがしっかりとしている」「閉め忘れが起こりにくい」「給油がしやすい」「サイドマウントした際のデザインが良い」「中が良く見えるようになる」「レーシーでカッコいい」などなど。それより何より、僕が純正キャップをあまりカッコよく思えていないのが一番の理由かもしれません(笑)。そうして順調に作業が進んでいるように思えたのですが、ここでひとつ問題が発生しました。ずばり、加工したガスキャップの位置が気に入らなかったのです……。僕以外の作業員は「どこが?」という反応でしたが、気になり出すと気持ちが悪くて、結局マウント位置をやり直すことにしました。完成形は、納得のスタイルとなりました。

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【左】ガスキャップを取り付けたのですが、もう少し外側に付いているのが美しいんですよね。うーん……やり直し!
【右】紆余曲折を経て、溶接作業が完了。配線位置の関係もあり、裏側の加工は非常に複雑でした。

タンク加工 完了!

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カスタムメニュー 一覧

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ローマウント加工したタンクを設置した全景。この時点で前後ローダウンも完了、一部カスタムパーツも取り付けています。さて、完成はいつになることやら……。

作業内容
  • ● トンネル部 ⇒ ローマウント加工
  • ● タンク容量 12.5リットル ⇒ 11リットル に変更
  • ● ガスキャップの変更
  • ● その他加工作業諸々
作業日数
  • ● 作業内容の考案 & パーツチョイス : 1~2週間
  • ● 実作業(キャップ土台の製作含む) : 約1週間
  • ※やり直しを行うと日数追加

ガスキャップ位置のやり直しを含めてかなりの日数を割きましたが、出来上がりは上々ですね。各作業に1週間近い日数を割いているのは、今回のプラン全体を見渡したときにこの加工が大きなウェイトを占める部分ゆえ、慎重に作業を進めたいからです。まず仕上げてから少し置いて、冷静に見つめ直して……ということもしますからね。こうしたワンオフ作業はショップによって違ってくると思いますので、実際に自分の車輌に取り入れてみたい!という方は、お近くまたは馴染みのショップでじっくり相談されることをオススメします。

次回はオーリンズのリアショック S36E のローダウン加工と塗装です。
今度はジャージーさん馴染みのお店ウノパーウノ にもご協力いただきながら作業を進めていきます。お楽しみに。

プロフィール
ジャージー

H-D 2008年式スポーツスターXL1200Rを所有するV-H担当者。バイクに関する知識は皆無なくせにバイクに乗るのは滅法好きという関西人で、東京⇔関西間をやたら自走取材するので走行距離は1年間で2万キロと伸びる一方。ようやくスポーツスター一台に絞ったにもかかわらず、H-Dの他モデル(特にダイナ)や原2バイクに心奪われることが多い。現在大阪の某カスタムショップで愛車をフルカスタム中。完成後の姿や如何に……。

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