4月から一ヶ月以上にわたってお届けしてきたスポーツスター XL1200X FORTY-EIGHT のフルカスタム企画、ついに完成へと漕ぎ着けた。“ファクトリーカスタムモデル”という、ある種の完成形とも言えるスタイルで親しまれている FORTY-EIGHT をフルカスタムするとどこまで変えられるのか、企画当初の命題はまさしくこの一点に尽きる。
明確なビジョンを持つオーナーと、ビルダー HIDE の元で数多くのスポーツスターカスタムを手がけてきたワタリ氏。それぞれのイメージを融合させるべく試行錯誤を繰り返し、時間をかけながら手を入れてきたこのカスタムモデル、FORTY-EIGHT の特徴を殺すことなくブラッシュアップされている。タンクペイントの際、ピンラインの太さを2ミリと3ミリのいずれにするか迷うなど、「持てるものを出し尽くした」と語るワタリ氏。その渾身の一台がここにベールを脱ぐ。
今回のカスタムプランにおいて、これまでと違っていたのは「ベース車両が FORTY-EIGHT であること」と「オーナーのイメージが明確なこと」の2点です。まず前者ですが、やはり特徴的な部位が多いカスタムモデルなだけに、どうプラスアルファをもたらしていくか、かなり悩みましたね。中途半端に着手すると FORTY-EIGHT としてのバランスそのものを崩してしまい、イメージダウンにつながってしまいます。
「オーナーのイメージが明確なこと」は、本企画の 第1回記事 をご覧いただければと思いますが、納車の際、ご自身が思い描く理想のスタイルをイラストにしてお送りくださったのです。カスタムをする前にじっくりそのイラストを拝見していたのですが、ヒデモのカラーをリスペクトしつつご自分の好みを投影されていたので、「これはかなり良い」と思いました。だからイラストのスタイルを再現することを前提に、カスタムを進めるなかで「こういうテイストを取り入れよう」と考えながらプラスアルファをもたらしていった――というのが、この車両のカスタム企画の土台です。
もっともこだわったのはタンク全般です。極小サイズにまとめたのはもちろん、デザインにもかなりの時間を要しました。それだけに、仕上がりの良さに大きな手応えも感じましたね。このほか、既製品であるヒデモ オリジナルのハンドルバー DROPER (ドロッパー) に穴を開けて配線を中通しし、ハンドルまわりをすっきりさせてチョッパーテイストを演出するなど、見えないところへのこだわりも多数あります。
それでは、ご覧ください。
今回は製作期間が約一ヶ月と、カスタムプランの内容と期間を考えたらかなり早かったと言えますね。当ショップが提案している スポーツスターカスタムプラン に沿ってオーナーと打ち合わせ、プランを固めて進めてきたのですが、実際のところカスタムは天井知らずですから、まだまだ着手できるところはあるんですよね。
このスタイルはある意味で“スタート”となるもので、ここからさらにどう煮詰めていくか、オーナーがそのバイクライフのなかから見出していく……その過程を楽しんでいただきたいと思います。そうすると、愛車にさらなる愛着が沸いて楽しさそのものが倍増しますので、アイディアに幅をもたらすためのご相談は随時お待ちしています。どうぞ気兼ねなくお越しください。