AMF時代を脱却し、汚名返上へと意気込むハーレーダビッドソンがまず取り組んだのが新設計のエンジン開発。「エボリューション」、そして「ツインカム88」の誕生により、「故障しやすい」というそれまでの悪評を完全に払拭した。1990年代からはハーレーにとって飛躍の時代で、さまざまなモデルの開発はもちろん、サービス面など販売強化を展開し、それにともなって世界各国におけるハーレーの人気が高まっていく。そして今、我々がよく知る「キング・オブ・モーターサイクル」の名を冠するハーレーダビッドソンがある。
【1985年】エボリューションエンジンの登場!
前年より登場した新型エンジン「エボリューション」は、「暗黒時代」と呼ばれるAMF傘下時の象徴ショベルヘッドよりも耐久性に勝り、さらに軽量化にも成功。また同時に「ソフテイル」も発表された。フレーム後部をスイングアーム化し、下部にサスペンションを搭載した斬新なスタイルは、クラシカルなハーレーを愛する人々にとって朗報だった。
【左】この前年に姿を消したXR1000(ショベルヘッド搭載) 【右】新時代の到来を告げる「エボリューション」エンジン
世界の出来事
- ・両国国技館が完成
- ・ミノルタカメラが世界初のAF一眼レフカメラを発売
- ・サッカーUEFAチャンピオンズカップ決勝会場(ベルギー)で暴動発生、観客39人が死亡(ヘイゼルの悲劇)
- ・松田聖子と神田正輝が結婚
- ・ロス疑惑の三浦和義が逮捕
- ・スーパーマリオブラザーズ発売
- ・「プラザ合意」により翌日ドルが暴落
【1986年】スポーツスターにエボ搭載
この年、エボリューションエンジンが搭載されたスポーツスター「XLH1100」の販売が開始された。現在のスポーツスターファミリー同様、883ccと1100ccの2モデルがあり、ライダーは自分に合った排気量のタイプを選べた。
1986年式のFXRスーパーグライド
- ・男女雇用機会均等法施行
- ・ドラゴンクエスト発売
- ・FIFAワールドカップメキシコ大会開幕
- ・伊豆大島の三原山が噴火
- ・『男女7人夏物語』『あぶない刑事』などのTVドラマがヒット
- ・『DRAGON BALL』『聖闘士星矢』などのアニメ放映開始
【1988年】ハーレーダビッドソン創設85周年
創設から85年目を迎えたハーレーは、記念モデルとしてスプリンガーフォークを搭載した「FXSTS」を発表。古きよき時代のスタイルに加え、アメリカのシンボルである白頭鷲があしらわれた85周年記念ロゴなどが高く評価された。
【左】ハーレー85周年記念モデルのFXSTS 【右】当時のハーレーの広告ポスターには、女性のハーレー乗りが登場
- ・東京ドーム完成
- ・東京ディズニーランド開場5周年
- ・ソウルオリンピック開幕
- ・リクルート事件
- ・北海道の十勝岳噴火
- ・『探偵!ナイトスクープ』『とんねるずのみなさんのおかげです』などが放映開始
- ・『キテレツ大百科』『シティーハンター2』『それいけ!アンパンマン』などのアニメ放映開始
【1990年】現代に受け継がれるモデルが登場
90年にスタージスとファットボーイを、そして翌91年にはダイナ・デイトナと、現代に語り継がれ、現代に受け継がれるモデルが続々と登場した。特に1991年に発表されたスタージスはブラックアウトされた車体が魅力で、後に登場するナイトトレイン、そして2008年より登場したXL1200Nナイトスター、XL883Nアイアンがその後継モデルといえる。
後のベストセラーモデルとなるFLSTFファットボーイ
- ・第1回大学入試センター試験実施
- ・ローリング・ストーンズやポール・マッカートニーらが初来日公演
- ・FIFAワールドカップイタリア大会開幕
- ・ドイツ統一
- ・F1日本GPで鈴木亜久里が日本人初の3位入賞
- ・B.B.クイーンズ『おどるポンポコリン』、米米CLUB『浪漫飛行』、たま『さよなら人類』など歌謡曲がヒット
【1998年】エボを超える新型エンジン「ツインカム88」
エボリューションエンジンの成功によって進化したハーレーは、さらなるステップアップにと新型エンジン「ツインカム88」を開発。環境問題への適応などを配慮したOHV式エンジンで、従来1本だったカムシャフトを2本にした。
ハーレーにさらなる進化をもたらした「ツインカム88」
- ・郵便番号7桁化
- ・明石海峡大橋開通
- ・X JAPANのギタリストhideが死去
- ・FIFAワールドカップ・フランス大会開幕(日本が初出場を果たす)
- ・SMAP『夜空ノムコウ』、Kiroro『長い間』、ゆず『夏色』、宇多田ヒカル『Automatic』などの歌謡曲がヒット
【2000年】ミレニアム記念モデルは近未来スタイル
ソフテイル用エンジン「ツインカム88B」が搭載されたミレニアムモデル「ソフテイル・デュース」は、半円形のリアフェンダーや今までにないマフラー形状など、従来のソフテイル・スタイルにチョッパーテイストを加えた近未来を思わせるモデルだった。
【左】ツインカム88B 【右】ミレニアム記念モデルのソフテイル・デュース
- ・朝鮮半島の分断後55年で初の南北首脳会談
- ・新紙幣2000円札発行
- ・タイガー・ウッズが史上最年少(24歳)でのグランドスラム達成
- ・シドニーオリンピック開幕
- ・都営地下鉄大江戸線が全線開通
- ・サザンオールスターズ『TSUNAMI』、SMAP『らいおんハート』、B’z『今夜月の見える丘に』などの歌謡曲がヒット
【2003年】ハーレー、100周年の節目を迎える
創設100周年を迎えたハーレーダビッドソンは、新たなファミリーとなる「V-ROD」を発表。ハーレー初の水冷DOHC4バルブエンジン「レボリューション」を搭載したこのモデルは、ドラッグレーサーをベースとした斬新なデザインで人々を驚かせた。さらに100周年記念のロゴが飾られたモデルが多数発売されるなど、記念の年を大いに盛り上げた。
【左】100周年を記念して登場した斬新なデザインのV-ROD 【右】100周年モデルのFXDLダイナ・ローライダー
- ・米・英によるイラク侵攻開始(イラク戦争)
- ・郵政事業庁が日本郵政公社に
- ・MotoGPレーサー加藤大治郎がレース中に事故死
【2006年】ダイナ・スーパーグライドが生誕35周年を迎える
100周年を経て波に乗るハーレーは、FXDBIダイナ・ストリートボブなど新しいモデルを発表する中、35周年を迎えたFXDダイナ・スーパーグライドの復刻デザインモデルを発表。35周年記念バッジやガソリンタンクの「ナンバー1」エンブレムなど、古きよき時代を知るハーレー乗りにはたまらない一台となった。
35年前のデザインを復刻させたFXDダイナ・スーパーグライド
- ・トリノ冬季オリンピック開幕
- ・第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)開幕
- ・FIFAワールドカップ・ドイツ大会開幕
- ・第90代内閣総理大臣に安倍晋三官房長官が指名
- ・フランス凱旋門賞でディープインパクトが出走
- ・FIFAクラブワールドカップ2006が開催
【2008年】ファクトリーカスタムモデルがバイク界を席巻!
FXCWCソフテイル・ロッカーC、FLSTSBソフテイル・クロスボーンズ、XL1200Nナイトスターなど、ハーレーのラインナップに多種多様なファクトリーカスタムモデルが並んだ。さらに105周年記念のデザインモデルも加わった。
【左】FXSTSBソフテイル・クロスボーンズ 【右】105周年モデルのFLHXストリートグライド
- ・北京オリンピック開幕
- ・福田康夫首相が辞意を表明(「あなたとは違うんです」発言)
- ・大手証券会社リーマン・ブラザーズが経営破綻
- ・松下電器産業が社名を「パナソニック株式会社」に変更
- ・第44代アメリカ合衆国大統領にバラック・オバマ氏が当選