VIRGIN HARLEY |  【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ試乗インプレ

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ

  • 掲載日/ 2025年06月30日【試乗インプレ】
  • 取材協力・写真/HARLEY-DAVIDSON JAPAN 取材・文/佐川 健太郎 衣装協力/KUSHITANI
【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ メイン画像
HARLEY-DAVIDSON FXLRS LOW RIDER S(2025)
ハーレーダビッドソン随一のハイパフォーマンス・クルーザー「ローライダーS」の2025モデルに試乗。走りの進化を検証する。

FXLRS Low Rider S の特徴

変わらぬスタイルに研ぎ澄まされたスポーツマインド

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 01画像

「ローライダー S」は、ハーレーのクルーザーラインアップにおいて突出した動力性能を誇るハイパフォーマンスモデルである。2025年型には新セッティングが施されたMilwaukee-Eight® 117「ハイアウトプット」エンジンを搭載。高回転域でのパワーが強化され、数あるハーレーの中でも最強レベルの走りがさらなる進化を遂げた。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 02画像

スタイリングは従来どおりのソロシートとミニフェアリングを備えたロー&ワイドなプロポーションはそのままに、軽量な2in1タイプの新型マフラーが採用され、走りのイメージをさらに高めている。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 03画像

足まわりは、専用セッティングのφ43㎜倒立フォークと改良されたロングストロークのリアモノショックを組み合わせ、快適性とコーナリング性能を両立。さらにライドモード(ロード/レイン/スポーツ)やトラクションコントロール、ドラッグトルクスリップ制御、コーナリングABSといったライダー支援システムも網羅し、どんな路面でも安心感のあるライディングを可能にした。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 04画像

インストルメントはアナログとデジタルを融合した4インチメーターを採用し、クルーズコントロールやUSB-C電源などの装備も充実。伝統を受け継ぎつつ先進のテクノロジーをまとった“新世代ローライダー”として存在感は一層際立っている。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 05画像

FXLRS Low Rider S の試乗インプレッション

ハイアウトプット化で得た圧倒的パワー

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 06画像

2025年型ローライダーSは、クルーザーの枠に収まりきらない“異端”の存在だ。最大のトピックは、Milwaukee-Eight® 117「ハイアウトプット」エンジンの新採用。従来の117ciユニット(1,923cc)をベースに、吸排気系の見直しとハイカム化により、レスポンスと出力特性が徹底的にブラッシュアップされた、まさにファクトリー・ホットチューン仕様だ。

実際の走り出しでは、わずかにスロットルを開けるだけで押し出されるような強烈なトルクに驚かされる。街中なら2000rpmも回せば十分に速く、高速道路ではアクセル操作ひとつでドッカーンと追い越しが可能。Vツインらしい鼓動感とともに湧き上がるパワーは、まさにハーレーの真骨頂と言えるだろう。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 07画像

今回から搭載されたライドモードも注目ポイントで、特に「スポーツ」モードでは一気にアグレッシブな走りに豹変。すでに十分なハイアウトプットなのに、さらに攻める感覚はもはや“暴力的”と表現したくなるレベルだ。対照的に街乗りでは「レイン」モードの穏やかなフィーリングも心地よく、シーンに応じて走りのキャラクターを使い分けられるのが魅力。いずれにしても、この重量級の猛獣をスマートに操れるのは最新の電子制御デバイスがあってこそである。

とはいえ、アイドリングや巡航中は不快な振動もなく疲れを感じにくいことも美点。ソフテイル系のリジッドマウント+バランサー内蔵エンジンのおかげで、長距離でも快適に“ソリッドな鼓動”が味わえるのは、ツーリング派にとっても大きなアドバンテージだ。 足まわりは、19インチフロント&16インチリアの伝統を継承しつつ、倒立フォークとモノショックも改良されている。元々フロント周りにしっかり剛性感があり、ハイアウトプットに対応して減衰力が強化されたことで、さらにコーナリングでの安定感が増した印象。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 08画像

低速ターンでもリアの小径ホイールを軸にフロントをぐるりと回せるのでUターンも苦にならない。バンク角にも余裕があり、切り返しのスムーズさやハンドリングの素直さは、もはや“スポーツバイク的”と言っても過言ではないほど。新型ソフテイルシリーズの特徴でもあるのだが全体的にシャーシ剛性が高く、高速域でやや強引に寝かせても微動だにしない安定感が頼もしい。

独特のライポジが生み出す一体感のある走り

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 09画像

ライディングポジションは独特だ。低いシートにどんと腰掛け、前方にあるドラッグバーに手を伸ばすスタイル。体格によってはやや前傾を強いられるポジションではあるが、そこがスポーツライディングにおける一体感と安定性を生み出している。また、フットレスト位置がヒザの真下辺りにくるミッドコントロールなのでステップワークもしやすい。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 10画像

ただハンドル位置が遠く感じる場合は、ライザーやバー交換で理想のポジションに近づけるのも一手だろう。シート高は715mmと低めで足着きに優れ、重量304kgながらハーレーの中では取りまわしも軽快。重心の低さもあって、女性や小柄なライダーでも十分に扱えるパッケージに仕上がっている。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 11画像

総じて、2025年型ローライダーSは「走りのハーレー」の名にふさわしい実力を備えた一台だ。アメリカンらしい重厚感とスポーツバイク並みの走行性能。その融合が生み出す“ハイパフォーマンス・クルーザー”の魅力は、価格帯約300万円のプライスタグに見合うだけの満足感と、所有する悦びを約束してくれるはずだ。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 12画像

FXLRS Low Rider S の詳細写真

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 13画像

空冷45度VツインOHVの伝統を守りつつハーレー史上最強のパワー与えられた「Milwaukee-Eight® 117 ハイアウトプット」搭載。排気量1,923ccから最高出力114 HP / 85 kW @ 5,020rpm、最大トルク173Nm / 4,000rpmを発揮。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 14画像

エンジン横に飛び出したヘビーブリーザーインテークがハイパフォーマンスを象徴。パワーフィルターが積極的にエアを取り込む角度でマウントされている。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 15画像

通常の「Milwaukee-Eight® 117」に比べて、より高回転パワーを生み出すハイカムシャフトの採用、吸気容量拡大やエキゾーストの変更、ECUのチューニングによるスロットルレスポンスの最適化などにより、さらにパワフルでスポーティな出力特性を得ている。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 16画像

ヘッドライトやテールライト、ウインカーを含む灯火類はフルLEDタイプを採用。より明るくデザインも洗練された。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 17画像

フューエルタンク容量18.9Lで公式燃費は5.6 L/100 km(リッター18km弱)。排気量約2000ccで300kgの巨体を引っ張るスペックとしては優秀。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 18画像

1人乗り専用のソロシートは程よい硬さの分厚いクッションでホールド感と乗り心地を両立。立ち上ったバックレストが強烈な加速Gをしっかり受け止める設計だ。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 19画像

マフラーは従来の上下2段のショットガンタイプから軽量でスポーティな1本出しタイプへと変更。タイヤはハーレー純正として定番のMICHELIN(ミシュラン) SCORCHER 31を装着 。サイズはフロント110/90-19、リア180/70-16。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 20画像

シングルメーターだけのシンプルなコックピット。ハンドルは横に開いたドラッグバータイプで、ライザーで立ち上げているため腕を真っすぐに伸ばした自然な位置にグリップがくる。ライポジひとつにもハーレー独自の走りの哲学が垣間見える。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 21画像

ステップ位置はミッドコントロール。前過ぎない自然な位置にあるのでブレーキ操作やステップワークもしやすい。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 22画像

コーナリングABS標準装備でフローティングタイプのφ300㎜ディスク&4ピストンキャリバーをダブルで装着しパワーに負けない強力な制動力を確保。コーナリングABS装備で安全性もしっかり担保されている。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 23画像

リアブレーキにはフローティングタイプのφ300㎜ディスク&2ピストンキャリパーを採用。大径ディスクの威力と後輪分布荷重の大きさから、リアブレーキが良く効くのがハーレーの特長でもある。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 24画像

2次減速はハーレーでは一般的なベルトドライブ方式。軽量で耐久性に優れ、騒音が少なく給油の必要がないなどメリットも多い。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 25画像

電制化によりスイッチ類も見直された。右グリップにはイグニッション&キル、ハザード、トラコンの他、ウインカー共用のモード切り替えスイッチが付いた。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 26画像

左グリップにはメニュー切り替え、クルーズコントロール、ウインカー共用のホーンスイッチなどが並ぶ。操作しやすく洗練された印象だ。

【ハーレーダビッドソン 新型ローライダーS 試乗記】 電脳をまとった暴れ馬、これぞ令和の“走り屋ハーレー”だ 27画像

アナログ式スピードメーターの中にLCDディスプレイをビルトイン。タコメーターや距離、燃料残量の他、ライドモードも分かりやすく表示される。

ピックアップ情報