エンジン停止時の電圧同様、稼働中の充電電圧も重要
満充電時に
12.8V前後まで上がるのが理想
ヘッドライトやウインカーなどの燈火類を作動させるだけでなく、スパークプラグに火を飛ばすためにもバッテリーが必要。ガソリン残量やオイル量と違い、外から見ただけでは充電されているかどうか分からないバッテリーの状態を知るには、サーキットテスターを用いる。使い方は簡単なので是非活用したい。
スポーツスターのバッテリーは密封式・補水不要のメンテナンスフリータイプなので、電圧を測定することでコンディションを判断する。スペック上では直流12Vとなっているが、使用状況によって実際の電圧は上下するからだ。
一般的に、良好なコンディションのバッテリーは、100%充電状態で12.8~13Vを示す。サービスマニュアルには、エンジン端子時のバッテリー電圧が12.2Vの場合、充電状態は25%まで低下していると書かれており、セルの回り方やライトの明るさに問題がなくても補充電するように指示がある。
一方、エンジンが掛かってオルタネーターから充電されている時には、端子電圧は14V台まで上がるはずだ。測定値が15V以上を示すような場合は、レギュレーターの不具合が考えられる。
また、バッテリーにつながるプラスとマイナスのケーブルが劣化することで電気の流れが悪くなることもあるので、バッテリーを外したらケーブルの状態をチェックしておくことも大切だ。
車体左側に露出しているバッテリーの本体色は黒色で、電解液のレベル確認はできない。端子部分を保護するスチール製カバーは、バッテリー本体の固定バンドを外すと取れる。
エンジンを止めた状態で端子電圧を測定する。サービスマニュアルによれば、12.5Vでは充電状態が50%で補充電が必要とあるが、これは3週間ほど乗らなかったため。
エンジンを掛けて端子電圧を測ると14.21Vだった。12Vのバッテリーに12Vを加えても釣り合って充電できないから、レギュレーターでちょっと高めの電圧に調整しているのだ。
イグニッションスイッチを切っているのに電流が流れていると、バッテリーが放電してしまう。マイナス端子からケーブルを外して、直流電流測定レンジでテストリードを当てる。
サービスマニュアルによれば、3mA以上の電流が測定されたら、レギュレーターや後付けアクセサリーなどが常時通電状態になっていると判断し、それぞれを外して再度測定する。
プラス、マイナスのケーブルを外してバッテリーを取り外す。端子周辺に白い析出物が固まっていないか、本体にクラックがないかを確認する。ちなみに排気チューブは存在しない。
プラスケーブルはセルスターターに、マイナスケーブルはフレームに取り付けられている。太い分だけ柔軟性がないので、端子部分の折損や割れなどがないことを確認する。
カバーで保護されるとはいえ、プラス端子の真上にフレームが通っているのは気分的にあまりよくない。そのカバーもスチール製で、端子に触れれば短絡してしまう。
そこで、他機種に用いられていたゴム製の端子カバーをスポーツスターの端子に合うように加工して装着する。この部品は、そもそもはドゥカティ用の端子カバーだ。
バッテリーメンテ時はマイナス側を先に外すのが鉄則だが、これなら工具が不意に触れても、フレームとの間で火花が飛び散ることはない。安心感アップは一目瞭然だ。