2015年、2016年と、ハーレーダビッドソン主催のカスタムコンテスト「THE BATTLE OF THE KINGS」(ザ・バトル・オブ・ザ・キングス)ヨーロッパステージにおいて連続入賞を果たした「Warr’s Harley-Davidson」(イギリス・ロンドン)のカスタムビルダー Charlie Stockwell(チャーリー・ストックウェル)が手がけたカスタムスポーツスター紹介第2弾。第1弾と合わせてお楽しみいただきたい。
「THE BATTLE OF THE KINGS 2016」を制したこちらのダークカフェレーサー、約75万円のカスタム予算という制約のなかから生み出された一台だ。実質、パーツ代にかけられたのはその半分程度で、しかも「50%以上は純正パーツを使うべし」という条件まであった。
正直、本当にそんな制約に縛られているのかと目を疑いたくなるカスタムマシンである。「カフェレーサー」というテーマのさらに奥深くには、1970年代を代表する名車XLCRの存在があったという。確かに、真っ黒なボディにゴールドのホイールという組み合わせはXLCRのそれに酷似する。
ヘッドライトのないリアルレーサーかと思いきや、ロケットカウルのクリア部分からちょこっと覗く小さなヘッドライトが。ブラックを主張しつつストリートバイクとして仕上げた、茶目っ気あるアイアンだ。
80パーセント近くをブラックで占めるボディカラーながら、ポリッシュ仕様のエンジン & エアクリーナー、そしてゴールドをアクセントに入れることでコントラストを描いている。ローランドサンズから出ているシートカウルにバンス&ハインズのメガホンマフラーと、カフェレーサーとしてのマナーもしっかり抑えた理想的な一台と言えよう。
複雑なカスタムは一切なし、ほぼボルトオンパーツでコーディネートされたシンプルなトラッカースポーツがこちら。
フロント19 / リア18インチのEXCEL製リム&スポークホイールとブロックタイヤを組み合わせ、前後のショックを長いタイプにしつつ、幅広のトラッカーハンドルやフォークブーツ、バンス&ハインズ製2in1メガホンマフラーでトラッカースタイルを確立。
さらにショート化されたリアフェンダーとピーナッツタンクでボディラインをシンプルにし、真っ黒なボディにシルバーのパーツを多用することでカラーバランスを整えている。往年のチェッカースポーツのロゴが心憎い。
パーツのラインナップを見れば誰にでもできそうに思えるが、それもすべて「最初のイメージありき」で始めないと、バランスを崩してごちゃごちゃしたカスタムバイクになることもままある。コンセプトに即してまとめていくことの重要性を教えてくれる良きお手本と言える。
倒立フロントフォークとメーターマウントで、かろうじてロードスターがベースモデルだと気づけるほどのカスタムマシン。そう、同モデルのアイデンティティとも言えるフロント19 / リア18インチのオリジナルホイールをスポーク化し、さらにスクランブラースタイルを彷彿させるブロックタイヤを履かせているのだから、気づけというのが無理というもの。
チャーリーお好みのブラック x ゴールドでコーディネートされたこのレーサー、こちらもフロントのゼッケン下にスクエアヘッドライトが仕込まれているストリート仕様なのだ。前後のシルエットを見ると、ロードバイクながらヤマハ TWを思い起こさせる重量感あるタイヤの存在感が際立つ。
ワンオフのエキパイと組み合わされたバンス&ハインズのエキゾーストが、このマシンに禍々しいオーラを与えている。他のスポーツスターモデルよりもパワーアップしたエンジンを持つロードスターであることを考えると、その走りも相当凶暴なのだろう。
ショート化したリアエンドに合わせてボディラインを流麗にまとめている手腕もお見事。エンジンまでブラックアウトしているからか、どこまでも黒く染められていきそうな闇を感じさせるマシンだ。
ここまで「レーサースタイルのストリートバイク」をお見せしてきたが、今度は公道走行不可、ホンモノのスポーツスターレーサーである。モータースポーツの世界にその名を馳せる「ロスマンズ」のグラフィックからも、生半可な想いで手がけられていないことが伺えようというもの。
こちらもベースモデルはロードスターで、ゴールドに塗装されたホイールが何よりの証拠。カスタムコンテストに入賞した黒いカフェレーサーと同じロケットカウルを備えるも、カラーリングとゼッケンでまるで違うバイクであるかのように見せる。駆動はベルトドライブながら、前後にオーリンズ製サスペンションとPM製ブレーキングシステムを配し、バンス&ハインズのフルエキとスクリーミンイーグルのヘビーブリーザーを付与してエンジンを大幅にパフォーマンスアップさせている。
ブロックレンガ前よりもサーキットが似合うこのマシン、「走っている姿を見たい」と思わせるナンバーワンスポーツスターだ。
間違いなく、フォーティーエイトである。そのキャラクターをクドいほどに強調しているカスタムマシンだと言えよう。やはり目に飛び込んでくるのは、リアタイヤに刻まれた「Firestone」の白いロゴだ。元々ファットタイヤを備えるモデルだが、さらに極太なFirestone製タイヤを与えることで個性を強めた。
そのタイヤだけに目を奪われていると、他のディテールを見落としてしまう。ギリギリの部分で切り落としているリアフェンダーやサドルシートもユニークだが、実はピーナッツではなく通常のスポーツスタータンクをマウントしている、ちょっと変り種のマシンでもあるのだ。加えてドラッグバーで戦闘的なポジションに仕上げているところも面白い。フォーティーエイトカスタム、ここまでやれば「天晴れ!」である。
やはりピーナッツタンクでは容量が足りないのか、スポーツスタータンク(容量12L)をマウントするフォーティーエイトが多いこのリスト。ここでも例に漏れず、カフェシートカウルとスポーツスタータンクが組み合わされる。
ホイールやタイヤ、ステップ位置はそのままなので、先ほどのマシンと比べるとややキャラが薄い……ように思えるが、実はタンク左側にパイプ加工を施すなど、思わずニヤリとさせられるカスタムが施されている。この先のカスタムメニューが楽しみになる一台だ。
シングルディスクブレーキの緩いフォーティーエイトだと侮るなかれ、実は何気にディスクがハイパフォーマンス仕様になっている走り系スポーツスターなのだ。エキゾーストもワンオフのストレートパイプで、パフォーマンスとサウンドの両方が気になるところ。
ステップ位置はミッドコントロールに、ハンドルもセパレート仕様と、しっかり踏ん張ってコーナーを攻めようという意思がポジションから匂い立つ。スポーツスタータンクもそのままマウントせず、Vツインエンジンのシルエットに合わせて加工を施すこだわりを見せつける。間違いなく、そこいらのスポーツスターよりもストリートを攻める一台へと高められている。