NOCSアニバーサリーイヤーの今回は「メカマニギャラリー」と同時開催!
今年も過去最高の観客動員を更新!!
2025年8月31日に兵庫県神戸市にある神戸国際展示場にて毎年恒例の「第20回ニューオーダーチョッパーショー2025」が神戸国際展示場で開催されたのだがアニバーサリー・イヤーとなった今年は例年以上の盛り上がりを見せることとなった。
ちなみに今年は国際展示場3号館のみならず、向かいの1号館も確保し、アニメマニア、コスプレマニアに人気イベントの『メカマニギャラリー』と同時開催。チョッパーマニアのバイカーとアニメや特撮、オリジナルのコスプレを楽しむマニアが一堂に会するカオスな状況となったのだが、それゆえに会場も大盛況で聞けば入場者数は史上最高を記録した昨年を大きく上回り、5000人オーバーになったとのこと。そうした中、いつもの3号館はチョッパー中心、1号館はチョパーショーと「メカマニ」が半々というショーレイアウトになったのだが、訪れた人々もこれはこれで楽しかったのではないだろうか。
2006年に第一回が同じ神戸のポートターミナルで開催され、2回目以降は今でも恒例の神戸国際展示場、第10回目は大阪のインテックス大阪に会場を変え、その翌年から再び神戸へと歩みを進めてきた同ショーだが「コロナ禍」の2021~2022年も休まずに開催。今回は文字どおり20周年という記念の年となったのだが、会場内はそれに相応しい熱気となった。
その主役たるショーのコンテストでは第一回目の開催から出展ビルダー同士の投票による「ビルダーズチョイス」によってアワードが決定するシステムがNOCSでは行われているのだが、当然、それは今年も健在。初回から行われていた審査ではビルダーがエントリー番号を投票するのみの投票方法であったのだが、2年前より同ショーではインターナショナル方式のジャッジペーパーを採用。オリジナリティやスタイル、板金技術やペイントなど細かく区分された点数方式となったのだが、それ以降、より公平明大なものになったのではないかと思う。その結果に関しては当サイトでも速報としてお伝えしたい。
しかし、ただそうした条件でありながら、恒例の3号館と新しい会場である1号館との間にショー会場の雰囲気に結構な違いがあったのも事実であり、2館同時開催を継続していくのであれば課題が残ったのも正直なところ。こうした部分はショーの本丸たる3号館で、より多くのインフォメーション放送を行うなり、3号館と1号館の間のデッドスペースでスワップミートなり、来場者の当日エントリーのストリートバイクのコンテストを開催するなどして、2館の導線をつなげる工夫が、より必要のような気がしたのも筆者が抱く勝手な意見である。
過去を振り返ってみてもアートショーの「BARBARIAN CIRCUS」開催やそこで行われるチャリティーオークション、毎年ステージのトリを飾る「ROPE ART SHOW」など、様々な来場者や出展者の要望に応えて、臨機応変にショープログラムを変更し、我々を楽しませてくれたNOCSだけに、そうした展開もぜひ期待したい。
今年のNOCSは20周年アニバーサリーらしく、多くのハイレベルなチョッパーが出展され、過去最高潮の盛り上がりとなったのもまた事実なので、ここからはアワードバイクを中心にショーの様子を紹介していくが、当日の熱気とこのショーの楽しさがここで少しでも伝われば幸いである。
今年で20周年となるニューオーダーチョッパーショーは恒例の神戸国際展示場3号館に加えて、今年は1号館も確保して開催。アニメ&コスプレイベントの「メカマニ」と同時開催である。今年は過去最高の入場者数で約5000人オーバーとなったという。
ではここからビルダーズチョイスによるアワードの結果をご覧いただこう。まず、今年のチャンピオンとなった大阪のリボルトカスタムサイクルズのショベル・チョッパーから。全体のバランスや細かいディテールワークなど、まさに王者に相応しい一台である。ちなみにこの車両はベスト・オブ・チョッパー キングの他、バイブズマガジン・ピックも獲得。
美しく組み上げられたショベルモーターのロッカーカバーやカムカバーに薄らとエングレービングが施され、一段上のクオリティとなったこのマシン。プライマリーサイドのクラッチシェルカバーやPMキャリパーが装着されたリアのサポートにも同じような処理が施され、全体の統一感が図られている。米国ロードスターショーやイージーライダースショーでアワードを獲得したショップの実力はやはり伊達じゃない。
表彰式でのリボルト代表、井上正雄氏。このショーのスタジオ撮影の様子は来年、会場などで発売予定のニューオーダーチョッパーショー・アニバーサリーブック(仮)に掲載される予定とのこと。
昨年のチャンピオン、埼玉県入間市のインフィニティーモーターサイクルは今年、こちらのショベルでベストオブチョッパー2ndを獲得。得意のオールドテイストなフィニッシュだが、どちらかというとチョッパー的なフォルムを目指した新境地も垣間見える一台だ。
オールドレーサーを彷彿とさせるペイントワークやMonoselle Mesinger製のレーサーシートなど、もはや手法と個性を確立したといえるインフィニティー。プライマリー周りやオイルタンク、マフラーの造りなども、凝った意匠が施されている。
今、注目の若手ビルダーの一人といえるインフィニティーモーターサイクルの土野真澄氏。今年、年末のHCSではS&S社のヴィンテージツアーへの出展も決定。どんなマシンを披露するのか、じつに楽しみだ。
ベストオブチョッパー3rdは滋賀県のハマンズによるこちらのパンヘッド。インディアンチーフを彷彿とさせるリーチの深いリアフェンダーやペイントのクオリティの高さなど、見る者を引き込む魅力を持つカリフォルニアスタイルの、このマシンは当サイト、バージンハーレーピックとショースポンサーのパーツディストロビューター、スリーマイルズのピックを獲得。
美しくリビルドされたパンヘッドモーターにS&SキャブやCCE製バードディフレクター、アンダーソンタイプのペグなど定番のパーツと、二本出しのワンオフマフラーやリアフェンダーなどの個性溢れるパーツを組み合わせ、見事にまとめ上げられたこの一台。アワードを獲得するに相応しいクオリティが与えられている。
ベストチョパー3rdの他、バージンハーレーとスリーマイルズからピックを獲得。ビルダーの松本真二氏は地元のショーといえるニューオーターはもちろん、YOKOHAMA HCSでも賞の常連といえる日本のトップビルダーの一人である。
ホットバイクジャパンピックは愛媛のグリーンモーターサイクル製作のナックルが獲得。タンクやフェンダーなどの外装パーツの造形で唯一無二の個性を演出する秀作だ。
スーパーストックアワードは地元のとりあえず大阪チョッパーズのTCが受賞。117キュービックインチのエンジンとプロチャージャー、NOSまで備えた仕様は凄まじい。ドラッグストリップでいかなる走りを見せるのか、とりあえず楽しみだ。
チョッパーの華、といっても過言ではないザ・ロングフォークピックに選ばれたのはカスタムショップボロックスによるパンチョッパー。フレームのモールディングやペイントワーク、バランスなど確かに秀逸な一台だ。
バイクガレージKOKORO製作のパンチョッパーはヤンシーマガジンピックを受賞。ビルダーの内田朝好氏曰く「奇をてらわないオーソドックスなオールドスクール」製作に留意したそうだが、ペイントワークに個性を求める姿勢が垣間見える。
バイクガレージKOKOROはこちらの一台でもベストペイントピックを獲得。美しいペイントワークはもちろん、トップがスケルトンとなったスプリットロッカーのエンジンや各部ディテールワークも素晴らしい。HCSへの出展がない新作だったら、このマシンがベストだったかもしれないと思わせるクオリティである。
チョッパージャーナルピックは関西圏のみならず、今や世界的に人気を誇るラックモーターサイクルのナックルチョッパー。タンク側面に施された立体的なメタルワークをはじめ、まさにワールドクラスのクオリティを誇る一台である。
車両のアイキャッチとなるタンクはもちろん、フレームやエンジン、フェンダーマウントなどあらゆる箇所に装飾が施されているにも関わらず、それが決して嫌味ではなく上品にまとめ上げられているこの一台。チョッパーという芸術性の高い乗り物の真髄が垣間見える。
ウィズハーレーピックはMADスピードによるこちらのマシン。人気のバガーレーサー的なスタイルをカーボン外装で見事にまとめ上げてる。装着されたターボからもパフォーマンスの高さが期待できる一台だ。ちなみにここ数年はベスト3以外のアワードはニューオーダーチョッパーガールがこのように各ブースへ赴き、クレート(盾)を手渡すというスタイルになっている。
クラブハーレーピックは京都のホットスパイスによるパンチョッパーが受賞。旧車をベースとしながらも走りを感じささせるフリスコスタイルに仕上げられた、かなり好感の持てる一台だ。
主催者が選ぶNOCSピックの1台は2006年に、コアマシン清水氏と共に発起人としてこのショーの主催に名を連ねたシウンクラフトワークスのこちらの車両が受賞。現在、運営側から退いた同店に対して、主催者側の感謝を込めた粋な計らいが垣間見える。
今夏は米国、ボンネビルのスピードトライアルに挑戦し、多忙を極めたシウン代表の松村氏。「今年は新作を展示することができなかったから、できるだけ多くの過去作品を展示しました」と語るが、この台数も少しでもショーを盛り上げんとする彼なりの粋な計らいだろう。事実、訪れた観客の多くを楽しませた。
訪れる観客にとってショーバイクを眺めることと並ぶ楽しみの一つがベンダーエリアでのショッピング。今年は通路も程よい狭さで、それが賑わいに一役買っていたと思う。実際、この日は歩くのも大変な盛況ぶりである。
毎年恒例のアートショー、「BARBARIAN CIRCUS」では出店アーティストたちの作品が落札できる恒例のチャリティーオークションを開催。これはもはやNOCSに欠かせない風物詩である。
今年、開催となった1号館では3号館の喧騒より、やや落ち着いた雰囲気でショーが展開。神戸の重鎮であるモトコムの中山氏が撮影ブースよろしくショーガールを撮影する様子も毎年恒例の光景だ。
地元のエースモーターサイクルは、こちらのパンチョッパーとアイアンスポーツを出展。相変わらずクールなマシンを飾り気のないブースで展示する。
NOCSの会場らしいチョッパーを展示するのはレインボーモーターサイクル。大分、臼杵からの遠征もここ数年の恒例だろう。
地元、大阪のモーターサイクルフォースは2台のロングフォークチョッパーを出展。ハーマンフォークの一台も、テレスコの一台も典型的なレイト70sスタイルだが、現在の技術で創られたことが伝わる「ビッとした」空気感が漂う。
こちらの一台は九州のMC CATが製作。オールドスクールが盛り上がりを見せつつあるエリアのものらしい個性が散りばめられている。
今回は無冠だったが、このBARN FINDによるパン・チョッパーも何かしらのアワードを獲得してもおかしくないクオリティ。典型的なカリフォルニアスタイルのチョッパーは、やはりショー映えする存在だろう。
スプリングマウントのコブラシートやショットガンマフラーなど典型的な60sスタイルで仕上げられたBARN FINDのチョッパー。やはりこの手のマシンのベースはパンヘッドがよく似合う。
今年もショー会場に華を添えたニューオーダー・ガール。各ブースを回った撮影タイムやアワードの授与など大活躍です。
お馴染みの蓮妃Queenさんや濱崎千羽さんなどショーガールも各ブースを華やかに演出。これもやはりカスタムショーには欠かせない光景だろう。
スティルゴーフルスロットル製作のナックルチョッパーはグレートビンテージピックを受賞。アップスィープマフラーのインパクトも強烈だ。
こちらはDEEP DIGモーターサイクルによるサイドバルブチョッパー。こうした美しい車両を展示することはショップのスキル、力量を示すプロモーションとして有効だ。
毎回、大掛かりなブースで会場を賑わすRTBモーターサイクルは今年、ホットストリートピックを受賞。これまでのクラブスタイルとはまた違うチョッパーを多数、展示し、訪れた人を楽しませた。
東京からエントリーのウラウズモーターサイクルも主催者が選ぶNOCSピックを獲得。今年、新たな会場となった1号館でなく、メインの3号館に展示されていたら、ともすればビルダーズチョイスで上位だったかもしれないクオリティに仕上げられているのが、正直言って惜しまれる。
アイアンスポーツをベースにし、マフラーの取り回しや電装ボックスをはじめとするディテールワークなど、かなりハイレベルに仕上げられたウラウズの1台。ビルダーの鈴木氏は「エントリーが遅かったので」と納得した様子だったが、公平な審査のためにも、高年式とビンテージ、チョッパーやバガーをカテゴライズ分けしたショーレイアウトにすることが必要かと思われる。
昨年のビルダーズチョイスで3位となった山梨のカルガ商店は、こちらのKモデルを出展。こちらもディテールが丁寧に作り込まれた秀作である。
徳島県吉野川市からエントリーしたマッドラウトモーターサイクルもNOCSピックを獲得。こちらの一台もオールドスクールの手法の中にハイテックなディテールが散りばめられた力作だ。
チョッパーショー、と銘打っているものの様々なタイプの車両がエントリーを果たすのもNOCSの特徴。四分割写真左側の2台はJsバガーの手によるもので、クレイジーバガーピックとパフォーマンストライクピックを受賞。右側はモトリークルーによるマシンでプライマリーマガジンのピックを受賞した。
山梨のペイントショップ、ノマドコンセプトもバガーや高年式ハーレーのカスタムを中心に初出展。1号館の展示の中で大いに存在感を示した。ペイントのクオリティを示すプローモーションとして効果的だ。
九州のローカルサイクルはFXRをロングフォークに仕立てた車両を披露。丁寧なモールディングに素材を選ばないショップの姿勢がうかがえる。
京都のグレーシアはシンプルな中に技を感じるショベルチョッパーを出展。おそらくは高年式の純正ホイールを加工したと思われるリアホイールなどを使用する部分に優れたパーツの目利きが感じ取れる。車体のバランスも絶妙である。
四国のナッツカスタムサイクルズはオールドスクールテイストのパンヘッドチョッパーを披露。このように今までと違う作風を提示し、新たなプロモーションにつなげることもカスタムショーの有効な活用方法だろう。
ニューオーダー常連のノイズは得意とするハイテックな手法で仕上げられたM8を出展。NOCSというショーに於いて、逆にこうした高年式車は、かなりレアだ。
名古屋のブラックパレードは得意のFXRカスタムを展示、あくまでもストリートバイクであるこの手のマシンを見事にショークオリティにまで高めている姿勢はさすがだ。
高年式系ツアラーカスタムを得意とするIBIZAはこちらの車両を披露。あくまでも質実剛健なパフォーマンスバガーで勝負をかける。
4速スイングアームフレームのチョッパーを提案するグルーヴワークスは今回もショップの色を全面に打ち出したショベルカスタムを披露。展示車両はあえてリアサスのリンク部分を露出し、ショップの技術をアピールする。
徳島のグッドスピードは久々にニューオーダーへ出展。関西エリアのみならず、四国のビルダーにとっても最も近いカスタムショーがNOCSなのだが、来年の出展もぜひ期待したい。
酒井ボーリングとシウン、そしてホットチョップは70年代テイストのドラッグレーサーを展示。ドラッグストリップでの走りを連想させるディスプレイも巧い。
名古屋のプライドロックは典型的なフリスコスタイルのチョッパーを披露。シートのフリンジなどにチョッパーの歴史を知るセンスが見える。
この日のニューオーダーはコスプレ系のメカマニアイベント、“メカマニギャラリー”と同時開催。会場となった1号館はチョッパーマニアやバイカーとコスプレ女子が一堂に会する、なかなかカオスな状況となったのだが、これはこれで新しくも面白い試みだ。
最後はいよいよ恒例のロープアートショーと思いきや、今年はその前に「おいおい教、教祖」なる芸人が登場。ロープアートを期待した観客の前での出オチ感はハンパなかったのが正直なところ。もちろん、シメはロープアートショーです。
2006年の第一回以来、神戸のニューオーダーチョッパーショーを牽引してきたコアマシン、清水重貴氏。今年は過去最高の入場者数だったとのことだが、この先の10年、20年とこのNOCSが続くように、これからも尽力していくとも語る。20周年、おめでとうございます。この先もニューオーダーチョッパーショーが、業界に新たな波を起こし続けていくことを期待します。