VIRGIN HARLEY |  8時間目 駆動系でチカラの伝達を学ぶ。ブタでもわかるハーレーエンスー入門講座

8時間目 駆動系でチカラの伝達を学ぶ。

  • 掲載日/ 2015年11月13日【ブタでもわかるハーレーエンスー入門講座】

この度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

新型コロナウイルスの感染を抑えるためには可能な限り外出を控え、人との接触を避けることが最重要だと言われています。私たちハーレー乗りも、愛して止まないハーレーにこれからも乗り続けるため、不要不急の外出を自粛し、自宅待機することが望ましいと考えられます。

そこでバージンハーレー.comでは「新型コロナに負けるな!」というコンセプトにより、パソコンやスマホを使い自宅で楽しめる過去アーカイブ記事を紹介させていただきたいと思います。まずは大人気コンテンツの「ブタでもわかるハーレーエンスー入門講座」をここでご紹介。じっくり読んで、ハーレーダビッドソンのウンチクを身につけて、来たる新型コロナウイルス危機克服の日に備えていただければと思います。

ガソリンが爆発してピストンを押し下げ、クランクが回る。それはいいとしても、その回転はどーやってリアタイヤまで伝わるの? 今回はちょっと複雑なお話しなのであるゾ。

俺でも解ると大好評の「ブタでもわかるハーレーエンスー入門講座」、その第8時間目のお題は駆動系についてである。まずは駆動系とは何か? 駆動という言葉を辞書でひもとくと「動力を伝えて動かすこと」とある。その言葉のとおり、エンジンの回転を後輸に伝えるメカ経路のことを駆動系と呼ぶのじゃ。ちなみにこの駆動系のことを英語では「ドライブ・ライン」と言う。

この駆動系は2系統に別れており、エンジンの回転をクラッチを介してミッションに伝える部分を一次駆動(英語ではプライマリー・ドライブ)、ミッションの回転を後輸に伝えるのを二次駆動(これまた英語ではセカンダリーあるいはファイナル・ドライブ)と呼ぶ。今回は少々複雑じゃが、この駆動系の解説をしてみることとしよう。

ハーレーダビッドソンのビッグツインはエンジンとミッションがそれぞれ独立した別体式となっており、それをチェーンで連結する方式を採用している。これに対して現在のほとんどのオートバイはクランクケースの中にミッションも収まる一体式で、クランクとクラッチが直接ギヤでつながっているためハーレーで言うところの一次駆動という呼び方は存在していない。ちなみにスポーツスターはケースは一体じゃが、その中でクランク部とミッション部が独立した「半別体」とも言うべき方式となっておる。

この一次駆動/二次駆動の流れの図解をじっくりと見れば、エンジンの回転がリアホイールに伝わる大まかな流れは理解できることじゃろう。一次駆動はエンジン左サイドのプライマリーケースの中にあり、エンジンスプロケットとクラッチハウジンク、そしてそれをつなぐプライマリーチェーンがカバーによって覆われておる。このプライマリーチェーンは、ビッグツインでは通常のチェーンを2本並べて1本にしたようなダブルチェーン、スポーツスターはトリプルチェーンを使用。ちなみに1980年に発売されたFXBスタージスというモデルはベルトトドライブを採用しておったのじゃ。しかしこのプライマリーベルトは切れることが多いと不評を買い、H-D社が純正でプライマリードライブにベルトを採用したのは後にも先にもこのFXBだけじゃった。ま、社外メーカーではプリモなどのメーカーがさまざまなベルトドライブのキットを発売しており、こちらの方は高い信頼性を得ているようじゃがな。

ミッションの回転を後輸に伝える二次駆動は、ビッグツインでは車体左サイド、スポーツスターでは右サイドに配置されておる。こちらの方もプライマリーと同様、スタージスで初めてベルトドライブが採用された以外はチェーンじゃったが、現在ではすべてのモデルが、ベルト化された。チェーンに対するベルトのメリットというのは、何よりメンテナンスの必要性が少ないこと。油を差す必要はないし、伸びも少なく耐久性もチェーンに勝る。またノイズが少なく、若干の伸縮性があるためダンピング効果 (クッション効果)を持つとも言われておるようじゃ。

クラッチとミッションの仕組みも図解してみた。実際よりかなり簡素化して分かりやすく描いたものの、本来は非常に複雑な構造となっているため、ブタでは理解することが困難やもしれんが、ま、とりあえず動きのアウトラインだけでも分かればよしとしておこう。

クラッチハウジンクはクラッチシェルとクラッチハブ、スチールプレートとフリクションプレートからなる。クラッチシェルはクランクスプロケットとチェーンでつながり、ハブはミッションのメインシャフトに固定され、スチールプレートはシェルと、フリクションプレートはハブと一緒に回る。スチールプレートとフリクションプレートは交互に5枚から8枚づつセッ卜され(エンジンの年式によって枚数は異なる)、クラッチを切っている時にはそれぞれがバラバラに離れていて、クラッチを切るとスプリングで押し付けられてぴったりと密着する仕組み。つまりエンジンがかかってクラッチを切っている状態ではシェルとスチールプレートは回転しているが、フリクションプレートとハブは制止しており、クラッチをつなぐことによってスチールプレートとフリクションプレートがくっつくためにハブがシェルとともに回るというわけじゃ。なに、分からん? そういう場合はバラしたクラッチを実際に見てみるしか方法はなかろう。

ミッションは、大小さまざまなギヤの組み合わせを変えることによって、エンジン回転とリアホイールの回転の比率を変化させておるのじゃが、その複雑さはクラッチの比ではない。それゆえ詳しい仕組みは「入門編」である当講座で説明することは避けた方が賢明じゃろう。

というわけで駆動系の解説はこれにで終了。今回の講座でエンジンの回転がリアホイールに伝わるまでを克明に理解できた、などというハーレーエンスー入門者はなかなかおらんじゃろうが、動きの流れが大まかに分かればそれで良しとしておこうかの。それにしても入門講座というには少しばかりムズカシすぎたかもしれんな。ではまた、ホグホグ。

 

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