VIRGIN HARLEY |  【ハーレーダビッドソン FLTRXSE CVOロードグライド 海外試乗記】過去最大Vツイン搭載、すべてを一新した最上級プレミアムツアラー試乗インプレ

【ハーレーダビッドソン FLTRXSE CVOロードグライド 海外試乗記】過去最大Vツイン搭載、すべてを一新した最上級プレミアムツアラー

  • 掲載日/ 2023年07月25日【試乗インプレ】
  • 取材協力・写真/HARLEY-DAVIDSON 取材・文/佐川 健太郎 衣装協力/KUSHITANI
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HARLEY-DAVIDSON FLTRXSE CVO ROAD GLIDE(2023)

ハーレー自らがカスタムした最高峰モデル

誕生120周年記念イベントで盛り上がるハーレーダビッドソンの本拠地、米国・ミルウォーキーで新型CVOシリーズに試乗する機会を得た。まず今回は「CVOロードグライド」からレポートしたい。

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最初に説明しておくとCVOとは「カスタム・ビークル・オペレーション」の略。熟練の職人によって一台一台手組みされた限定モデルで、特別のデザインと装備とハイクオリティな塗装が施された、まさにハーレー自らがカスタタマイズした最高峰モデルなのだ。

FLTRXSE CVO ロードグライドの特徴

可変バルブに倒立フォーク、ハイテク装備を満載

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新型はすべてが進化した。まずデはザイン。LEDヘッドライトと空力性能を高めた新型フェアリング、22.7L燃料タンクやボディ一体化のサイドバッグ、フロント 19 インチ/リア 18 インチの新型ホイールを装備するなどデザインを一新。より現代的でスマートなシルエットへと大きく変貌を遂げた。

次にパフォーマンス。特に要となるのがハーレー過去最大排気量 1977cc を誇る新たな空冷 V ツイン、「ミルウォーキーエイトVVT 121」エンジンだ。可変バルブタイミング(VVT)に加え、新設計の吸排気系および一部水冷化されたシリンダーヘッド冷却システムによって歴代最強のハイパフォーマンスを実現。最高出力115ps/4500rpm、最大トルク189Nm/3000rpmは従来型と比べてパワーで9.5%、トルクで約8%アップしただけでなくVVT 効果によって燃費も約 3~5%向上しているという。サスペンションも新型のSHOWA製となり快適性を飛躍的に向上。フロントフォークは倒立タイプとなり、リアサスペンションのトラベル量は従来型から50%増しとするなど剛性と路面追従性をアップ。ブレーキもフロントにブレンボ製ダブルディスク&ラジアルマウントキャリパーを採用し、動力性能に見合った制動力とフィーリングが与えられた。

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そしてテクノロジー。電子制御の進化も目を見張る。3種類のライドモード(ロード、スポーツ、レイン、および 2つのカスタムモード)と最新の安全強化パッケージにより、あらゆる走行シチュエーションでの安全性を担保。また、Skyline™ OS を搭載した全く新しいインフォテインメントを導入し、スマホとWi-Fi 接続によってナビ機能や前後4個のスピーカーを持つオーディオシステムによる迫力のプレミアムサウンドを楽しめる。これらのデバイスは手元のスイッチやタッチスクリーン式の12.3 インチ TFT ディスプレイを通じて操作可能だ。なお、シート下にはヒートギア用のUSBポートを設置、ヒートグリップも標準装備されるなど至れり尽くせりの仕様となっている。

FLTRXSE CVO ロードグライドの試乗インプレッション

CVOならではの極上のグライド感、そしてスポーティ

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とにかくゴージャスだ。キング・オブ・モーターサイクルと呼ばれるハーレーの中にあって、ひときわ輝く豪華さと風格を漂わせる。CVOロードグライドはまさにハーレーの王様と言っていいだろう。

エンジンはスーパースムーズ。鼓動の迫力はハンパないが回転は極めて滑らかなのだ。ハーレーのモデル名によく登場する「グライド」とは滑空するという意味だが、まさにその感覚。2000ccに迫る新型エンジンは元々の分厚い中速トルクがVVTによってさらにワイドバンドに広がり高速道路を6速1500rpmでも流せるほど。ズ・ドッ・ドッ・ドッと間隔の長いビートと低振動のエンジンからなみなみと溢れるトルク。威風堂々たるフォルムと重厚な乗り味、風を押しのける巨大なカウルと路面を舐めるような快適なサスペンションによって、まるで大空を滑空しているかのようなグライド感が生まれるのだと思う。この独特のライディングフィールは正しくハーレーダビッドソンでしか味わえない特別感だ。

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400kg近い車体は取り回してみるとたしかに重いが、それでも従来型からは35ポンド(約16kg)軽くなった。実際に従来型のCVOロードクライドと比べてみた印象としては、重心がより低くなった感じでバイクを支えやすく、信号停止でもグラッとくる感じがだいぶ緩和された気がする。一旦走り出してしまえば重さはフッと消えてどっしりとした安定感へと変わる。ハンドリングはニュートラルで市街地の交差点も普通に曲がるし、極低速でも安定しているのでやや大回りにはなるがUターンも普通にこなせた。

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試乗会ではワインディングも走ったが、これがまた爽快で想像していた以上にスポーティ。曲がりたい方向へ尻でシートに荷重したり、ヒザで押してちょっとしたキッカケを与えてやるだけで右から左へと巨体を翻しつつ、オン・ザ・レール感覚で狙ったラインを正確にトレースすることができた。ちなみにシート形状も見直されて以前より座面がフラットでスポンジもしっかりしたスポーティな乗り心地に。また、ブレンボ製ブレーキも強力でヘビー級の巨体を余裕で減速させてくれる。ただし下り坂はさすがに十分余裕を持って、ブレーキレバーの位置もちゃんと調整しておきたい。

サスペンションのフィーリングもだいぶ変わった。SHOWA製の倒立フォークは剛性が高く乗り心地重視でありながら、しっかりダンパーも効いたタイプ。コーナリングでもしっかり踏ん張ってくれるしバンク角にも余裕がある。全体的な味付けとしては、コンフォートを犠牲にすることなく軸足をだいぶスポーティに寄せた感じだろうか。

ただ走っているだけで最高に幸せになれる

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通称“シャークノーズ”と呼ばれるロードグライド独特の形状をした大型カウルは4輪のアメ車のような迫力で威圧感があるが、実際には車体マウントタイプなので見た目よりハンドリングは軽快。新型カウルは風の流れをコントロールするための手動式ベーンが付いたこともあり、ヘルメットに当たる風は6割も低減されているのだとか。大きなスクリーンを持たないバガータイプなので視界も良く高速クルーズを含めて快適だった。一点だけ気になったのは、ハンドル位置が従来モデルより高くワイドになったこと。ロングライドに最適化したとのことだが、体格によってはライポジを調整したい人がいるかもしれない。この辺りは自分好みにカスタムする手もありそうだ。

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どこまでも続くローカルなハイウェイをひた走っていく。ただ走っているだけで最高に幸福な気分になれるのはハーレーの特権だ。その象徴でもあるCVOが放つオーラを全身で感じていたいから自分はオーディオをあまり聴かない。でも、気分を変えたければスイッチひとつで地元ラジオ局から流れてくるカントリーミュージックに触れ、スマホからお気に入りの曲を聴くこともできる。ちなみに車体前後にライダーを取り巻くように配置された強力なスピーカーは高速道路でもクリアなサウンドを耳に届けてくれた。

CVOは実にメロウでスウィートな大人のモーターサイクルである。自分を含む一般人からすればかなり高価なバイクだが、そこには他が追従できない価値がある。だからこそ、人生の酸いも甘いも知る本当のオトナに乗って欲しいと思うのだ。

FLTRXSE CVO ロードグライドの詳細写真

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ハーレー過去最大排気量 1977cc を誇る完全新設計の空冷V型2気筒OHV4バルブ「ミルウォーキーエイトVVT 121」エンジン。可変バルブタイミング(VVT)に加えシリンダーヘッドに水冷システムを採用し歴代最強のハイパフォーマンスを実現した。

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グライドフェアリングは伝統の“シャークノーズ”を生かしつつ大幅に洗練された。ヘッドライトは従来の2灯タイプを改め水平基調のシングルLEDタイプへと進化。これを取り囲むようにLEDウインカーと一体化したWシェイプDRLを配置するなどデザインも革新的。

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デザインを一新したティアドロップ型フューエルタンク。容量22.7リットルを稼ぎながらスリムな見た目を実現。ちなみにこちらのオプションカラー(ウィスキーニート×レイブンメタリック)は手作業で施され価格も約70万円アップの設定。

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シートは形状やパッド素材も改良されてロングツーリングでの快適性をアップ。人間工学に基づきライダーの腰や背中に負担がかからず疲労を低減する形状になっている。シート高は720mmで足着きも抜群だ。シート下にはヒートギア用の接続口を2 箇所設置。

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標準装備のサドルバッグはフェアリングやタンク、サイドカバーと一体化したデザインが特徴。よりコンパクトに見えて容量はわずかに拡大した。レバーで簡単に開閉できるフラップ部分には150wスピーカー内臓のロックフォード製高性能オーディオをビルトイン。

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キャスト&スポークを組み合わせたホイールにダンロップ製タイヤ(フロント:130/60-19 R:180/55/18)を装着。ブレーキはブレンボ製でフロントはφ320mmディスク&ラジアルモノブロック4Pキャリバーをダブル装着。サスペンションはSHOWA製でフロントフォークはφ47 mm倒立タイプ。

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リアサスペンションはトラベル量を50%アップ(76mm)したSHOWA製ツインショックを採用。車体左側にはリモート油圧プリロード調整を装備する。サドルバッグを取り外すことで左右の伸び側ダンパーもダイアル調整できる。

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ダッシュボードの左右にはUSB電源付きのフラップ付きグローブボックスをそれぞれ装備。スマホや小物を入れておくのに便利だ。

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タッチスクリーン対応12.3 インチ TFT ディスプレイ左右に高性能スピーカーを内蔵したラグジュアリーカーのようなコックピット。長距離走行での快適性を高めるためハンドルバーは従来モデルより高く幅広でフラットな形状に。メーター上には風を取り込むベーンが見える。

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走行中でも視認性抜群の巨大なTFTディスプレイは3 種類の表示レイアウトがカスタマイズ可能。Apple やAndroidデバイスとのWi-Fi 接続の他、ワイヤレスヘッドセット用 Bluetooth レシーバーも内蔵。USB-C接続でプレミアムなオーディオも楽しめる。※写真はストリートグライド用。

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左手側にはメニューボタンとインフォテインメント&ナビゲーション用のコントローラー、クルコンなどのスイッチを配置。最初は戸惑うが慣れれば直感的に操作できる。グリップ末端部にはヒートグリップ用(3段階)のスイッチもある。

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右手側にはメイン&イグニッション、ハザード、ライドモード切り替え、オーディオコントロール用などのスイッチを配置。アルミ削り出しの高品質なハンドルグリップのデザイン性にも注目したい。

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ハーレーダビッドソンの心臓部であるエンジン開発を行うパワートレイン・オペレーション(PTO)施設を視察。多くは見せられないが、ビッグツインやミルウォーキーエイト、スポーツスター用のパワートレイン(エンジンとトランスミッション)を開発製造している。

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7月13日から16 日の4日間、ハーレーダビッドソンの生まれ故郷である米国・ウィスコンシン州ミルウォーキーで誕生120周年記念イベント「ホームカミング・フェスティバル」が開催。全米のみならず世界中から数万人のハーレーファンが集結。街中がハーレーで溢れかえっていた。

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メイン会場のハーレーダビッドソンミュージアム敷地内では新型CVO に、その他120周年記念モデルやカスタム&ビンテージモデルの展示、スタントショーやデモライド、キッチンカーなどが出店。オフィシャルグッズ販売や工場ツアーなど、とても1日では回り切れないほどアクティビティ満載で賑わった。

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メイン会場からもほど近いミシガン湖畔の特設ステージでは大規模なコンサートも開催。米国を代表するロックバンドの「グリーンデイ」や「フーファイターズ」のライブが行われ、会場は深夜まで熱気に包まれていた。

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