VIRGIN HARLEY |  最強の装備で固められたハーレーのマッスルスポーツ「FXDRS (FXDR114)」を試乗インプレッション試乗インプレ

最強の装備で固められたハーレーのマッスルスポーツ「FXDRS (FXDR114)」を試乗インプレッション

  • 掲載日/ 2020年08月28日【試乗インプレ】
  • 取材協力/HARLEY-DAVIDSON 取材・写真・文/小松 男
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HARLEY-DAVIDSON FXDRS (2020)
現在のハーレーダビッドソンラインアップは、どれを見てもかなり”攻めている”印象を受けるものばかりだが、FXDR114は、その中でも特に強烈な個性を放つモデルであり、新世代ソフテイルを代表する一台でもある。

ハーレーダビッドソンの今後を予感させる前衛的なスタイリングは
強力なパワーユニットと強靭なフレームワークがあってこそ実現する

新型ソフテイルフレームが採用されるようになり約3年が経った。それ以前に存在していたツインショックを備えスポーティラインを担っていたダイナファミリーはソフテイルに吸収統合され、今もなおニューモデル攻勢は続けらている。なんといっても現行モデルで使用されているミルウォーキーエイトエンジン、そしてソフテイルフレームの完成度が高く、どれに乗っても確かな手ごたえを感じさせるのだが、そのような中にあり際立って個性的なキャラクターを持たされたモデルがある。それは2019年モデルからラインナップに加わったFXDR114だ。

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シュッと後方に伸びたテールカウルはダートトラックレーサーのようでもあり、幅240サイズという極太のリアタイヤはドラッグマシンとも見える。そして低く、かつ長く構えたボディラインは見る者を圧倒する迫力あるものとなっている。今回はそんな個性的なスタイルを持つFXDR114に焦点を当てて、そのポテンシャルを探ってゆくことにする。

FXDRS FXDR114の特徴

一皮どころか二皮も三皮も剥けてきた
ハーレーダビッドソンの今を象徴する一台

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ハーレーダビッドソンというブランドは、バイク業界の中でも特殊な存在だと思う。北米大陸という地球上を見渡しても広大な地で生まれ育った大柄かつ強靭なスタイリング、おおらかでありながらもたくましく頼りがいのあるキャラクター、そして長年にわたり採用し続けているVツインエンジン。これらはどこの国でも受け入れられ、ライダーのあこがれとして君臨し続けている。一部ではアウトローなイメージを楽しみ、一方では紳士的にハーレーライフを送る人もおり、そのスタイルは様々なものがあるのだが、どちらにも言えることがある。それは保守的ではなく、つねに攻め続ける姿勢を大切にする人々に愛されているということだ。誕生から100年を超える歴史を持ちながらも、伝統を守り続けながら、革新的なモデルを投入し続けてきたハーレーダビッドソンのブランドイメージからなるものであり、それこそがタフガイに好まれるバイクとなっているのだと私は考える。

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ここ数年のことで言えば、電動モデルであるライブワイヤーが 日本での市販化へ向かっていること、中長期的にマーケットに導入していくと発表されているアドベンチャーモデルであるパンアメリカやストリートファイタースタイルのブロンクス、小排気量モデルの開発の発表などで業界を賑やかさせた。現実的なラインナップに目を向けると、リアにツインショックを備え、スポーティモデルとして受け入れられてきたダイナファミリーを撤廃し、その代わりに2018モデルからの新ソフテイルファミリーに一部車両を統合させるという話に衝撃を受けた人も多いと思う。新型フレームとミルウォーキーエイトエンジンを採用する新しいソフテイルは、スポーティにもラグジュアリーにも自在に味付けすることが可能になったというのが大きなポイントとなっている。

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実はハーレーは今期に入ってから、【ファミリー】という区分け方をしなくなっている。これまでのスポーツスターファミリーはストリートセグメントに集約、ソフテイルはクルーザーセグメントとなった。私はこれを、次期モデル投入時に何か革命的なことを行うための布石なのかもしれないと考えている。

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今回FXDR114を紹介するにあたり、なぜこのようなことを冒頭に書いたのかというと、このモデルはすでに、ソフテイルファミリーとしてもクルーザーセグメントにあっても、不釣り合いな突出したキャラクターが与えられていたからである。

FXDRS FXDR114の試乗インプレッション

スロットルワークに対しダイレクトな加速
これぞ地上最強のパワークルーザーなり

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2018年モデルとして登場したファットボブを始めて目の前にした時にも、かなりの衝撃をうけたものだが、FXDR114はその上をゆくインパクトを持っていた。まずフロントマスク、ブレイクアウト譲りの楕円ケースに九つのLEDを備えたヘッドライトとその上部にコンパクトなビキニカウルを装着しており、そこから流れるようなラインがテールまで続く。テールカウルは短くチョップされておりダートトラックレーサー的な雰囲気にも見えなくはないが、240サイズの極太タイヤを見れば、ドラッグマシン的なキャラクターだということが伝わるだろう。

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フロントフォークはレイク角が34度まで寝かせられており、その頂点にはセパレートハンドルバーが備わっている。そしてホイールベースは1735mmととても長く、心臓部となるエンジンには1868ccを誇るミルウォーキーエイト114エンジンを搭載。そう、FXDR114はたくましいパワークルーザーとして作られているのである。

FXDR114のエンジンを掛け走り出す。このモデルに触れる多くのライダーは、まずライディングポジションに戸惑うことだろう。それは遠く前方にセットされたハンドルバーと、フォワードコントロールステップ、そして深く座り込ませるシートの位置関係にある。「く」の字どころか「つ」の字を強いられるこのライディングポジションは、直線を走っている分にはさほど気になることはないが、コーナーリング時には腕に力が入ってしまい、それを払拭しようと上体を抑え込むのだが、すると下半身のサポートが甘くなる。

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一般的なライダーは、あまり気にしないで乗るのかもしれないが、年中バイクのテストを行っている身としては、若干でも攻めるような走りをしたり、意地悪な入力を試みるのは仕事だ。その結果として感じたのは、とても難しいノリモノであり、そこがライダーをやる気にさせてくれるというところだ。

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バイクの基本的な構成は悪くない、むしろ良い。ミルウォーキーエイト114エンジンは、スロットルを少しひねるだけでも、異次元の加速を感じさせるし、ブレーキの制動力も十分だ。フロントタイヤのステムシャフトが遠く前方に感じられる長いホイールベースと、ワイドなリアタイヤのため、コーナーリングの立ちが強く、轍にも取られやすいが、それも含めてこのモデルの味であり魅力と言えよう。

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エンジンは猛々しく、スロットルをラフにひねろうものなら、ライダーを振り落としにかかってくる。どのように扱っても破綻するようなことはないものの、デンジャラスな面があり、バイクの方が乗り手を選んでくるかのようだ。だからこそ崇高であり乗りこなす意味がある。私はそんなFXDR114を乗り回しているオーナーは尊敬されるべき存在だと思う。

FXDRS FXDR114の詳細写真

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排気量1868ccを誇るミルウォーキーエイト114エンジンを搭載する。極低回転域から太いトルクを発生させ、強烈な加速をもたらす。パワーフィルター型のエアクリーナーもスタイリングのアクセントとなっている。

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フロントタイヤは120/70ZR19サイズを履かせ、レーシングスタイルの倒立フォークにセットされる。レイク角は34度とサスペンションは寝かせられている。ブラックアウトされた専用ホイールで足まわりの印象を引き締める。

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九つのLEDで構成される楕円ヘッドライトと、その上部にメーターバイザーを兼ねるビキニカウルを装備する。バータイプのLEDターンシグナルと相まって、モダンハーレーとしてのスタイルをカタチにしている。

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2into1タイプのエキゾーストシステムを採用。ボディラインに合わせてデザインされており、まとまりを感じさせる。キャタライザーを内蔵し環境面での配慮がされながらも、強力なパワーを引き出すことにも寄与する。

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リアホイールはディッシュタイプを採用し、そこに240/40R18サイズのワイドタイヤがセットされており、総じてドラッグマシンを連想させるスタイルで纏められている。怒涛のパワーをしっかりと路面に伝えるたくましい足まわりだ。

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両持ちスイングアームの左側にステーが設けられ、その先にテールライト及びターンシグナル、ライセンスプレートが備わっている。同時にリアフェンダーの支持も兼ねており、デザインだけでなく機能面でもよく考えられていることが分かる。

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フォワードコントロールが採用される。加速時などに腰がシート後方に押し付けられた状態になると、ステップに踏ん張れなくなるほど遠くなる印象だったが、傍から見た際のライディングポジションはクールだ。

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インストゥルメントディスプレイは、すべてデジタル表示であり、とてもコンパクトでありながらも視認性は良い。上部には速度を表示し、下段は回転計やオド&トリップ、時計などを表示させることができる。

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左右にセパレートして備えられたクリップオンハンドル。剛性の高そうな作りだと分かる。アップ気味に見えるが、手を添えてみると意外と低く、そして遠い。よって上半身はかなり前傾させてバイクに乗ることになる。

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総容量16.7Lと大き目の燃料タンクが装備されている。タンクキャップにキーはない。ボディカラーは写真のパフォーマンスオレンジを含め、5色用意されている。

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サブフレーム、シート、シートカウルがトータルでデザインされている。カウル内にはユーティリティスペースが設けられており、小さくたたんだレインウエア程度なら入りそうだ。なおシート高は720mmとなっている。

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スイングアームの付け根を覗き込むと、わずかにリアサスペンションが見える。ボディ右サイドにあるツマミを操作することで、簡単にプリロードを調整することができる。

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