VIRGIN HARLEY |  田上 翔(2013 XL883N)インタビュー

田上 翔(2013 XL883N)

  • 掲載日/ 2014年05月28日【インタビュー】
  • 文・写真/モリヤン  取材協力/H-D新宿
    本記事は VIRGIN HARLEY vol.21 にて掲載されたものです

ハーレーインタビューの画像

ハーレーに乗るのは非日常じゃない
自分のライフスタイルにハーレーを加えて
普段着のように乗りこなしたいよ

ハーレーの楽しみ方は人それぞれだ。多くの人は、週末や休日の趣味でハーレーに乗り、時にはツーリングに出かける。しかし、忙しい現代人は休日といってもそのすべてがハーレーに乗るための時間とはならないだろう。特に家族がある大黒柱のお父さんやお母さん。独身の身でも様々な用事を片っ端から片付けないと、休日明けの仕事に差し障る。それが一般的な日本人ではなかろうか。

勤勉で一生懸命な日本人の性格は、時代と共に変化しているようで、実はちっとも変わっていない。しかし、だからこそどんな時代でも生命力のある生き方をしてきたのではないだろうか。そこに世代を題材にした考え方で生き方を判断するのはナンセンスであると思う。

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田上さんは若い。最近、若い世代がバイクやクルマに興味がなくなったと嘆くのは父親以上の世代だが、彼はすでにスポーツスターを手に入れて普段着のように乗りこなしていた。

「自分と同じ世代のハーレー乗りですか? いないですねぇ。バイク乗りがあまりいないのも事実ですよ。でも好きなんだから、僕は乗ろうと思った。ただそれだけです。ローンを組めば、少し無理して背伸びすれば買えるしね。我慢したって、どうせくだらないことにお金使っちゃうんだから、これでいいんですよ」

サバサバした笑顔で彼はこう言い放った。アパレル会社に籍を置き、ショップスタッフと地方営業という忙しい毎日。実家は和歌山だが、数年前に東京に出た。ハーレーは、それまで乗っていたヤマハのSRから乗り換えたのである。

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「洋服が好きでこの業界に来たし、東京でのライフスタイルのシーンを考えたら、ハーレーのスポーツスターを自然に選びましたね。ビンテージが好きだけど、今突然旧車に乗って、バイクだけでいっぱいいっぱいになるのはイヤだったから、新車で古いテイストのあるモデルを考えた。それでアイアンになったのかな。シンプルでかっこいい。ずっと乗り続けて、旧車になるまで乗るほうがかっこいいじゃんって思ったんです」

モノトーンでシンプルな883アイアン。様々なカスタムテイストなモデルがどんどんラインアップされる現代にあって、一番本来のバイクらしさが表現されているモデルなのかもしれない。洋服で言えばグランジテイスト。カジュアルな普段着だが、使い込んで味が出てくるカテゴリーである。田上さんが勤めるショップ「グラムトーキョー」も同じグランジテイストのラインナップを多く揃えるメーカーなのである。

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バイクの使い方は、それこそ普段着感覚だ。通勤にも使うし、日頃の彼の足そのもの。混雑する都会を利便性だけ考えて選ぶ乗り物ならスクーターなのだろうが、そこには彼のライフスタイルはない。身に付ける物や乗り物、自分が接する物すべてがライフスタイルなのだから、気に入ったものしか選ばない。普段の自分と週末の自分が違うなどという感覚は、持ち合わせていないのだ。

彼はとても自然体でこのスポーツスターに乗っている。きっとこの先、スポーツスターのオドメーターが進むほど、彼のライディングシーンはかっこ良さを増すことだろう。時間をかけて熟成されるのが人間のライフスタイル。そこには世代だけで判断する陳腐な根拠などない、バイク乗りだけの本当のかっこ良さが存在するのだ。

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シンプルな構成でカスタムベースとして最適なスポーツスターという存在でもあるが、すでにライトカスタムを施して、そのベーススタイルをさらに魅力的な存在に変化させている田上さん。変更点はハンドルバーやエアクリーナーボックス。そしてシートも小振りなサドルシートへと変更されていた。今後はウインカーなどの保安パーツをよりシンプルにしたいと夢は膨らむばかりだが、いじるより、やはり乗ることが楽しいというのが本音である。
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