高橋 大一(クラブハーレー編集長)
クラブ・ハーレーはそんな方を応援します掲載日/ 2005年08月09日
38歳。18歳より出版業界に入り多くの「趣味専門メディア」で経験を重ねてきた。何かを始めよう、そんな想いを持つ人の応援をすることに20年間携わり、現在はクラブ・ハーレー編集長を務める。99年式1200Cに乗り、自らもハーレーを愛する「走る編集長」である。

今回ご紹介するのは東京都世田谷区の「EASYRIDERS」スタッフ 中里 正勝さんだ。昼間はイージーライダースでカスタムを担当しているメカニックであり、夜は自らが運営するプライベートガレージ「BRAT’S CYCLE」の主宰者である。昼も夜もハーレーに関わる、まさに「ハーレー漬け」の毎日を送る中里さんだが、そのパワーの源はいったい何なのだろうか、どんな夢や目標を持つと、それだけの時間をハーレーだけに費やすことができるのだろうか、時間をいただき率直に語っていただいた。

中里●福岡から上京してきて、50ccのジャズにずっと乗っていました。イージーライダースに入社した頃はジャズを自分でマルボロマン仕様にカスタムして乗っていましたから、それが気に入って雇ってもらえたのかもしれません。
中里●当時は「VIBES」も「HOTBIKE」もなくて、読んでいた「Mr. BIKE」という雑誌にイージーライダースの広告が出ていました。そこに「スタッフ募集中」と書いてあったんです。バイク業界で働きたいな、と思っていたので募集に飛びついたわけです。
中里●いえ、ただの素人作業です。入社しても最初はまったく使い物にはなりませんでしたよ。工業系の学校を出ていれば、多少の知識や技術は身についているのでしょうけれど、僕はデザイン系でしたから。簡単な工作機械の使い方も入社してから学びました。だから、最初は入荷してきたハーレーをひたすら磨いていましたね。おかげで、「車種や年式での仕様の違い」や「どんなカスタムパーツがあって、取り付けると、どういうルックスになるのか」を目で見て勉強できました。
中里●珍しいでしょうね。最近はデザイン畑の人もバイク業界に入ってきているようですが、昔はまったくいませんでした。入社した頃はかなり苦労しましたけれど、今思えばデザイン畑からバイク業界に入ってきたというのが自分の強みになっています。
中里●デザイン畑の人間はいろいろなデザインが頭の中に蓄積されています。缶コーヒーや携帯電話のようなありふれた物でも、デザインや機能性を意識してじっくり眺めていられるんですよ。身の回りに溢れているモノでもデザインとして見ていくと、いざモノを造るときに役立ちます。そういう視点でモノを見ることができる、それが自分の強みです。たとえば、ハーレーにボルトオンパーツを着けるとしましょう。普通の人はそのまま付けてしまうようなパーツでも、何インチかずらして付けてみたり、加工して付けてみたり。パーツ単体で見るとほんの少しの差なのですが、車両全体が仕上がったときにデザインのバランスがぐっとよくなっているんです。
中里●手間かかって割に合わない仕事をして怒られることもあります(笑)。けれど、最近は目が肥えたハーレー乗りの人が増えてきていますから、ちょっとした工夫でも見る人が見たらわかってくれるはず。お客さんの予算の都合もあるので、好きなようには作業できませんが「あとちょっとこうしたらカッコよくなるのに」と思うことはお客さんに提案するようにしています。
中里●ハーレーに限らず、いろんなバイクのカスタムを手がけてみたくてイージーライダースを離れたことはあります。技術よりセンスに磨きをかけたくて。イージーライダースでは扱えない車両を触わり、できないカスタムをやってみたかったんです。SRなどの国産バイクのカスタムも勉強でき、それが今に生きています。そんな経験を経て、またイージーライダースでハーレーを手がけています。

中里●「BRAT’S CYCLE」は個人でやっているプライベートガレージで、ショップではないんです。イージーライダースに入って間もない頃から、仲間のバイクのカスタムをやってあげていたんですが、だんだん預かっている車両や部屋に置いているパーツが増えてきて。スペースが足りなくてガレージを借りたのが「BRAT’S CYCLE」の始まりです。プライベートでやっているガレージなので、何でもできるってことはありませんが。だた、自分が面白いな、と思ったオーダーは受けています。
中里●朝11時から夜9時くらいまでイージーライダースで仕事をして、それからが「BRAT’S CYCLE」の時間です。一番忙しかった頃は毎日朝4時とか5時までガレージにいましたね。忙しいときには睡眠時間は2,3時間くらいでイージーライダースと「BRAT’S CYCLE」の両方をやっていた時期もありました。死ぬかと思いましたよ(笑)。
中里●ならないですね。「BRAT’S CYCLE」はプライベートガレージだから自分の好きなハーレーが造れます。手間やスタイルを気にせず好きなように造って周りから評価してもらえる、楽しくて仕方がないですよ。「次も、誰も見たことないようなカッコいいモノを造ってやる」と毎日考えています。仕事としての作業だと、当然ながら予算や納期に縛られてしまいます。お客さんから直接オーダーを受けるわけでもなく、自分の好きなカスタム車両を造るわけにも行きませんし。純粋に自分のやりたいようにできる空間が持てて、楽しくないわけがないですよ。それがガレージビルダーの面白さです。
中里●そうですね。雑誌に載っているハーレーを見せられて「このバイクを造ってください」みたいなオーダーは受けません。仕事としてやっていると、そういう依頼も受けなければいけないのでしょうけれど、寝る間を惜しんで作業しているので「自分のカラー」が発揮できない依頼は受けられませんね。
中里●昔は他のショップのカスタムバイクは雑誌やショーで飽きるほど眺めていました。でも、最近はあまり見ないようにしています。雑誌をパラパラとめくることはありますが、じっくり見すぎてしまうと、影響を受けて偏ってしまいそうで。知らない間に他の人が造った車両に似たものを造ってしまうのは怖いですから。昔好きだったカスタム車両に影響を受けて、今の自分のスタイルがあることは否定できませんが、これからは自分らしさをもっと前面に出していきたいんです。だから、雑誌はほとんど見ずに、パーツカタログを見るようにしています。
中里●斬新なもの、他にないもの…つまりオリジナルになんですが、それを造りたくて、毎日頭をひねっています。今のカスタムシーンは「奇抜なモノ」か「昔からあるスタイルを焼き直したモノ」が多い気がします。乗っていて恥ずかしいものは造れませんし、昔のスタイルを焼き直すこともしたくありません。ただ、最近のカスタム車両は技術レベルが非常に上がっています。技術は勉強させてもらって、センスの部分は自分の頭の中でアイデアをこねくり回して「オリジナル」なモノを造りたいと思います。
中里●斬新なアイデアを出すことですね。実は作業時間より、どんなモノを造ろうか、と考えている時間の方が圧倒的に長いです。既製品をオーダー通りに組み上げるだけでしたら、たいして時間はかかりません。けれど、オリジナルなモノを作りあげる際には「考える時間」が必要です。それこそ眠れないくらい、吐き気がするくらい考えます。カスタムのことを考え始めると、他のことはもう考えられなくなってしまいます。それくらい集中しないと、いいモノができないんです。集中して考える時間が欲しくて、付き合っていた彼女と別れたこともありますよ(笑)。
中里●そこは難しいところですね。ただ、造り手のセンスやクオリティが評価されれば、お客さんも納得してくれると思います。ショップによって工賃はさまざまで、高い安いがありますよね。工賃が高いお店には高いなりの理由があり、お客さんが評価しているから人が集まっているのでしょう。高額のパーツにしても、材料の原価だけではなく、開発までにかかった期間や人の手など、見えないところも計算され価格が決まっています。でも、そこに納得して購入する人はいます。理由のわからない高額な工賃やパーツ価格だとお客さんに見放されてしまうと思いますが、「オリジナリティ」も周りから評価されるレベルに持っていくことができたら、正当に評価されると思いますよ。工賃も単純に時間だけではなく「中里の作業だから」と評価してもらえるようになりたいですね。
中里●そうです。ハーレーから離れ他のショップで修行をし、イージーライダースでハーレーのカスタムを手がけ、「BRAT’S CYCLE」で自分らしいカスタムを造って。それはすべて「オリジナリティ」を磨くこと、「自分らしさ」を追及することにつながっています。自分が満足できるレベルにたどり着いたら、自分のお店を始めたいですね。
ハーレーのメカニックの中にはハーレーで長距離は走らない人も多い。そんな中で中里さんは「造ること」も「走ること」も好きという。新しく造り上げたパーツは時間をかけて走って試し、自分で組み上げた車両はじっくりと走行テストを行う。「ハーレーで走ることが好き」だから、そこまで力を入れることができるのだろう。「走ることが好き」なメカニックが造り上げるハーレーだから安心して乗ることができる。しかも「デザインにこだわりを持つ」と来れば、そのスタイルも楽しみになるというもの。いつの日か中里さんが自分のショップを持つ際には、第一号のカスタムをお願いしたい、そう思える時間を過ごせた。(ターミー)
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35歳。アメリカのレーシングパーツメーカーに勤務し、パーツのデザインを学び。その後独立、バイク輸出入に携わる。そこで培った海外とのネットワークを見込まれ、現在は「Cleveland MOTORCYCLES」のプロデューサーを務め、世界中を飛び回っている。
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32歳。シート製作の名店「K&H」に長年勤め、開発からテスト走行、販売まで携わる。シートだけでなく、ハンドルやステップを含めた「乗車姿勢」について造詣が深い。「オートバイを楽しむ」を24時間考える彼への信頼は厚く、そのシートへのリピーターも多い。
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30歳。ハーレーに憧れ中免を取得し、アメリカンに乗り始める。車両の盗難にあい、しばらくバイクから遠ざかっていたものの、ハーレー乗りを目指す知り合いの女性に刺激を受け、苦労の末ローライダーに乗る努力家。ハーレーを乗りこなし、自在に操る。
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33歳。カスタム業界の老舗「イージーライダース」に勤めながら、夜は「BRAT’S CYCLE」というプライベートガレージを主宰。24時間ハーレー漬けの暮らしを続けている。自らの「オリジナル」なスタイルを磨きあげることに情熱を注ぐビルダー。
バイクとライダーを支えるタイヤ。だからこそ空気圧や交換については、適切なタイミングを見極めましょう。
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42歳。平日が休みのメンバーが集う「D-RUSU MC」を主宰。平日に開催されるキャンプミーティング「D-meeting」など「MC」の枠を越えハーレーの楽しみを提供するビッグMCである。「D-RUSH」が実践してきた平日のハーレー乗りの輪は今全国に広がろうとしている。
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静岡県は浜松市にある「菓商 まる川」。ここで作られているどらやきがなんとも絶品だとか。 「安全、安心。そして美味しい和菓子づくりという『まる川』のコンセプトを具現化したのが「どら焼き」です。餡は北海道は十勝産の減農薬小豆。